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「東日本大震災現地NGOによる緊急報告会」から~支援の呼び掛け

2011.05.12
活動報告

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保護プロジェクト部の安部です。

4月30日、湿地のグリーンウェイブ・イベントのひとつである「東日本大震災現地NGOによる緊急報告会-地域の復興と湿地-」(東京・表参道/主催:ラムネットJ 後援:NACS-Jほか)に参加しました。被災地の自然の状況をたくさんの方々が報告され、支援の呼び掛けをされましたので、レポートいたします。

震災前日は北海道にいらした呉地正行さん(日本雁を保護する会・ラムネットJ共同代表)が、飛行機から見た湿地の被害の様子をお話しくださいました。宮城県栗原市のご自宅の被害も大きく、片付けるのが大変だったとのこと。

次のスピーカーはNPO法人「田んぼ」(宮城県大崎市)の岩渕成紀さん。
「今はお金をもらって1日寝て過ごすことよりも、鍬と耕せる土地が何より欲しいと農民は言う。本来農業や漁業で暮らしてきた人を早く戻してあげることが必要」と無くなってしまった農地を茫然と見続ける農家の方の写真などを見せながら、岩渕さんが語られました。
「ふゆみず田んぼブロジェクトは昨日から開始し、調査をしつつ進めている。一度いなくなってしまった土の中の生きものなどがどのようにして戻ってくるか、きちんと調査がスタートするのはここが初めてではないか。ウェブサイト『7つの復興プロジェクト』にて調査結果をお見せしている。また現在不足している物資のリストも日々更新しているのでぜひご協力ください。」

「はぜっ子クラブ」(福島県相馬市)の新妻香織さんは、「東北一生物多様性が高い、生きものの楽園、松川浦が千年に一度の撹乱にみまわれてしまった」と、震災当日の様子をお話しくださいました。「4月20日に初めて学者、専門家とともに松川浦に入ったところ、ヨシ原が泥で埋まり、生きものの気配がまったくないことに愕然としてしまった。しかし、すべてがリセットされてしまった今、これまでと同じことを行って復興をしてはいけない、新しい価値観で取り組まなければいけないと思った。みんなで力をあわせてつくったガイドブック『まるごと松川浦』には3月11日前の生きものや暮らしの豊かな様子が掲載されている。これを思い出の世界にしてはいけないと」と力強く語られていました。

放射能汚染対策と地域農業の再建に関する提案をするNPO法人「民間稲作研究所」(栃木県上三川町)の稲葉光國さんは、「調べてみたら他の農産物より大豆の放射能吸収率の方が高かった。この性質を用いて汚染除去が出来ないものか。農民はやはり農業がしたい。補償金を得てそれですむ問題ではない。今後、他の地域でも同じことが起こりうる。研究者の方々は今こそ本気で取り組んで欲しい」と熱く語られました。

NPO法人「高木基金」の事務局長の菅波完さんからは、詳細な福島原発の現状の説明があり、また浜岡原発や上関原発が周囲に与えうる危険性についての説明もありました。

最後にラムネットJの事務局長の浅野正富さんより「6ケ月前のCOP10の時には予想もしていなかった事態となった。持続可能という言葉が提唱されて随分長い時間が経つ。おそらく我々は試されているのだろう。本当にここで持続可能なライフスタイルに転向できるのか。今ここで出来ないならば生物多様性の10年などと言ってもカラ念仏になってしまう」と、締めくくられ会合が終わりました。

NPO法人「田んぼ」の足りない物リスト最新版PDFはこちらのページからご覧ください。
送り先/問い合わせ:NPO法人 田んぼ 989-4302 宮城県大 崎市田尻大貫字荒屋敷29-1  
TEL: 0229-39-3212

「はぜっ子倶楽部」では6月中旬まで、相馬市の仮設住宅に入居される方々への支援として、下記の不足している物資を集めているそうです。

●必要なもの
電化製品:ドライヤー、ステレオコンポ、オーブントースター、ホットプレート、こたつ、掃除機、コーヒーメーカーなど
日用品:時計、カバン、傘、自転車、ベビーカー、座布団など
台所用品:なべ、フライパン、やかん、食器、調理器具など
家具:テーブル、いす、本棚、整理ダンス、カラーボックス、衣装ケースなど(部屋が狭いので大きな家具は不要)
詳細:
「はぜっ子倶楽部」が必要としている物品リスト(PDFファイル/67KB)

持参できる人は:5月15日(日)9~12時 刈敷田集会所(相馬市新沼字刈敷田14-13)
郵送・宅急便の人・問い合わせは:NPOフー太郎の森基金・はぜっ子倶楽部(976-0022 相馬市尾浜字南ノ入241-3)TEL 0244-38-7820/080-1836-9642(新妻)

被災地の力になりたいと思っても何をして良いのかわからない方も多いと思います。ぜひ上記のNPO法人「田んぼ」や「はぜっ子倶楽部」の呼びかけに応えてあげてください。

 

湿地のグリーンウェイブ
湿地と生物多様性の保全を推進する期間として、自然観察会、生きもの調査、田植え、シンポジウムなど、湿地保護に関連した活動を全国
で連携して実施するキャンペーン。今年は2011年4月~6月まで。

●主催:ラムサール・ネットワーク日本(ラムネットJ)
●後援:日本自然保護協会/WWFジャパン/日本野鳥の会/CBD市民ネット

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