絞り込み検索

nacsj

25日 果てしなく深い、海洋のコンタクトグループ

2010.10.26
活動報告

25日、午前中は名古屋学院大学で行われた、「水産業における生物資源の持続可能な利用」のフォーラムに参加しました。会場の片隅では海洋保護区についての熱いディスカッションが続いていました。多様な人が多様な方面から環境保全について、試行錯誤しながら考えています。

13:00から海のコンタクトグループの会合が再開し傍聴、twitterで実況報告をしました。

パラグラフ7の海洋と沿岸の役割野部分に「サンゴ礁」を入れて欲しいとインドネシア代表から強いリクエスト。干潟、マングローブ、海草藻場と並んでサンゴ礁も決議文に入ることとなる。
海の保全で重要なのは国境を超えるエリア(areas beyond national distriction)。海洋酸性化も温暖化も国境で止まるわけではないので重要。
しかしながら他国への内政干渉にならぬよう、国の法律内で(under national jurisdiction)という言葉が注意深く足されていく。こんなことで海の保全が進むのかと焦る。

開始から1時間後、24ページにわたる海の決議文を最初から全員で見直し中。今3ページ目。長い議論となりそう。
先ほどの件、「国の法律内で(under national jurisdiction)、にこだわっていたら保全が進まないではないか」とカナダから in accordance with international law(国際条約に従って)と書き換えよう、と提案が出る。
些細な言葉に見えるが各国の国内法にこだわっていては何も進まないので大きな進歩となる。まだ前の単語under national jurisdictionにこだわる国もあるが、全体的には「avoiding j work(jで始まるjurisdictionをなるべく使わない」となった。
続きは18時からこの部屋で行うことになった。複数の国から意見が出てもめている。パラグラフ12(f)(漁業関係)については6時までに小さなグループで話し合って決めることとなった。先は長い。

18時再開後、海域肥沃化 (ocean fertilization)についての議論の途中、ロンドン条約に詳しいアメリカからの出席者からロンドン条約との整合性を確認するよう、喚起があった。条約や法律は難しい。
unsustainable fishing(持続可能でない漁業)とoverfishing(過剰漁獲)のどちらの言葉を選ぶかでもめる。しばらく頭を冷やして次のパラグラフに行くとそこもまた漁業でもめる。
持続可能な漁業と海洋生態系が健全に守られることは異なるのではないかと南アフリカが指摘。その後、言葉の定義をめぐって日本と南アフリカが異なる意見を示したので2者の間でよく話し合って解決するように議長から指示。

次の部分に行くとまた漁業に関する記述があり、日本代表がそわそわして半分手をあげるような姿勢になった。議長は「日本、あなたは何か言いたくて手をあげているのかそうではないのか」と叱られる。他の部分ではおとなしいのに漁業になるといつもセンシティブになる日本。
日本代表から声があがる。sustainable(持続可能)な漁業という部分を responsible(責任のある)漁業に変更したいとのこと。責任のあるという言葉はあいまい。誰に対して何の責任を取るというのか。
漁業の部分はいつも大きな議論となる。ノルウェーからパラグラフ45を42に組み込むように提案が出たが、その後必要なことを書き加えていったら20行にも及ぶ大長文となってしまい大混乱。議長から15分休憩と言い渡されその間に関係国は検討するようにと。
15分どころか30分休憩が続く・・・

20:20に会議再開。漁業については決まらないまま海域肥沃化 (ocean fertilization)の部分にうつる。
沿岸海洋生態系に与える人間活動の影響の部分にうつる。「海洋保全」の部分の前に「appropriate(適切な)」を入れたいと日本。自信がないのかやる気がないのか、後ろ向き。
2年前に韓国で開催されたラムサール条約会議で会った韓国人のチュ・ヨンギ氏と再会。渡り鳥の研究をしている研究者でありながら干潟の保全を訴える運動家。セマングム干潟の保全の力になってくれる人を探しに海のコンタクトグループにも来たとのこと。
保全を続けているとこのように同じ志を持った人と、約束をした訳でもないのに、必ず再会できることが不思議。
長引く会議。居眠りする人も出てきた。居眠り防止対策のためか冷房がどんどん強くなっている。寒い~。
議論を聞いていると他国の代表は長く国際条約を専門に担当しているということがよくわかる。COP9やCOP8や過去のワークショップ、他の条約の文章などが頭の中に入っている。数年おきに担当が変わる日本にはこういう人たちと対等に渡り合うのは厳しいと思う。
また少し休憩を取って会議を続行することに。

22時ころ、20分の休憩後再開。終電を心配する声もちらほら出てきた。お隣に座っていた方は使用していたパソコンの電源コードを忘れていった・・・みな疲れている。
NACSJ 終電の心配は要らなくなった。COP10参加者は終電終了後は日本政府がバスで送ってくれるそう。 何時まで続くのでしょうか?この会議。「本当に疲れたから帰りたい」とブラジル代表がつぶやく。
午前0時、議長から宿題のプリントが渡され、これにて閉会。

(安部真理子/保護プロジェクト部)

前のページに戻る

あなたの支援が必要です!

×

NACS-J(ナックスジェイ・日本自然保護協会)は、寄付に基づく支援により活動している団体です。

継続寄付

寄付をする
(今回のみ支援)

月々1000円のご支援で、自然保護に関する普及啓発を広げることができます。

寄付する