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拝啓 オバマ大統領・鳩山首相! 辺野古・大浦湾の自然は大事なんです。

2010.01.01
活動報告

会報『自然保護』No.513(2010年1/2月号)より転載


アオサンゴ群集の白化緊急調査

2008年から始めた大浦湾アオサンゴ群集の合同調査の成果をもとに、9月に地元団体を中心に沖縄県議会に天然記念物指定の要請を行いました。その矢先、アオサンゴ群集の白化が見つかり、NACS-Jは、沖縄リーフチェック研究会などと緊急調査を企画し、沖縄県内外の延べ39名の市民ボランティアとともに潜水調査(10月10~12日)を実施しました。

約50cmおきに700地点の記録を取り、データを集計したところアオサンゴの約46%が白化していることが明らかになりました。アオサンゴの白化の例はこれまで報告は少なく、枯死してしまうのか、回復するのか、今後も地元グループとともにモニタリングを行っていきたいと思います。

 

100101アオサンゴ緊急調査(阿部真理子撮影).jpg

100101辺野古_白化サンゴ.jpg

▲サンゴの異変の発見から即座に詳細な白化の状況が調査され集計された例はなく、市民ボランティアの調査者と技術的なアドバイザーでもある研究者の協力のもと、NACS-Jのような全国組織と地域NGOの機動力が発揮された成果となった。(写真:阿部真理子)

 

この緊急調査は、ちょうど普天間飛行場移設事業の環境影響評価手続きの中で知事意見が発表される直前であったため、県内のマスメディアに注目され、全国紙でも報道されました。これだけの白化が起きたということは、すでにアオサンゴにとって何らかのストレスがかかっていると考えられ、「影響なし」とした準備書の影響予測は、前提が変わったこの時点で意味を成さないものとなっています。

これまでNACS‐Jが地元団体と協力しながらジュゴンの餌である海草、大浦湾の生態系、アオサンゴ群集などの調査に基づく保護活動によって、この海域の生物多様性をアピールしてきたことが、環境影響評価の審査会の議論の場でも意識され、準備書の多くの不備の指摘につながっています。そして「机上の予測を超えた影響が懸念される」とし、「十分とは言えないジュゴンの生態調査に対して複数年調査を要求する」、などの知事意見にも反映されています。

にもかかわらず、普天間飛行場移設計画が止まらないのは今の環境影響評価の制度に限界があり、安全保障や外交防衛上の問題が大きく関係するためです。普天間問題解決を公約にかかげて政権交代した新政権が、いかに政治的な決着を図り、この膠着状態から脱するかに注目が集まっています。

 

首脳会談に向けメッセージ発表

オバマ大統領の初来日(09年11月13日)に向け、首脳会談で普天間飛行場移設問題は交渉しないという事前報道を受けて、NACS‐Jでは両首脳に向けメッセージを発表し、辺野古への移設事業の白紙化、軍事機能の再検討、米国の生物多様性条約への批准と地球規模での貢献を求めました。米国は、これまでも条約の締約国会議にオブザーバー参加だけはしたものの、米国内の産業界から遺伝資源の利用制限に関し抵抗があるため条約の批准をしていません。

米国は消極的だった気候変動への取り組みを加速させました。生物多様性の保全についても、次の生物多様性条約締約国会議の議長国・日本が同盟国米国に大国としての貢献を働きかけるべきです。今後もNACS‐Jは辺野古・大浦湾の自然環境保全を確実にし、国が生物多様性保全に基づいた政策を展開するよう活動を進めていきます。

(大野正人/保護プロジェクト部)

 
*寄付のお願い:環境や政治の状況の変化に応じて、辺野古・大浦湾の保全のために活動していきます。緊急支援のご寄付を、心からお願いいたします。

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