米軍普天間飛行場移設計画「勝連沖案(ホワイトビーチ沖案)の断念」
米軍普天間飛行場移設計画「勝連沖案(ホワイトビーチ沖案)の断念」報道について(コメント)(PDF/92KB)
米軍普天間飛行場移設計画「勝連沖案(ホワイトビーチ沖案)の断念」報道について(コメント)
2010年4月12日
日本自然保護協会
保護プロジェクト部 部長 大野正人
日本自然保護協会は、普天間飛行場移設計画の候補地としてあげられている勝連沖案(ホワイトビーチ沖案)に対して、辺野古・大浦湾の海域の調査・保護活動に取り組んできた経験から、以下のように考えている。
この海域は、豊かなサンゴ礁生態系が残されているにも関わらず、「サンゴが死滅しているから環境影響は少ない」とし、辺野古での環境問題を何も踏まえていない見解に、大きな危機感を抱いてきた。
1,021ha(東京ドーム約205個分)の埋立てによる巨大な基地建設は、勝連諸島域の大規模なサンゴ礁生態系(石西礁湖や慶良間諸島に匹敵するほどの面積)に直接的な影響を及ぼし、ひいては中城湾・金武湾と二つの大きな湾へも間接的な影響を及ぼす可能性が高い。したがって、改正アセス法による「環境アセスメント」は困難を極め、長期化し、ますます普天間移設問題の解決を先送りするだけである。
このように、幾多の問題を抱えているにもかかわらず、シュワブ陸上案と合わせて将来的な移設先として選定した場合に、現政権の社会的・世界的な信用は大きく揺らがざるえないものになるに違いない。
4月9日産経新聞(朝刊トップ)、4月10日毎日新聞(朝刊トップ)で、「ホワイトビーチ沖案断念」とし、政府が実現不可能としていることが報じられた。
この「ホワイトビーチ沖案断念」の判断に期待するとともに、鳩山首相自らが、豊かなサンゴ礁を埋め立てるといった前時代的な発想から脱却が図り、「豊かな沖縄の海をこれ以上破壊しない」という固い意志を国民にすべきである。
政権交代後、辺野古沖V字案は事実上取り下げたられたが、安易な候補地案が次々と浮上し、県内の市民団体は翻弄されてきた。一方で「与勝海上基地建設計画に反対するうるま市民協議会」が素早く抗議や調査等の行動に移し、意識と運動を盛り上げてきたことが、鳩山首相にとって無視できない状況を作り上げた。
これ以上、自然環境や住民意識を軽んじた政策決定をすべきではない。
以上