自然観察会での危険予知は?事故にあったときどうするか。
自然観察会で、野外での危険について参加者と学ぶことは、大切な体験です。自然は必ずしも美しくきれいなものばかりではない、ということも自然保護教育においては重要な課題です。せっかく自然保護のために自然観察会を開いても、万が一事故を起こしてしまうと、自然保護活動そのものの足を引っ張ることにもなりかねません。フィールド活動を行なうリーダー役やスタッフを務めるとき、野外での危険要素について、いち早く認識し、望ましい対応について準備をしておくリスクマネジメントは、とても大切で必須の技術です。 ■下見の注意・危険要素の把握 自然観察会の開催に先だち、コースと周辺地域の下見を行なう方が多いと思いますが、その際は、何を観察するかということだけでなく、安全を確保するための眼を持って、危険な動植物の生息がないか、地形上の危険要素、交通上の危険要素について十分に観察しておきましょう。計画しているイベントへの参加者の年齢層や人数などから、回避すべきか、どういった注意を促すべきか、十分に検討しておく必要があります。 また予測しきれない事故が起こる場合も想定し、対処のためにコース中で事故が起きた場合の緊急機関への連絡方法、避難路、搬送路の確保も下見の際にしっかり行ない、スタッフ全員で確認しておきましょう。 ■開催まで・緊急時の対応策 開催までは緊急時のための対応策を充実させましょう。もう一度参加者の年齢やハンディキャップなどを把握しておきましょう。さらに行事災害保険へ加入し、緊急時の連絡先なども名簿にし、危険な要素が予測される場合や万が一の事故時の対処について、事前に参加者に告知しておきましょう。消防署や日本赤十字社(日赤)が行なう蘇生法や応急処置などの講習を受けておくことも大変役立ちます。当日に持参する救急箱も中身を確認し、足りないものがないかチェックしておきます。 ■開催当日・十分な点検と戒告 十分な準備と危険予知の上で迎える開催当日。まず、注意するのは天候をはじめとする下見時との変化です。当日晴天であっても下見時との間に台風などがあれば、地形が変化しているかもしれません。時期的に短い周期で発生するダニやハチなどにも注意しましょう。コース状況のほか、参加者やスタッフ同士の体調にも十分留意し、集合時に参加者の様子をよく観察します。行程について当日ちゃんと説明し、体力的、精神的な心配を除いてあげる配慮も必要です。 不測の事態に事故が起き、その道義的な責任が問われる場合も、戒告をしておくことは裁判になってしまった場合も結果を左右する重要な事項です。不測の事故の要因として、 (1)先頭より先に行かない、 (2)駆けてはいけない、 (3)無断で列を離れない、 (4)やたらに手を出さない、 といったことは必ず注意しておくことが必要です。 ■開催後・誠意をもった対応 自然観察会を無事に終了したあとにも、参加者や地域に対しての配慮をしましょう。特に参加者の疲労が激しかった場合や、虫刺されなど緊急対応にならない小さな疾病を負った場合なども、参加者と連絡をとってその後の様子などを確認しましょう。また万が一、救急処置を施したり、通院してもらった場合は、傷病者とまめに連絡をとり、誠意をもって接しましょう。世話になった関係者や機関にも経過報告と感謝の挨拶を忘れてはいけません。行事保険などを適応した場合についても、医療費を負担したからそれでよい、というものではありません。その方が自然観察会に対して嫌な思いを残すことなく、ふたたび参加してもらえるようにしたいものです。 (NACS-J『自然観察会におけるリスクマネジメント』より抜粋改変) |
<リスクマネジメントチェックリスト>
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