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IUCNアジア地域自然保護フォーラム2日目(プレナリー、気候変動、海洋)

2011.09.29
活動報告

 

icon_abe.jpg保護プロジェクト部の安部です。

引き続きIUCNアジア地域自然保護フォーラムの様子の報告です。

2日目の朝の最初のプレナリーは「生物多様性の価値づけと保全」と題したトピックでバングラディッシュ、韓国、インド、日本の4カ国から生物多様性条約COP10会合のレビューとその後の実施状況やCOP11への準備などについて講演がありました。
日本からは環境省生物多様性地球戦略企画室長の奥田直久氏から報告があり、COP10の報告と里山イニシャティブ、基金の話などがありました。

NACS-Jの海のプロジェクト担当の私としては今年の5月27日に総合海洋政策本部会合から発表された「我が国における海洋保護区の設定のあり方について」http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kaiyou/dai8/siryou3.pdf により日本の海洋保護区の面積が一気に増加したことについて一言も触れられなかったのが気になるところです。

奥田氏←環境省の奥田直久氏のプレゼンの様子

 

 

 

 

 

 

 

その後、セッション5の気候変動問題の解決のセッションに行きました。
5カ国の講演者から発表がありましたが、気候変動問題の解決の重点はやはり、モニタリング調査と普及啓発、バッファーゾーンを設けた保護区の設定、状況に合わせて活動を柔軟に変更すること(adaptation actions) 、経済的な恵みだけではなく精神的な恵みなど自然からいかに多くの恩恵を受けているかをはっきりさせること、などが強調されました。

サイドイベントではIUCNアジア地域事務所のMangrove for the Future(将来のためのマングローブ)という組織が企画したサイドイベント「アジア地域の沿岸に広がる湿地を食料確保と生物多様性保全のために管理すること(Managing coastalwetlands for food security and biodiversity conservation across the Asia region」にて、私も発表する機会をいただきました。

「沿岸管理へのチャレンジ~大浦湾の取り組み~」と題し、大浦湾のアオサンゴ群集発見から計測、自主ルール制定に向けての取り組みを紹介しました。

大浦湾の取り組みのプレゼン ←大浦湾の取り組みのプレゼン資料

 

 

 

 

 

 

 

ラファエロ・ロッティラさん

 

←同じサイドイベントで講演したPEMSEA(東アジア海域環境管理パートナーシップ)事務局長のラファエロ・ロッティラさんと一緒に。

 

 

 

 

 

今回はインド、タイ、ベトナム、フィリピン、セイシェル、日本のマングローブ保全及び沿岸保全域保全の取り組みが紹介されました。

この企画でそれぞれの国が紹介した取り組みが「生物多様性保全、食糧確保、貧困の減少、観光/教育、気候変動」のどれに重点を置いた企画なのか、オーガナイザーのIUCNアジア地域事務所のドナルド・マッキントッシュ博士が分析したところ、面白いことがわかりました。

 

ドナルド・マッキントッシュ博士の分析表←ドナルド・マッキントッシュ博士の分析表

 

 

 

 

 

 

 

日本、セイシェル、タイなど比較的裕福な国々は生物多様性の保全や教育に重点を置いた活動を展開する傾向がありますが、一方でベトナムやフィリピンなどの貧しい国々は食糧確保と貧困問題の解決を重点において活動を展開しています。そしてこれらの国々が共通して脅威だと認識している事項が、気候変動であることがわかりました。

日本の自然保護問題を考える上でも、例えば福島や沖縄のケースの解決を目指す場合は食糧確保や貧困問題、全ての人が公平に自然の恵みを受けられるようにするなどの事柄も視野に入れなければいけないと改めて思いました。

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