「シーグラス・ウオッチ」にご参加ください ジュゴン・ウミガメを育む海の草原を守ろう
会報『自然保護』No.468(2002年7/8月号)より転載
ジュゴンが海草をたべた跡を調査する。海底一面に生えているのが海草。「シーグラス・ウオッチ」では、写真のように水中マスク・スノーケルをつけて潜りながら、海草の分布や食跡の有無をしらべていく。
ジュゴンやウミガメが食べる草
海草(うみくさ)は、海藻(かいそう)とは異なり、いったん陸上にあがった種子植物が、再び汽水や海水の環境に適応して進化したもので、世界には60種、日本には16種が分布しています。
環境省の自然環境保全基礎調査によれば1978年から91年までの13年間に2000ヘクタール以上の海草藻場が埋め立てや赤土流出などによって消滅しました。なかでもジュゴンやウミガメの餌として重要なウミヒルモやリュウキュウスガモなどの熱帯性の海草は、東南アジアからオーストラリアまで広く分布していますが、国内では琉球列島などに限られています。
しかし沖縄島の海草藻場は、泡瀬干潟の埋め立て問題や普天間基地の移設などによって危機的な状態となっています。このままでは、ジュゴンやウミガメは生きのびることができません。
みんなの力で藻場をしらべる
そこで保護研究部では、市民参加による海草のモニタリング調査「シーグラス・ウオッチ」を計画しました。シーグラスウオッチというのは、オーストラリアのクイーンズランド州で1998年から開始された市民参加による海草のモニタリングプログラムで、その調査結果はグレートバリアリーフ世界遺産地域の管理計画やジュゴン保護区の設定などに大きな役割を果たしてきました。
第1回は7月に実施
第1回のシーグラスウオッチは沖縄県名護市の東海岸で、7月20~21日に実施する予定です。
まず初日は、千葉大学の仲岡雅裕助教授による海草の見分け方や簡易目視調査法の講習を受け、翌日から数地点にわかれて、海草の分布やジュゴン・ウミガメの食痕の有無などを調査します。専門家でなくても参加できる調査ですが、潮下帯の海草を調べるので、スノーケリングができることが条件です(スキューバダイビングのCカードや機材は必要ありません)。
調査結果は、NACS-Jのホームページで公表し、海草藻場やジュゴンの保護に役立てたいと考えています。会員・自然観察指導員はじめ、海草やジュゴンの保護に強い関心をお持ちの方のご参加をお待ちしています。参加希望者は、ぜひご連絡ください。
■「シーグラス・ウオッチ」のお問い合わせ先
保護研究部(吉田正人)