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COP10 29日 ついに最後の本会議!

2010.10.30
活動報告

未だ、新戦略計画、ABS議定書、資金動員戦略の文書がまとまらない中、雪解けの兆しが見え始めました。

ASB議定書の議長提案とその後の閣僚級会合(および非公式協議)をへた一部修正が行われ、受け入れ可能な案となったという噂が広まっています。

次期締約国会議のホスト国インド政府によるレセプションが行われる中、新戦略計画の会議が急遽決まり、多くの国が合意に向けた発言、特に、少数派の意見を持つ国を説得するような言葉が続いています。

(道家哲平/保全研究部)

 

Oh my god! プレナリーは21時開始だそうです・・・・!!

第2作業部会は20:30-21:00まで会合があると今召集がかけられたので、急ぎ傍聴へ。検討事項の報告書の確認です。国の名前が書いてあるものの発言内容の詳細が書いてない等の雑な状態の文書。

これをここで採択するのか?とスイスから懸念の表明。議長は違う、ただの確認であると。これを15分後に松本大臣に自分から説明するための、その前の確認であると。ページ番号は間違えるしいつも冷静な議長が明らかにあわてています。第2作業部会報告としてプレナリーに報告することを承認してほしい、と議長。そこまで言ったところで松本環境大臣入室する。

みなさん、御苦労さまです、とねぎらいの言葉が大臣からかけられる。お疲れのところ、どうしても決めなければいけないことがあるので協力して欲しいとお礼とお願い。全体会議が我々を待っているという明確な依頼であった、とルナ議長。3つの非公式会合の結果をください。

シンガポールから懸念の声。文章の中にto be completed(これから終わらせる)とあるが、これは事務局が後で埋めてくれるということかと聞く。議長はその通りと回答。

目標5にはincluding forest(森を含む)の2文字を入れる。目標11の17%という数値には懸念がある。これに関しては2方向がある。低い数値を求める国と高い数値を求める国がある。従って私は17%のままにしておくことを勧める。目標14には水に関連するサービスを含む。共同議長のノルウェーが説明する。目標20、ミッションについても説明があったが、時間がなくて資金動員戦略との関連を議論することは出来なかったので提案という段階でとどまっている、と。

もうこれをプレナリーに持っていくしかない、と言うルナ議長にマレーシアが反論。目標16は2020年となっているが2015年にすべきであると。議長は議事録に書くにとどめます、と回答。終わらせたいという議長にボリビアは譲らず、まだ文の挿入、撤回、追加を続ける。議長はノルウェーが出したものが完璧でもなく合意されたものでもないかもしれないが、あなたの発言を許してはここで各国から意見を聞かなければいけなくなるではないか、と返す。

プレナリーでこの文を出したいと言っているわけです、とボリビア。わかりました、ではもうプレナリーに行きましょう、という議長。しかし3カ国が意見を言いたいらしい。時間がないのでこのままプレナリーに行きましょうというエクアドルからの発言は、議長に対するお礼でした。一同拍手。本来は感動的なはずのシーンなのに何だかばたばたしています。

21:35。プレナリーはまだ始まりません。多くの人が使うせいなのか会議開始が近づくと電波が弱くなります(;_;)  22:00 松本大臣も議長さんたちも現れません。。。スタンバイしている通訳の人たちが一番気の毒かも・・・

23時をまわってプレナリー、ようやく再開!
2009-2010予算に関する決定案L43となる。まだ条件つきなものであるとの報告があり,EUから異議が出る。ABS、資金メカニズム、戦略的計画の完了が条件となっている。したがってこれらの作業が終わるまで予算の確定は待ちたいと。

技術移転と技術協力決定案L3、科学技術協力とクリアリングハウスL5、先住民L6、貧困撲滅L16、ジェンダーとの統合 L17、 民間参画L18採択。1つ採択されるごとに拍手。

締約国会議の多年度作業 L8について説明がある。work programmeのかわりにpossible joint activityとし、。SBSTTAの予算との整合をとるためにブラケットを除きたいとの意見。その結果、採択!

