アジア地域自然保護フォーラム日記 4
■セッション4 開発に関する新たなモデル
このセッションは、IUCNの地域理事である赤尾信敏氏からの解説で始まりました。赤尾氏からは、日本の「もったいない」という言葉の紹介や「3R (Reduce, Reuse, Recycleの頭文字)」などの紹介があり、急速な経済発展を見せるアジア地域はことさら、20世紀型でない「発展」とは何かを考える必要があるとして、セッションが開かれました。
特に私が印象に残ったのは、GNP国民総生産ではなく、「国民総幸福Gross National Happiness (GNH)」を指標として提案しているブータンからの報告です。最近注目されているため、ご存知の方もいるかもしれませんが、GNHという国の発展の指標は、ある意味ではきわめてシンプルな考えです。つまり、国の発展を「どれだけの生産が行われたか」ではなく、「どれだけの幸福を生み出したか」で測るのです。
もう一つ初めて知る事例が紹介されました。タイの事例です。タイは、1997年に非常に深刻な経済危機に見舞われました。その後、新しい経済に関する哲学が国王から提案されたのです。英語でsufficient economy philosophyと表現するもので、やや乱暴に日本語に訳せば「足るを知る経済哲学」とでもなるでしょうか。中国やインドのような「アジアの虎」と呼ばれなくてよい、極端な政策をさけて、平和や自由という価値を尊重する社会を目指そうという提案をタイ国王陛下がされているということです。
日本でよく使われる「環境と経済の調和」という言葉よりもずっと魅力的な響きを持っているように思います。
開発ということを考えるときに経済をおいて議論はできません。では、その経済部門はどうあるべきか、それがセッション5のテーマです。
日本の事情を紹介しているところ
(保全研究部 道家)