上関原発予定地の視察エクスカーションに参加しました。
保護プロジェクトの安部です。
国際シンポジウムに続く4月11-12日は、2日間で上関原発予定地や宇和島を見せていただき、祝島に泊まるエクスカーションに参加しました。
初日は定期観光船で祝島まで行き荷物を降ろし、4隻の船に分乗してカンムリウミスズメやオオミズナギドリ、スナメリを探しに行きます。
写真1:出発の風景
宇和島に到着。夜にならないと島に帰ってこないので営巣地だけを見るつもりでガケを上っていったところ、たまたまいたオオミズナギドリを見ることができました。
写真2:宇和島に上陸して観察
海藻の研究者の新井章吾さんによると瀬戸内海の中でもここに残されている環境は稀有で、日本の他の地にはないとのこと。船の上からもアカモクなどの海藻が豊かな様子や透明度の高い海の様子がわかりました。
上関・田ノ浦の原発予定地は船から視察しました。今は海を埋め立てる工事は一時中断されているので海上での戦いもなく、穏やかです。しかし中国電力による調査という名の作業は今も続いています。
写真3:上関の原発予定地
祝島に戻り、島をあげての原発反対デモに参加しました。島のみなさんは「原発絶対反対」と書いたおそろいのハチマキをしめて行進します。ここではワンちゃんも原発反対です。
写真4:原発反対犬をなでる川那部浩哉先生
今回は祝島の島民の会の山戸さんのお話しを聞く機会もありました。原発関連の工事のための1日数回の発破作業のために魚が採れなくなったそうです。魚は音や振動に敏感です。さらにもしも原発が出来てしまったらそれに伴う水温上昇が魚に与える影響ははかりしれません。
山戸さんは更に続けます。「関東の人達は上関原発がなくなったと楽観的に考えている風もあるが、我々はそうは考えていない。一部の工事はまだ続けられている。いつか再開する予定であろう。上関原発ができてしまったらこの島での漁業も農業も成り立たなくなり島を出なければ行けなくなるだろう。私たちはいつまでもここでいつも通りの暮らしをしたいだけ。ただの反対運動にしたくないと思い、自然エネルギーへの転換を考えた。島民が少ないので何とかなるかもしれない。出来る範囲で活動を、と考えているものの、電力会社からの反発も大きく難しい」
2日目は祝島の中を見学しました。自然型農法で豚を飼育している氏本農園を見学しました。
ここではブタに合成の餌ではなく島から出た残飯を主に与えています。運動もさせ、自由にさせるとブタの体を100%を使うことができます(通常の飼育方法で育てられたブタは60%ほどは廃棄処分となります)。原発に頼る必要がない生活への第一歩です。
写真5:自然型農業で飼育されているブタ
最後に塗壁を見学しました。200年ほど前に家事で多くの家をなくしたときに島民が知恵を出し合って考えたのが海岸にたくさん転がっている岩の活用。これと土を用いて壁を作り、カヤなどで屋根を作れば家を作ることができます。
万葉集の時代から鯨が来て桜が美しいということで有名な祝島では多くの人が努力して持続可能なライフスタイルを続けています。
この3日間の盛り沢山で有意義な国際シンポジウムとエクスカーションから多くのことを学ぶことが出来ました。関係者のみなさまに深く感謝申し上げます。
(安部真理子・保護プロジェクト部)