那覇防衛施設局がボーリング調査を強行。 ジュゴンへの配慮なしと抗議声明発表
2004年11月16日
那覇防衛施設局長 西 正典 殿
(財)日本自然保護協会
理事長 田畑 貞寿
那覇防衛施設局による名護市辺野古海域の地質調査のための海底削孔作業着手に対する抗議声明
日本自然保護協会は、市民参加による海草藻場調査「沖縄ジャングサウォッチ」で得た知見をもとに、これまで那覇防衛施設局などに対し数多くの問題指摘を行ってきた。しかし、那覇防衛施設局は、名護市辺野古海域において普天間飛行場代替施設建設のための地質調査(以下、ボーリング調査)を9月9日に強行し、当協会が抗議声明を提出したのにも関わらず、その後もボーリング調査を行い続けていることは大変遺憾である。
さらに、11月16日、那覇防衛施設局は、ボーリング調査のための海底削孔作業に着手した。那覇防衛施設局による調査で、新たにジュゴンのものである可能性がある食跡が確認された(10月29日発表那覇防衛施設局ホームページ「調査状況および環境監視結果」より)にも関わらず、その箇所について「今後実施予定のボーリング調査期間中(月1回程度)及びボーリング調査終了後1回の食跡確認の機会にスポットチェック法で確認」「近接ボーリング箇所について足場設置の際、再度、海草藻場の状況を概ね50mの範囲において確認」するというだけの対応で海底削孔作業に着手したことは、ジュゴンの来遊の可能性を的確に把握する前に辺野古海域から追い払うに等しく、ジュゴンに配慮しているとはとてもいえない。
また、「調査状況および環境監視結果」には、新たに確認されたジュゴンのものである可能性がある食跡が、「最も近いボーリング箇所(1-2地点)から約370m程度離れた地点」にあったと記載されているが、同資料の別紙1に示されている通り、過去に確認されたジュゴンの食跡や大型動物の糞は辺野古漁港への航路付近に集中しており、ジュゴンがボーリング調査地点のすぐ近くを通過し、マナヌグチを使って海草藻場にアプローチしている可能性が示唆される。このため、今回の海底削孔作業への着手は、ジュゴンの採餌行動に悪影響をもたらすことも予想され、ボーリング地点との距離のみの配慮では十分ではない。
以上のようなことから、那覇防衛施設局は、海底削孔作業を即刻中止すべきである。また、海底削孔作業以外の調査についても、調査がジュゴンおよび海草藻場を含むサンゴ礁に与える影響を懸念する市民にまったく答えず、環境影響評価前に埋め立て工事に着工し、環境改変を行うに等しい行為であることから、即刻中止すべきである。
連絡先:
財団法人 日本自然保護協会(NACS-J)
保護・研究部:大野・小林