COP10 報告会で日本のNGOの活動を発表。これからが本番です。
11月9日に、東京・青山の環境パートナーシッププラザで「生物多様性条約COP10報告会」が行われました。
(主催: 地球環境パートナーシッププラザ・GEOC)
COP10が終わり、マスコミの報道も11月に入るとメッキリ少なくなりましたが、会場には40以上のNGO、20以上の企業、ほか110名の来場者があり、COP10の決議の中身に対する関心の高さが感じられました。
報告会では環境省、外務省からCOP10の決議内容に関する概略の報告があったあと、
NACS-Jから保全研究部の道家哲平が、CBD市民ネットの東京事務局コーディネーター、IUCN日本委員会として、報道になかなか載らなかったCOP10の参加者の内訳や、NGOの活動、注目議題、これから何をすべきかについて、発表を行いました。
今回のCOP10では報道で注目されたABS(遺伝資源へのアクセスと利益配分)、愛知ターゲット(新戦略計画)のほかにも、45のテーマが決議されました。
決議文章は現在すべて英語で生物多様性条約事務局のページに公開されていますが、内容は大枠としての目標の文章や数値目標が書かれているにすぎません。
これから、実際に各国で生物多様性保全にむけた取り組みが行われなければ、この決議文章の山はただのスローガンで終わるのです。
たとえば、愛知ターゲットの目標4は、
目標4:遅くとも2020年までに、政府、ビジネス及びあらゆるレベルの関係者が、持続可能な生産及び消費のための計画を達成するための行動を行い、又はそのための計画を実施しており、また自然資源の利用の影響を生態学的限界の十分安全な範囲内に抑える。(環境省仮訳)
となりましたが、これを実行するためには、
・誰がどのような方法で計画し、それぞれが実施するのか。
・どんな法律や制度のつくり直しが必要か。
・計画や実施のためにどんな支援策や広報・教育・普及活動が必要か。
・「生態学的限界の十分安全な範囲内」に抑えたかどうかを検証するため、どんなモニタリング策が必要なのか。
・2020年までに達成するためには、10年間にどのようなステップで進めていくのか。
などなど、考えて決めていかなければならないことが山のようにあります。
「あらゆるレベル」、「生産及び消費のため」ということは、政府、ビジネスの関係者だけでなく、自治体やNGO、そしてこの地球に暮らす誰もが考えて決めていかなければいけない、ということになりますから、この目標ひとつとっても「遅くとも」あと10年で達成するということは、とても大変なことなのです。
ですから、COP10での決議採択はスタートライン、全世界で決めた目標達成への2回目のチャレンジは今、始まったばかりです。
2020年に再び「目標は達成されなかった」という同じ過ちに陥らないために、今後2年間議長国でもある日本は率先して計画的に目標達成に向けた取り組みを急がねばなりません。
今回決まった決議が活かされるためには、決議内容を和訳し、日本の場面で考え、実行すべき具体的なこととして読み換えていくことが必要になってきます。
次号、会報『自然保護』2011年1・2月号(1月1日発行)でも「COP10で、何が決まり、これから何が起こるのか」、を特集する予定です。(会報購読は、ご入会お申し込みのページへ。クレジットカードでのご入会もできます。)
着実に進められてきた自然を守り大事に思う人を育てる活動、生物多様性保全の取り組みが、COP10を機会に加速的に社会に広めていかれるよう、皆さんのご協力やご支援をお待ちしてます。
▲道家哲平がNHKから取材を受け、ニュースで放映されました。その映像はこちら。
▲NGOから、CBD市民ネットの柏木さん(左)は「国連生物多様性の10年」について、川廷さん(右)は「CEPA(広報・教育・普及啓発)」について発表。
(鶴田由美子/広報・編集部)