AKAYAプロジェクト「協定」締結 地域環境管理が始まりました。
会報『自然保護』No.479(2004年5/6月号)より転載
この4月1日から、プロジェクト・エリアとした国有林を所管する利根沼田森林管理署内に「赤谷森林環境保全ふれあいセンター」が設置され、4人のスタッフが配置されました。センターは近い将来、エリアの入り口にある温泉宿とともにAKAYAプロジェクトのもう一つの活動拠点として、プロジェクト・エ
リア隣接地に移ってくることが予定されています。
今までは「構想」であった、現実の自然の「協働しての保護・管理・活用」が、1万haの谷と森で、地道に始まります。
昨年から先行させてきたプロジェクト・エリアでの自然観察指導員講習会は今年も計画中、会員の方々向け企画の『リアルネイチャー・キャンプ』は5月に新緑をテーマにして企画されています。ぜひ一度、お出かけください。
AKAYAプロジェクト推進のための協定書(骨子)
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・ | 協定の基本理念(第2条) |
(1)生物多様性を科学的根拠を持って確保する (2)自然を損なわぬように活用していく地域づくりを進める (3)関東森林管理局・NACS-J・地域住民の三者協力の下に活動する |
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・ | プロジェクトの具体的な活動内容は「企画運営会議」により決定する(第5条) |
・ | 「野生生物観察施設」など、必要な施設の設置を可能とする(第6条) |
・ | 協定の締結期間は2011(平成23)年3月末までの7年間とする(第8条)/(その後は10年を基本単位として更新する) |
■プロジェクト・エリアを、あなたの「研究」のホームグラウンドにされませんか?
今年NACS-Jは、地域の自然を正確に知るためのモニタリング調査の方法を定めることを進めます。どうすれば長期的な環境保全を支えることができる体系
的なものになるか、成果は「生物多様性復元プログラム」の策定に直結しますので、多くの研究者の方々の協力が必要です。また、このエリアの中で、野生生物
の生態把握、環境診断、渓流環境保全、環境教育の研究実践の希望を持たれる若手の研究者の方々に、研究のホームグラウンドにもなるよう便宜を図ることも計画中です。
長期にわたる追跡が必要なテーマを実施する場所では、そこの環境を原則として一切改変しないといった状態をつくることができます。逆に、人工林を自然林
に誘導・復元し、生物多様性を高める管理方法・技術などの研究であれば、一定の計画通りに正確に管理していくことも予定できます。
社会科学系のテーマである、プロジェクト・エリアと地域社会の歴史的かかわりの資料収集、地域社会と自然保護活動のコミュニケーションのための研究というテーマも実践されますので、非自然科学系の研究テーマを持たれる方も歓迎です。
(総合プロジェクト/AKAYA担当・茅野恒秀)