「ジュゴンに影響あり?」 -辺野古アセスのボーリング調査
15日自然第6号
2003年4月17日
防衛庁長官 石破 茂 殿
環境大臣 鈴木 俊一 殿
外務大臣 川口 順子 殿
(財)日本自然保護協会
理事長 田畑 貞寿
普天間飛行場代替施設建設に係る現地技術調査に対する意見書
4月8日、那覇防衛施設局は、沖縄県名護市辺野古海域において、普天間飛行場代替施設建設に係る現地技術調査に着手した。これは、環境アセスメントの方法書手続きが始まる前に、実質的な工事に着手するものであり、環境影響評価法の精神をないがしろにするものである。
また、当協会が昨年から実施したシーグラスウォッチ調査の結果から判断すると、ボーリング調査地点のうち少なくとも18箇所は海草の分布範囲内にあり(資料1)、方法書段階でスコーピングを行い重点化を図って調査すべき海草藻場の生育やジュゴンの生息に多大な影響を与えると予測される。
また環境アセスメント前の現地技術調査着手は、2000年10月にヨルダンのアンマンで開催された第2回世界自然保護会議の勧告、すなわち日米両国政府が環境アセスメントに基づいて早急なジュゴンの保全対策をとることを求めた勧告に反するものであり、国際的にも許されるものではない。よって、下記のとおり要望する。
記
- 防衛庁長官は、普天間飛行場代替施設建設に係る現地技術調査を、環境影響評価手続きによって影響がないと判断されるまで中止すべきである。とりわけ、海草藻場に多大な影響を与えるボーリング調査に着手すべきでない。
- 環境大臣は、防衛庁長官に対して現地技術調査の中止を求めるとともに、「ジュゴンと藻場の広域的調査」によって得られた藻場の分布やジュゴンの目視・食痕等のデータに基づき、防衛施設庁の藻場調査、技術調査の両方を指導すべきである。
- 外務大臣は、防衛庁長官に対して現地技術調査の中止を求めるとともに、世界自然保護会議の勧告を尊重し、普天間基地代替施設の環境影響評価が米国政府の専門家の参加の下で実施されるよう米国政府の協力を求めるべきである。
▼資料1:辺野古海域における海草藻場の分布とボーリング予定地