条約と戦略計画の実施L24のブラケットを削除しこれも採択!次に大問題のABSについて松本大臣から必死の説明。ABS採択は全ての締約国の悲願。この決定案について各地域グループから賛同。議定書ではなくそれに関する決定、つまりABSに関する決定案L43 rev1について説明したい、とはじめる。松本大臣から議定書の本文について1箇所の修正が提案される。多くの国と議論した結果、7ページ目のcの2行目のgenetic material をgenetic resourceに修正することによりL43 rev1を採択したい、と。

ベネズエラから付属書について変更したいと異議がでる。海賊行為を防止し、自らを豊かにする。遺伝子資源の不正な取引を防止すべき。これが先住民の人たちの権利。この文章はこの要求に答えていない。最初の文案とかなり異なる。自然を消費に変えてしまう懸念がある。ベネズエラはこの文案を認めない。

EUからは何度も、この議定書案、戦略決定案、財政メカニズムの3つを一緒に決めて欲しいとリクエストが出る。それに対してキューバなどからは文書は1つずつ決めていくべき、それ以外に何があるのか、と反論が出る。松本大臣は1つずつ決めたいと言うのにEUは3つ同時という姿勢を崩さない。

またキューバからはまだWGで決断していないことが2点あるのできちんと議論して欲しいとも言われる。エクアドルやボリビアからも意見が出て、まとまらなくなり、少し休憩を言い渡す松本大臣。

ケニア、グアテマラから1つずつ議論することに賛成の意が出る。ケニアからは各国がこれが2ヶ月後に始まる計画であることを認識すべきであるということが強調された。資源が将来の収入を生み出すということでなければならないと。

松本大臣から、WG2で話し合われた重要な議題についてWG2議長のルナさんからの説明を依頼。ルナ氏がUNEP関連L43について話している最中にキューバが発言依頼。議事進行について異議が表明される。

松本大臣が1つずつ話し合い3つそろった時点で正式に採択する、と意見を言うが、キューバはABS議定書を1つ1つ、1回に1つという形で採択して欲しい。それぞれの文章について意見を表明したいと主張続ける。

ケニアをはじめ、3つのものはリンクしているが別々のものであるのだから、1つずつ決めていく議長案に賛成であるとニュージーランドなどが表明。早く家に帰りたいとも(笑)

松本大臣は1つ1つということでご理解くださいと繰り返す。キューバは柔軟性を持ってこの提案を受けることはできる、手続きを尊重している我々は今回は原則を破っているということを認識して欲しいと主張。疲れきった締約国から、今はもう10月の30日である。議長に従う。保全、地球を守る、生物多様性を守る、ということを実施することが重要。手続きの問題で時間を無駄にすべきでない、と意見が出る。大きな拍手が流れる!

BSに関する採択を促す議長にキューバが自分の発言が公式発言レコードに残すことを最後に主張。ベネズエラ、ナミビアからもキューバと同様の意見が出る。アフリカの人たちが資源から利益を受けることを確認すべきであるのこの発言を記録に残して欲しいとナミビアが強調。

ボリビアから熱弁。資源利用や利益配分に関し多くの締約国の現状を踏まえていない。資源を持っている人たちが今の先住民。私たちは文化的社会的に違う非対称社会。それを超えていかなければならない。ボリビアという国はABS採択の邪魔はしない。しかし私たちの不同意の立場を記録に残して欲しい。

最後に松本議長が合意を促す文章が誤訳され、議長席が慌て一同笑う。adoptの代わりにagreeと言った?←未確認)しかし異議も出なかったため、そのまま木槌が打たれ、悲願のABSのL文章が採択される。フロアに大きな大きな拍手!

ルナ議長、共同議長(ノルウェー)から説明が続く。ミッション、目標11、14、16、20、財源(パラ22)についてのL文章。
目標11の保護区の目標数値も陸と内陸水あわせて17%、海10%で合意ができるもの、と説明。

ブラジルから1つ言いたい、と異議が出る。目標16に名古屋議定書とあり、そこには願わくば10年後に発効する、という妙な文がある。もう少し時間を早めたい。2015年とするのはどうか?

ブラジルからの変更を加えて、目標は採択となる!松本議長から、愛知ターゲットと命名し、その旨を戦略計画に記し、最終合意としたいと提案。採択!フロアから大きな拍手!

