保護林をどのように管理していくのか?「保全管理委員会」が始まりました。
2007年7/8月号より転載
NACS-Jでは小笠原諸島の生態系を守るため、林野庁と協働し、一般的な国有林の99%以上を森林生態系保護地域として設定することに成功しました(2007年4月1日から/『自然保護』06年11・12月号参照)。また、設定に際して、常設の保全管理委員会をつくり、自然保護・修復の事業を計画的かつ積極的に行っていくことも合意されました。委員会は、地域NPO・NGOの代表者を含む10名で構成されています。またこれとは別に島外の専門家8名によるアドバイザー会議があり、NACS-Jからは横山隆一常勤理事が参加することになっています。
5月18日、第1回保全管理委員会が開催されました。委員会では、運営の仕方について、保護地域設定の際の考え方との整合性や、島民の皆さんの意見の吸い上げ方、父島の国有林内に無許可で道を整備している事例などについて質疑応答が行われました。その中で、関東森林管理局からは、今までの人の利用を前提とした考え方ではなく、保全管理の基本は森林生態系の保全であり、人為インパクトの軽減を図ることが重要であるというコメントも出されました。
今、小笠原には絶滅の危機に瀕している種がたくさんあります。無秩序な利用が小笠原諸島の生態系に大きなダメージを与えることは容易に想像できます。NACS-Jは、小笠原の保護林が持つ課題を解決するための具体策を提案し、小笠原の自然が本来の姿を取り戻し、後世まで守られるようなしくみづくりに取り組んでいきます。
(辻村千尋 総合プロジェクト小笠原担当)
国有林の保護林内の踏み分け道。こうした道はガイド業などでも使われ、縦横無尽につくられてきた。(父島)