諫早湾の潮受堤防の開門を求める声明を発表しました。
2008年7月11日
諌早湾干拓事業潮受堤防排水門の開門を求める声明
福田内閣は、G8サミット合意、生物多様性国家戦略に立ち返り
控訴を取り下げ、有明海再生に向けた政策展開を求める
(財)日本自然保護協会
6月27日佐賀地方裁判所の判決以降、被害を被ってきた漁民、弁護団をはじめ環境NGO、また多くの国民が、控訴断念と中長期開門調査の実施を要望してきた。農林水産大臣が、佐賀地方裁判決を不服とし控訴したことは、これら国民に対する、侮辱的な行為だ。
排水門を開いた場合の環境アセスメントを行う方針が示されたが、これは「中・長期開門調査」とは異なるもので、開門を前提とした干拓事業の影響を実証し、有明海の再生を目指すものとはいえない。
開門の環境アセスメントは、農林水産省の都合により開門しないことを合理化するための口実づくりになりかねない。したがって、環境省は安易な調整にとどめず「国の環境保全をつかさどる行政府」として、干拓事業の影響を実証する「中長期開門調査」を科学的に推進すべきである。
G8サミット合意文書にある「生物多様性の保全と持続可能な利用の決定的な重要性について認識し、生物多様性の脆弱性についての懸念を共有する」「生物多様性の損失速度を顕著に減少させるための努力を増大させる」ことは、世界と国民に向けた宣言である。それにも関わらず、G8サミット議長を務めた福田首相が控訴の判断を農林水産大臣に委ね、国が控訴したことは、この宣言を踏みにじるものである。
私たちは、「藻場・干潟の保全・再生」を盛り込んだ「農林水産省生物多様性国家戦略」、湿地・干潟の重要性を強調した「第三次生物多様性国家戦略」にもとづき、政府に対して、控訴を取り下げ、中長期開門調査を早期に実施し、有明海再生に
向けた政策が展開されることを強く求める。