戦略的保全地域情報システム(SISPA)づくりを 進めています。
2006年3/4月号より転載
これまでの自然保護活動の中では、「重要な自然の残る地域が開発予定地になっていた」ということに気が付いたときには、既に法的な手続きがすべて終了し、手遅れである状況が多く見られました。
そうした状況を未然に防ぎたいと、NACS-Jは1996年に全国の危機に瀕した植物群落をリストアップした植物群落RDBをつくり、広く一般に公表しました。しかし、その後の群落の状況を検証してみると、開発を未然に防ぐことができた場所もありますが、強引に破壊されてしまった場所も少なくないことが分かってきました。また、国や県などによって保護地域が設定されていても、開発が優先されてしまった地域もありました。
そこで、NACS-Jでは、自然保護助成基金との共同事業として、重要な地域が開発計画から守られているかを地域の自然保護活動をしている人たちが、開発計画以前、または初期段階で評価し保護対策が立てられるよう、GIS(地理情報システム)を活用した情報基盤づくりを進めています。
これはNACS-Jが独自に収集した全国の自然環境に関するデータや、法的な保護区域の整備状況、道路や発電所、ダム建設などの開発に関するデータを、一元的に管理し、自然保護に関する情報の共有化と戦略的な自然保護の実現をはかろうとするものです。2007年度からの一部運用を目指して作業を進めています。
(朱宮丈晴/保護・研究部)
▲SISPAの画面。フリーの閲覧ソフト「Google Earth 」を使用し、閲覧できる。左:九州上空から見た国立・国定公園/右:宮崎県・小丸川揚水発電所周辺(黄色は送電線、赤は鳥獣保護区)