大浦湾チリビシのアオサンゴ群集の白化現象について(中間報告・続報)
2010年2月12付け 中間報告・続報(PDF /551KB)
2010年2月12日付け プレス・リリース原文(PDF /85KB)
プレスリリース別紙(図版)(PDF /231KB)
プレス・リリース
大浦湾チリビシのアオサンゴ群集10~11月で白化が半減、現在ほぼ回復している
沖縄「大浦湾チリビシのアオサンゴ群集」の2009年夏に起こった白化現象について、2009年10月10日~12日、日本自然保護協会、沖縄リーフチェック研究会、すなっくスナフキンによる現地潜水調査を実施した。アオサンゴ群集にメジャーを引き0.5mおきに観察した調査ポイントのアオサンゴうち、45.7%が白化していたことを明らかにしてきた(2009年11月25日発表)。
その後、モニタリング調査を続けてきた結果、3,4カ月でほぼ回復していることが分かった。
- ポイントサンプリング法による調査結果(10月12日、11月30日)のうち、基準のモニタリングラインだけを比較すると、1カ月で白化率が半減し回復傾向にあった。
10月白化率 33.3 % → 11月白化率 15.8 % - 定点観察エリアのアオサンゴ樹枝状部にマーキングして月1回程度、観察記録した。その結果、白化していたものでも、徐々に回復し、1月調査時にはほぼ100%回復していた。
- 2008年5月から珪藻類の付着が観察されてきたが、白化の回復にともない減少している。
▲定点観測用のインシュロックマーカーの位置(各地点に10本ずつ設置)。浅い方からSt1、St2、St3と設置。
▲樹枝状部が完全に白化している様子(左、10/12観測)、 樹枝状部に色が戻り平常の褐色に戻った様子(右、11/14観測) (写真提供:すなっくスナフキン)
サンゴに共生している褐虫藻が減少して白化がおきたが、何かしらのストレス状況が改善したことにより褐虫藻が戻り、正常な状態のアオサンゴに回復していると考えられる。短期間で回復したことはチリビシのアオサンゴ群集、大浦湾海域の自然がもつポテンシャル(豊かさ)が失われていないことの表れともいえるだろう。
このようなアオサンゴの白化現象をモニタリングした調査報告、珪藻類の付着と白化現象の研究例は今までになく、今後も、継続的なモニタリング活動を続け、珪藻類や海水温などとの関係から、大規模な白化現象を引き起こした原因などを明らかにし、保全策に役立てていきたい。
なお、3月14日にポイントサンプリング調査を予定している。また、この白化現象からの回復も含め、大浦湾の海生生物を観察・記録してきた「すなっくスナフキン」による写真展が開催されている。
関連イベント
<ワッター海の写真展 大浦湾の生きものたち 巡回展>
ダイビングチーム すなっくスナフキン (代表 西平 伸)
<問合せ先>
日本自然保護協会 保護プロジェクト部 大野正人