COP10 29日 CBD市民ネットが記者会見を行いました。
最終日にあたり、CBD市民ネットが会議を振り返り記者会見を行いました(NACS-JはCBD市民ネットに加盟。運営委員を務める)。断片的ですが、会見概要です。
■総合的なステートメント:駒宮博男(名古屋事務局)
・ホスト国日本政府への評価
新戦略計画の中では、「合意されればそれでよい」という姿勢が目立つ。国として、生物多様性条約とどう向き合うのか示せなかった。論点が明確になったのはよいか、どちらかといえば、先進国寄りになった。
COP9に比べ、先住民の参加が少なかった。日本政府の中で先住民がいかに重要かがかけていたのでは。
菅首相が3年間で20億ドルの拠出金の発言をしたが、「絵に描いたモチ」にならないように。
・CBD市民ネットの成果
15の作業部会、それぞれがポジションペーパーを出し、世界に向けて意見を表明したこと。CSO宣言は28日現在で784名、32カ国以上が賛同し、開催地宣言ができたこと。
水田、10年、CEPAなどは条約決議文に決議に影響を与えた。(まだ最終決着はがわからないが)
MOP5から3週間、100団体以上のNGOがブース参加。地域コミュニティ、先住民も含めフォーラムは約100。
米国オバマ大統領に加盟を呼びかけるため、来日中のコンサベーション・インターナショナルの理事のハリソンフォードに書簡を手渡した。
TOP10forCOP10第8条jにかかわる、小規模農業者、日本政府とともに採択にこぎつけた、「農業の生物多様性」は市民社会からの提案。留保なしに採択されたのは大きな前進。
しかし、当地を振り返ってみれば、長良川河口堰、辺野古米軍基地、上関、諫早、泡瀬干潟、は前世紀から継続している開発問題がある。地域の生態系が大きく破壊されている。新政権に期待して積極的に活動を続けていく。
■ABS(遺伝資源へのアクセスと利益配分):小林邦彦(ABS作業部会)
今回、非常に注目をあつめたABS。各国の意見が最後まで合意できず、まだ検討が続いている。13条に関し、遺伝資源へのアクセスに関するチェックポイントは設置するが、各国の判断に任されたということが、悪かった点。全体としての遵守(12条)、義務は入りそうたが、手法(13条)は各国に任された。各国の判断にゆだねられるため、義務規定があいまいのまま。
■CEPA(広報・教育・普及啓発):川廷昌弘(普及啓発部会)
小さな芽がひとつ芽生えた。CEPA(Communication, Education and Public Awareness)広報・教育・普及啓発は第13条に記載された締約国の義務。この決議に対し、IIFB(生物多様性のための国際先住民族フォーラム)のムアンさんとともにそれぞれの視点で提案できた。これからL文章として出るものは、我々の提案が含まれた。
先住民ならびに地域共同体、国連生物多様性の10年などの言葉を決議案に入れることができた。国家、地域レベルでCEPA活動のための根拠との実施団体をつくることなどが入り、CEPAの活動を動かす具体的な力になることができる。地域の伝承を守り、知識、技術を伝えることの想いは日本人も先住民のグループの方々も同じ。CEPA決議に関し、IIFBとCBD市民ネットがともに決議文を歓迎する共同声明を発表できたことは、何よりも嬉しいこと。
■生物多様性の10年:柏木実(「国連/国際生物多様性の10年」作業部会)
我々が提案した生物多様性の10年は、新戦略計画を支えるしくみとして機能する。この生物多様性の10年については菅首相も発言。多くの国々、国連機関からも賛同を得られたことは、非常に大きな意味がある。
しかし、新戦略計画が採択されなければ何の意味もない。資金計画、ABSもつながりどうなるかわからない状況だが、。重要なことは決議でなく、tippingポイントが見えている今、きちんと保全策を実施していくこと。イニシアティブに賛同してくれた団体と一緒に、水田に関してもこれから10年間を取り組んでいこうと話し合い進めていく。市民の立場から生物多様性を守る活動を進める。
■今後について:吉田正人(共同代表・NACS-J理事)
CBD市民ネットはCBDアライアンスはじめ事務局との強いネットワークをつくることができた。インドのNGOの方々にもバトンを手渡した。BD10はL20 は午後に採択を待つばかり。すべての生物多様性にかかわる人をつなぎ、資金を集中させるものになる。失敗を繰り返さないために、モニタリングを続けチェックする必要がある。会議があったあと忘れないように日本人はモチベーションを10年間維持する役目がある。この成果を継承するため、2020年を目指し活動を続ける。
規約上3月に一度解散するが、COP11がインドで開催される。現在新たなネットワークの構築の検討に入った。今後のNGO、市民社会の活動につなげていきたい。
(鶴田由美子/広報・編集部)