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COP10 20~21日海洋続き 21日第1作業部会 農業・バイオ燃料・侵略的外来種

2010.10.21
活動報告

●海洋沿岸の続き
・20日のヒットはアメリカやカリブ海で行われている
「EAT LIONFISH  CAMPAIGN -ミノカサゴを食べようキャンペーン-」。
増えすぎて困っているそうです。参考:
http://www.safmc.net/Portals/6/Meetings/Council/BriefingBook/Mar2010/ECBM/Att2Eat%20Lionfishsynopsis.pdf

・20日海洋分野続き。インドネシア代表からサンゴの白化対策の決議文章の追加が提案されました。非常に意欲的です。背景にはこのような事情があります。
「サンゴ礁、過去最悪のペースで死滅へ インド洋と東南アジア」
http://www.cnn.co.jp/world/30000621.html

・21日海洋と沿岸の分野はNGOの傍聴が許されない状態になりました。昨晩は緊迫した状況だったのでその後が気になります。

・21日22:25.ファイナンス(資金)とバイオ燃料のコンタクトグループ(本会議場外での会合)はまだ続いているようです。議論が終わらないと朝までかかってしまうこともあるそうです。

・海洋の分野は国境(areas beyond national jurisdiction)がはたしてCBDの管轄領域なのかというところで合意に至らず大変みたいです。COP9やCOP8の書類にも戻って議論している様子です。

(安部真理子/保護プロジェクト部)

●21日第1作業部会

■農業と生物多様性

今回の決議(案)の特徴としては、おそらく
・FAOとCBD事務局との共同作業部会立ち上げや、FAOの実施する事業(遺伝資源委員会、世界農業遺産、食料と農業に関する地球規模生物多様性評価)への言及がある
・3つのイニシアチブ(土壌生物多様性、栄養塩、ポリネーションの保全)に言及
・農業生物多様性(とそれへの取り組み)の現状評価のための指標群開発
・多様性の高い農地の保全
などだと思います。

各国ともFAOとの連携を大いに賞賛し、たいした対立意見もなくめでたく無難に終わりました。
さほど大きな変更無いまま採択に移るようです。

ただ、オブザーバーのNGOから「食料安全保障や土地気候変動への適応に不可欠な農作物の生物多様性は、家族経営の零細農家が守り継いできたもので、それら(の生産や知的財産権、土地所有権)を脅かすような余計な規制や市場メカニズムがあってはならない」と発言があったのですが、まさにその通りで、このあたりが条約として今後しっかり言及されクリアされていくことが大変重要と感じました。

■バイオ燃料
現在の決議案は、言ってみれば非常に無難な表現ばかりです。ただ特徴としては、バイオ燃料による負の影響を特定・モニタリングしたり最小化・回避すること、予防原則を適応すること、など、バイオ燃料のネガティブな面への警戒がかなり書き込まれた案となっていることです。

各国の発言として驚いたのは、バイオ燃料を推進している途上国からの反論が非常に少なく、はっきりとしたものはフィリピンのみ、ブラジルは発言なかった???といったことでした。多くの途上国はむしろバイオ燃料によって自国で食料安全保障上重要で生産性の高い農地が置き換わってしまうことへの強い懸念を表明していました。またもう一つ意外だったのは、技術開発や資金提供について先進国からも特に言及(反論等)がなかったことです。

ということで、こちらもそんなには大きな紛糾はなさそうです。ただ、他の条約や決議と重複する部分が多く、現行案の文章が十分磨かれていないため、今夜のコンタクトグループの会議に引き継がれました(そちらは出席せず)。

まだまだこの分野は、各国の議論が対立するような重要できわどい合意形成まで至っていない分野で、言ってみれば現場の保全にも喫緊には関わってこないレベルと感じました。そういうレベルまで今後のCOPで一歩ずつ進めていくのが、NGOの役割なのかもしれません。
個人的には、里山の保全に論理武装として使えそうな情報が多く拾え(どちらかというと準備段階でですが)、有益でした。

(高川晋一/保全研究部)

●引き続き午後の第1作業部会:侵略的外来種について、日本政府団は英語でなく日本語でマングースの取り組みを紹介しました。
その勇気に期待するも以上も以下もないコメントにとどまり残念。

(大野正人/保護プロジェクト部)

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