CBD・COP9レポート4 カルタヘナ議定書会議解説
カルタヘナ議定書会議の様子について、少し前後関係がわかりましたので、報告します。
今回のカルタヘナ議定書会議は、liability and redress(責任と救済)について成果を出す会議でした。「責任と救済」とは、遺伝子組み換え生物の規制について必要なPrevention:防止、precaution:予防と並ぶ、3本柱のひとつです。
もう少し説明をします。遺伝子組み換え生物(GMO)の利用は何らかの形で、危険を伴うものです。そこで、まずはその危険を減らすなどpreventionが行われ、危機が予測できない場合は使わない、あるいは強い規制をかけるなどのprecaution、どうしても、被害が起きた場合は、組み替え技術の提供者が生態系の復元や賠償などを提供するなどの責任を果たすliabilityというのが、GMOを巡る枠組みです。
さて、国際交渉では、非合理的な発言をし、かつ主張を変えないというのが最も非難される態度です。国益などの合理性があれば、知恵を出しあってなんとか合意の道を探るというものですが、今回、日本はGMOについて有数の輸入を行っている国であるのに、輸出する側の責任をできる限り弱めることに終始し、主張を変えないというのが批難の点です。
例えば、「国内法で承認されたGMOについては、提供者の責任を問うべきではない」というのが日本の主張です。しかし、法制度で承認されていても予期せぬ被害が起きるのが、GMOをめぐる問題なので、それはおかしいとNGOは主張しています。また、GMの被害国の多くが発展途上国ですので、発展途上国のおおくがカルタヘナ体制の強化を主張してますから、そこからも日本の態度は批難が出ています。
カルタヘナ議定書は主に経産省が担当となって進めてきました。
もちろん、COP10のホストになることを主張しているのに、合意に向けた努力を少しも見せようとしないことも輪をかけて問題視される理由となっているようです。
(保全研究部 道家)