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COP10 27日 第1作業部会と海洋のフレンズオブチェアの会合

2010.10.27
活動報告

10:00からの第1作業部会。昨晩の海のコンタクトグループの報告が行われました。朝4時まで行われたそうです。気候変動と生物多様性のグループと文言の整合性を取らなければいけないのと、残っているブラケットについて合意を得なければいけません。

今日の13時からまた海の会合があります。WGの議長さんから「くれぐれも効率良く」と念を押される海のCG議長さん。
バイオ燃料は終わりそうだそうです。しかし調整しなければいけないことがあるので今、同時並行でコンタクトグループがあります。「133の部屋に行ってください、今ですよ、今!」とアナウンス。

森林のコンタクトグループはカーボンストックの部分が大きな課題です。これも午後会合が行われます。REED関連のフレンズ会議も今日の午後です。「行くべき人は必ず行ってくださいよ」と、またも声をはりあげアナウンスする議長さん。「2国間で話しがつけられる部分は会議の前に話しをつけておいてください、急ぎなんですよ」と指令が・・・。

世界分類学イニシアティブと外来種、農業、生物多様性と気候変動が今日の会議の議題(matters of outstanding)です。

今まで傍聴していなかった外来種の部分においてもバラスト水から入ってくる外来種が海洋生態系を脅かすということが問題になっている。ここでもやはりキーワードはbeyond national jurisdiction(国の管轄を超えて)。生物多様性の問題は国境内にとどまらない。
しかしすでに存在するバラスト水条約があるからその絡みをどうするか。国家の守備範囲、国際条約の守備範囲、この2点がいつも決議文を作る際に問題となる。

国境を越えた協力(transboundary cooperation)を文言に入れるか入れないかでブラジルと他国で議論となる。ブラジルは入れないように主張していたが、外来種対策にはtransboudaryな協力が必要なので入れることで採択される。

開始からずっともめていた世界分類イニシアティブのABS関連事項を無事クリアしてCRP7(世界分類イニシアティブ)とCRP9(外来種)の部分が合意されました。あとは農業と「生物多様性と気候変動」です。

13時からは、海のフレンズ会議(FOC)が始りました。twitterで実況です。

海と沿岸の生物多様性に与える破壊的な影響を更に小さくするという文面の中に、「marine scientific research」を入れることに異論を唱える日本。研究者は生物多様性の大切さを知っているはずだからわざわざ例として取り上げる必要はない、と。
 
それに対し研究や大規模なEIA(環境アセス)が環境にネガティブな影響を与えることも多いとブラジルとIUCN。多くの国は研究が生物多様性に与える影響も認識しているのでこの単語は残る。少し印象を和らげるためにwhere they occurを入れる。

「研究が生物多様性保全に悪影響を与えることはない」とは、いったい日本代表は何を考えているのか。日本の環境アセスが環境に与える悪影響は良く知られているだろう。それに全ての研究者が生物多様性の大切さに対する意識を持っていると本気で思っているのだろか。。。

国の基準と政府間の基準(nationally and intergovenmentally agreed scientific criteria)にあう科学的データを世界で共有しよう、という部分。「国の(nationally)」という部分を外したがる日本。隠したいデータがあるのか?そのこだわりがわからない。
もめている決議文に対しいつも大胆に文面を変えて思考が止まりがちな会議を助けるカナダ代表が「今回はslightly radically surgery(少し乱暴な外科手術)を加えるよ」と言って大幅に変える。一同笑う。

encourage(奨励する)とurge(促す)のどちらの言葉にするかで渋っていた「違法な漁業を除くためのFAOの協定に批准するように」という文面。珍しく前向きにurgeでもかまわないという日本。よく見たら批准するではなく批准を考えるという文になっている。こうして文章の意味合いがどんどん弱くなっていく。

意見を述べるブラジルに「ごめんなさい。よく聞き取れなかった。昨晩眠れなくて」と笑いながら答える議長。笑いながら「なぜ寝られなかったの?」と返すブラジル。一同笑う。

海のFOCは16:00でいったん終わり、17:00に再開。漁業関連決議案で議論中。19時までに終わらせるはずが、まだまだ合意に遠い。でもこの部屋の予約は20時まで。焦る各国代表から同時にさまざまな発言が出て「一度に1つづつお願いします」と議長。議長が一番疲れている。

あるアルゼンチン発案の決議案をめぐって何度話しても決まらない。11時間もかけてなぜ決まらないのか、合意できないのか、合意出来ないのならばもう言葉がないのだろうと議長からいら立ちの声。

日本ももう少し考えてくれと言われ、andの後にorを入れ、数単語を入れることを提案。「入れる意味がわからないけどこれを入れれば日本が合意してくれるならば入れよう」と議長。そこに他国から更に言葉が足され決議案はふくれあがる。でもこのままCRPに入れられる様子。

20時終了の予定が長引いています。とうとういつも問題となる言葉は来年までに解決しようという流れになってきました。来年までにどれだけの生き物がいなくなるのかと思うと焦りを感じます。

このまま全部CRP(Conference Room Paper)にしてWGに持っていきたいね、とカナダ代表。一同笑う。ブラケットは取れてきたが1つ1つの決議文がとても長い海分野。

南アフリカ代表は今日のサイドイベント海岸線と浅海域にも来てました。日本でもサーフィンが出来るのなら道具を持ってくればよかったと。そして自分は17時からのFOCに出なければいけないからと、残念そうに部屋を去って行きました。FOCでもがんばっている真の海好き。

日本からの支援金800,000$が話題となる。うれしそうな顔もあるが、いつまで世界のお財布役としてしか存在感を示せないのかと複雑に思う。

21時もすぎてこれにて終了!一応拍手で絞められたものの、まだ課題が盛りだくさんな決議案を手に心配そうな代表も多くいる。  

(安部真理子/保護プロジェクト部)

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