至仏山登山道沿いの「ハザードマップ」が完成しました。
会報『自然保護』No.463(2002年1/2月号)より転載
2年前から群馬県の委託事業として取り組んでいる至仏山保全事業は各調査を終え、保全対策を策定する段階に入っています。
詳細な航空写真や植生図、地形図を重ね合わせてパソコン上に表示し、その場所の自然の健康診断を行なうことのできる「至仏山調査基盤システム」により、各荒廃地の崩壊度合いはさまざまな土地環境の種類によって大きく異なることがわかりました。
至仏山の利用・保全を考えるためには、登山道がどのような土地を通っているか―場所によってはとても脆弱なところもあります―が重要な検討課題であることが明らかになったのです。
そこで私たちは、登山道沿いの環境を地質(ジオロジー)と生態系(エコロジー)から総合的に判断し、9つに分類した「ジオエコタイプ」の考え方をつくりました。
また、各ジオエコタイプの強度(踏みつけや侵食に対して強い⇔弱い)をランクづけすることによって「ハザードマップ」を作成しました。さらに、対策を行なう場所を確定するための区画(一辺の長さが50mのマス目)で登山道周辺を区切り、区画ごとに規則的な番地をつけました。(図参照)
現在、このハザードマップと各調査結果を元に、保全対策を行なう場所を区画単位で決め、至仏山の総合的な保全対策案を作成しています。
金子良知夫(総合プロジェクト・尾瀬担当)