EUの一大環境イベント Green Week
私は今、ベルギーを訪れています。
ベルギーのブリュッセルでは、2000年からGreen Weekという催し物が開かれています。およそ1週間(今回は、6月12日~6月15日まで)シンポジウムや展示などが行われるのです。
2006年のテーマは「生物多様性」でしたが、今年はローマ条約(欧州共同体設立のきっかけといわれる条約)の50周年を記念し「過去に学び、未来に挑戦する(Past Lesson, Future Challenge)」というテーマで、さまざまなイベントが開催されています。
なんと参加予定者は4000人!
EU各国からNGOや行政役人、研究機関が参加するのです。
イベントのひとつに、欧州環境庁主催のシナリオワークショップがありました。
欧州環境庁が数回のワークショップを通じて作った「2037年の欧州の土地利用の変化のシナリオ」をワークショップ参加者で議論するというものです。
「技術革新」を追い求めた場合のシナリオや「環境意識が高まり、足ることを知る社会」のシナリオなど5つのシナリオが用意されています。
国際的な議論を見てみると、例えばミレニアム生態系評価も同様ですが、「将来予想されるシナリオを作る」ということが最近流行っているように思います。
別の見方をすれば、私たちの社会が分岐点にたっているということの現れかもしれません。グローバリゼーションを進めてよいのか、あるいは地方分権はどうかかといったなど社会の基本的方向性をどうすべきかが問われているのかもしれません。
日本政府が開催国として名乗りを上げている「生物多様性条約第10回締約国会議」は、2010年以降の世界の生物多様性保全の未来像を決める重要な会議です。それに向けて、自然保護の日本版のシナリオを構想してみるというのはいかがでしょうか。
(保護・研究部 IUCN担当 道家)