L45財政メカニズムL46資源動員メカニズムについてルナ氏から説明が続く。最初にL46(資源動員)について。名古屋会議で最も問題となり長期議論された事項である。松本大臣が資源動員戦略L45、L46を同時に合意確認したい、と言うが、沈黙続く。議長、その前にノルウェーに説明をお願いしたい、と言う。

ノルウェー(共同議長)がスイスに発言を促す。スイスは我々はファシリテーターではない、と言い混乱。オーストラリアが手を挙げ説明。L45、L46は条約の3つの目標を達成するために必要なもの。全ての締約国が大方合意。しかし小さなブラケットがいくつかある。最初のものはABS議定書が採択されたので全てのブラケットを外すことを提案したい。

2つ目についてはCOP11か12としたい。これは COP11まで待つということではない。締約国は生物多様性の損失を進めるためにということでコミットしている。最後に二択が残っているので、ここで決めたい。どちらのオプションを選ぶか、締約国にお伺いしたい、とオーストラリア。

ナミビア、ブラジル、スイスなどから、「次のCOPでdecide to adopt(採択することを決める) としたい」と野心的なオプションの選択案が出る。採択される。一同拍手!

ボリビアから異議が出る。文章の追加と日付(2011年6月30日以前に)と追加リクエスト。松本大臣は、ルナ議長からはこのような意見は聞いていない。このようなケースの場合、どうしたら良いのか、各国に意見をお伺いしたい、と尋ねる。ボリビアは松本議長が採択をする前からのリクエストであったとして追記を要請する。松本大臣は木槌をたたく前にボリビアの発言はなかったのでL45はもう採択されていると毅然と断り、ボリビアから発言があったことは記録しておく、と回答。L46について合意を確認したいと続ける。

ルナ議長からL46については合意を得られる状況になかった。次に持ち越したい。この文書についてはプレナリーでの採択はない、ということを提案したい、と。キューバが支持。コンセンサスがないので採択すべきでない、とキューバ。

L46は採択しないということで一同合意。3つの指標について合意が確認されたのでこれら3つについての正式な採択をこれから行いたい、と松本大臣。

ボリビアがL46の内容がL45に含まれることはとても重要だという。松本大臣は次のように答える。多くの国が妥協と議論を重ねて今日に至った。このWGの結果をもって最終案としたい。ボリビアが再度同じことを主張するが、大臣はまた断る。キューバが発言。沈黙が続く。

ボリビアから全ての締約国が公平に意見を述べることが出来るようにしたいと提案があり、ブラジル、ウルグアイ、エクアドルが賛意を表明。これらの国々からの発言を会議の記録にしっかりとどめる、と松本議長が答えるが、何かもめている。ボリビアに再度ゆっくり説明を求めることにしたいと大臣が発言。

ボリビアからの資金メカニズムに関する情報をまとめて欲しいという修正を入れて、採択。それでは3つに関する正式な採択を行いたい、と大臣。

1:28、ついにABSについてのL43rev1文書、採択された!

COP10 ABS 新戦略計画 資源動員 採択一同拍手!大きな拍手!みな立ち上がって拍手する!拍手が続く!

大臣、新戦略計画に関して異議があるか?と続ける。異議なし。採択!再び大きな拍手!
最後に資源動員戦略、L45についても採択!一同立ち上がり大きな拍手!
 松本大臣からお礼が述べられ、再び大きな大きな拍手! 続いて8条について事務局から説明。L7を採択!最大の山場を越え去っていく人々が出始める・・・

教育普及に関するL33、採択。L39も採択。財政メカニズムの追加的ガイダンスL47、採択。他の条約との関係に関する決定案L28、採択。どこかの国が何か怒って帰ったようだが通訳されなかったので事情がわからない。L10、採択。資金メカニズムも採択。L49、インドからCOP11の開催地としてデリーの削除依頼が出た部分を改めて採択。

マラウイから愛知県、日本政府、名古屋市にお礼の言葉が述べられる。一同拍手。マレーシアが発言。空の議定書に満足してはならない。生物多様性を守る上で非常に大きなマイルストーンとなった。完璧でなく得たところ失ったところもあったが途上国にとって大きな進歩。代表してお礼を言いたい、と。

マレーシアと日本との暖かい友情について最後に強調され、議長に再度お礼が述べられる。スイスタイムではなく日本タイムで会議が進んだことに関しても触れる(笑)。

続いてEU。タフな2週間であったものの、家に帰って子供に「ママは2週間の休暇ではなくあなたたちの未来を守ったのよ」と言える、と。大きな拍手!!大臣もうれしそう。

ナミビアから今からハードワークはこれから始まるということが再度強調される。人類への贈り物としてABS議定書が採択されたことは重要。私は大変幸せだと思う、と続ける。アフリカからもお礼が続く。大臣から多くの国々から発言希望があるが、まず報告書の採択をしたいと言葉がある。

