沖縄ジャングサウォッチで 普天間基地代替施設ボーリング予定地にジュゴンの食痕を発見
2004年1月29日
(財)日本自然保護協会
那覇防衛施設局によるボーリング調査作業計画の問題点(その3)
那覇防衛施設局は「地質調査・海象調査の作業計画について」という作業計画書をまとめ、11月17日沖縄県に公共財産使用の許可申請を行った。
日本自然保護協会は、2002年9月、2003年9月に実施した沖縄ジャングサウォッチ(辺野古地区)の調査結果と照合した結果、昨年12月5日に「12の地質調査予定地点において、海草藻場と重複する可能性がある」という問題指摘をした。
また、那覇防衛施設局の「地質調査及び海象調査のための潜水調査(事前調査)結果(平成15年11月)」ならびに環境省の「平成14年度ジュゴンと藻場の広域的調査報告書(平成15年3月)」の調査結果と照合した結果、新たな問題点(その2)が発見された。
さらに、2004年1月25日に実施した沖縄ジャングサウォッチ(辺野古地区)の結果、ボーリング予定地の近くに、ジュゴンの食痕が発見された。
以上のことから、那覇防衛施設局は、辺野古海域におけるボールリング調査計画を根本から見直すとともに、今後予定されている環境アセスメントにおいてボーリング調査による環境影響を調査し、その実施の妥当性を判断すべきである。
また沖縄県は、公共用財産使用の許可を判断するにあたって、以上のような調査結果を専門家に伝えた上で、ジュゴンおよび海草藻場に与える影響を慎重に判断すべきである。
ボーリング位置 | 那覇防衛施設局事前調査結果 | 他の調査と比較した問題点 |
1-11-5 1-6 |
1-1は、リュウキュウスガモ5%未満または5-10% 1-5,6は、海草なし(被度0%) |
日本自然保護協会の調査では、リュウキュウスガモ、ウミヒルモを中心とする良好な砂礫質の海草藻場(被度20-40%)の中心に位置する(写真1)。 |
1-7 1-8 |
いずれも海草なし(被度0%) | 日本自然保護協会の調査では、リュウキュウスガモを中心とする砂礫質の海草藻場の近くに位置する。ジュゴンの好むウミヒルモが生育する。 |
1-2 1-9 |
いずれも海草なし(被度0%) | 日本自然保護協会の調査では、リュウキュウスガモ、リュウキュウアマモ、マツバウミジグサなどを中心とする良好な砂質の海草藻場(被度40-60%)の近くに位置する。 環境省の調査では、リュウキュウスガモ、ボウバアマモ、ベニアマモ、ウミジグサ、マツバウミジグサ、ウミヒルモが優占する砂質・砂礫質の海草藻場(海草平均被度約19-33%、藻場の平均被度約40-83%)。ジュゴンの食痕と糞が発見されている。 |
1-10 1-11 |
いずれも海草なし(被度0%) | 日本自然保護協会の調査では、リュウキュウスガモを中心とする砂礫質の海草藻場(被度10-35%)の近くに位置する。ジュゴンの好むウミヒルモが生育する。また最近のジャングサウォッチ(1月25日)において、ジュゴンの食痕が複数確認されている(写真2、3)。 環境省の調査では、リュウキュウスガモが優占する砂礫質の海草藻場(海草平均被度約25-26%、藻場の平均被度約66-77%)。ウミガメの食痕、ジュゴンの糞らしきものが発見されている。 |
1-3 1-12 1-13 |
いずれも海草なし(被度0%) | 日本自然保護協会の調査では、リュウキュウスガモを中心とする砂礫質の海草藻場の近くに位置する(被度10-45%)。 環境省の調査では、リュウキュウスガモ、ボウバアマモ、ベニアマモが優占する砂礫質の海草藻場(海草平均被度25-31%、藻場の平均被度54-64%)。ウミガメの食痕が複数観察された。 |
3-12 | ウミヒルモ類(被度5%未満) | リーフの外側にあるウミヒルモ類は、ジュゴンが昼間餌としている可能性がある |
4-9 4-10 |
ウミヒルモ類(被度5%未満) | リーフの外側にあるウミヒルモ類は、ジュゴンが昼間餌としている可能性がある |
▼(写真1)ボーリング調査地点1-1周辺の海草藻場(1月25日)
▼(写真2)ボーリング調査地点1-11周辺で発見されたジュゴンの食痕(1月25日)
▼(写真3)ボーリング調査地点1-11周辺で発見されたジュゴンの食痕(1月25日)