第10回沼田眞賞の受賞者が決定しました!
会報『自然保護』No.518(2010年11・12月号)より転載
毎年、自然保護にすぐれた実績を挙げた方を顕彰し奨励する「日本自然保護協会沼田眞賞」。10年目となる今年は国際生物多様性年にあたることから、一般枠のほかに「生物と文化の多様性に貢献した候補」を特別枠として募集しました。
広く一般の方にも呼びかけ、推薦された方々について選考した結果、以下の1個人と2団体が受賞者として決定いたしました。
●佐々木克之氏
「河川から沿岸・干潟にいたる物質循環の研究と自然保護への貢献」
沿岸海域の物質循環の研究を通じて、干潟の浄化機能の重要性を明らかにし、中海干拓、諫早湾干拓、中部国際空港などの開発が干潟や沿岸漁業に重大な影響を与えることを社会に訴えました。また最近は、川辺川、二風谷、サンル川などのダム開発計画が沿岸域に与える影響を指摘し、河川環境の保全にも取り組んでいます。
●森林塾 青水(せいすい)
「茅場の再生と活用による文化と生物の多様性保全」
利根川水源の群馬県みなかみ町藤原において、地元住民、大学、企業、行政と協働しつつ、かつて入会地として利用されていた茅場を再生し、失われた入会慣行を現代に蘇らせる活動を行ってきました。茅場という人がつくった草原を文化と生物の多様性の両面から再評価し、流域ネットワークを通じて保全する先駆的・モデル的な活動です。
●NPO法人こんぶくろ池自然の森
「こんぶくろ池湿地の調査・保全活動を通じた自然博物公園の実現」
千葉県柏市北部にあるこんぶくろ池は、南関東の台地上に湧出した湧水地でありながら、冷温帯に分布する湿生植物が生育する貴重な湿地です。これを開発から守るため、前身の「こんぶくろ池を考える会」が千葉大学と東京大学の協力による調査に基づいて提言活動を行い、池は市の自然博物公園として保全されました。こうした成果をもとに、2010年4月、NPO法人こんぶくろ池自然の森が発足し、関連団体とともに自然博物公園の保全・再生・管理にあたることになりました。
沼田眞賞の授賞式と記念講演会は、2011年1月22日(土)、東京都江東区の清澄庭園にて行います。詳細は後日改めてご案内いたしますが、それぞれの活動のお話を聞ける、またとない機会です。ぜひお越しください。