第1作業部会の報告書の採択、全体会合におはかりしたいと大臣。異議なし。採択!WG1の議長ハフラーさんがスクリーンに大写しとなる。とてもうれしそう。第2作業部会の報告書にうつる。異議なし、採択!WG2の議長ルナさんがスクリーンにうつらないのでちょっとがっかり・・

松本大臣から通訳にお礼が述べられる。一同拍手!通訳ブースにVサインを送る人もいる。

ウクライナが中東欧を代表してお礼を述べる。生物多様性の損失などどれも重要だが、ABS議定書の採択は特に重要、これによって条約の実施が出来る、と強調。みなさんが安全に国に帰ることを祈る、と。一同拍手。

次はマラウイ、アフリカを代表する。COP10で努力したみなさんにお礼を申し上げる。アフリカ経済に大きく貢献する。今日の結論、名古屋議定書、ABS議定書の採択を歓迎。21億円の日本資金のABSへの供与に感謝。みなさんに感謝、特に愛知のみなさんに感謝が述べられる。

クック諸島が続く。ホスト国、愛知、名古屋、事務局にアジアパシフィックからお礼。資金メカニズムの確立は戦略の効果的実施に重要。日本政府の21億円にお礼。お金を能力開発にすぐに使える形にしていただきたい、と強調。お金ばかりを強調されるとちょっとさめる・・・

サウジアラビアからお礼が述べられるが、熱意が伝わってくるものの、英語が聞こえてこない(=日本語にもならない)。母なる地球に対するコミットメントが強調される。アラーの神もお礼の言葉の中に出てくる。

アルゼンチンからグルーラックを代表してお礼。スイス、私たちが達成した成果に対して誇りに思う。何週間にも渡り決裂してきた交渉、締約国の妥協の精神、議長にお礼を述べたい。大きな、とても大きな拍手!

続いてIIFB((生物多様性のための国際先住民族フォーラム)からスピーチ。 倫理協定、8条j、保護地域などについて歓迎。先住民、地域社会について議論が進み、ILC(先住民族およびローカル共同体)が決議のプロセスに入ったことに感謝。

沖縄のみなさんと一緒に辺野古への基地移設反対を示すことができた、地球の未来を守る一歩ができたことにお礼を述べる、とIIFB。2:20となり通訳は英語、日本語のみとなる。ベリーズからお礼が述べられる。

インドからもお礼。ベストを尽くしてCOP11を開催したい、と。COP11の成功を祈る、と松本大臣。韓国が続く。議長の最後の数日のリーダーシップに敬意を表明。ABSの名古屋議定書を特に評価する。今日は忘れられない1日になるでしょう、と。一同拍手。

ニュージーランド、LMSの女性を代表し発言できることをうれしく思う。議長へ心から感謝。続いてネパールからお礼。おはようございます、と(笑)始める。特にABS交渉関係者に感謝を述べる。

NGOが続く。ウガンダ&カナダの女性から発言。
多くの諸国が集まり高い野心で共有したビジョンを持った。ビジョンを達成するために、自分たちの共同した知識を活かし、持続可能な社会の構築に向かうべき。
国際的なYOUTHプラットフォームができた。保全に向けて具体的な計画を示していきたい。COP10で決められたことを子ども、孫、ひ孫のために実行して欲しい。みなさんがリーダー、それを引き継ぐのが私たち。みなさんがうまくいかなければ、それ引き継いでしまうのが私たち、とユースとしての強いメッセージ。

松本大臣から閉会の挨拶がある。大きな成果をあげての終了をアナウンス。 第1作業部会議長、第2作業部会議長、それぞれのコンタクトグループ議長への感謝を表明。ABSの共同議長2名の長年にわたる努力に感謝を表明。フロアから大きな拍手!代表団、先住民、地域社会、女性、市民社会、研究者、ビジネス関係者にお礼。

愛知県、名古屋市、支援実行委員会、通訳、スタッフにもお礼。今日の成果について改めて強調。野心的かつ現実的なものとして愛知ターゲットが採択されたことの意味、ABS議定書について述べる。日本は今後2年間議長国となることに対する決意を表明。全ての会議参加者に感謝表明!会場から大きな拍手。

最後にジョグラフ氏からスピーチ。これまでになかったことが起こったことに感謝。議長たち、事務局スタッフの表彰。遅い時間なのに残ってくださったみなさん、ありがとうとお礼。最後に日本国民のみなさんにお礼!

AM3:00 これにて閉会!

(安部真理子/保護プロジェクト部) 

 

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