AKAYAの情報を記録するための GISベースマップができました。
会報『自然保護』No.487 (2005年9/10月号)より転載
AKAYAプロジェクトでは、自然環境モニタリング活動の基盤をなす道具として、地理情報システム(GIS)を製作しています。このほど、1万ha(10㎞四方)の「赤谷の森」を網羅し、地形、大まかな植生や土壌区分、林班・鳥獣保護区域などの基礎情報が入ったデジタル・ベースマップが完成しました。
このベースマップに、今後行なわれる自然環境モニタリングの成果が続々と蓄積されていきます。また、地元の方々への聞き取り調査に基づく過去の野生生物目撃記録や、林野庁による森林施業の記録なども入力することを構想しています。いわば、「赤谷の森」の過去と、刻一刻と変化する現在の姿とを、GISに蓄積していくことになります。
このGISをもとに、生物多様性の復元に向けたプログラムをどのように組み立てるか、関係する団体や研究者が頻繁に話し合っています。科学的な情報を蓄積し、いろいろな要素を重ね合わせながら討議をすることによって、プロジェクトに関係するあらゆる主体が、赤谷の森の過去と現在、あるべき未来に関する認識を共有することができます。この認識が、協働による地域環境管理の取り組みに欠かせない「共通財産」です。
(茅野恒秀/総合プロジェクト・AKAYA担当)