新しい国立公園のモデルをつくる 尾瀬国立公園協議会が始まりました。
会報『自然保護』No.502(2008年3/4月号)より転載
2007年8月30日、尾瀬国立公園が日光国立公園から独立、誕生しました。これに先立ち、尾瀬では今後の保護と利用のあり方の検討会議が開かれ「みんなの尾瀬を みんなで守り みんなで楽しむ」を基本理念とした保全管理の基本方針や、取り組むべき課題を、「尾瀬ビジョン」としてまとめました。
一方で、環境省は「国立・国定公園の指定及び管理運営に関する検討会」を同時進行させ、許認可中心で積極的な管理運営がされてこなかった国立公園の新たな保全管理のあり方を探っています。その中で、多くの関係者で管理運営を進める、保護管理モデル事業の実践地に尾瀬国立公園が指定されました。
こうした流れを受けて、08年1月18日に第1回尾瀬国立公園協議会が開催され、NACS-Jからは横山隆一・常勤理事が委員として参加しました。
国立公園に指定した行政機関だけでなく、公園に関係する多くの主体が参加して管理と運営にかかわるということは、実際には簡単ではありません。地域の関係団体の数も多いので、これまで以上に観光利用の希望も出されていくことでしょう。
NACS-Jはアヤメ平や至仏山東面登山道のように、一度失われた自然環境の復元が困難であるという認識を関係者と共有し、尾瀬の自然生態系が持つ許容量の範囲内での利用のあり方、保護管理となるよう提言していきます。
(辻村千尋・保護プロジェクト部)
▲至仏山東面登山道周辺の植生荒廃の様子
ご参考
「尾瀬ビジョン」(尾瀬保護財団) *平成30年改定
https://www.oze-fnd.or.jp/archives/88484/
「管理運営検討会報告」(環境省)
http://www.env.go.jp/nature/koen_kento/