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沖縄のジュゴン保護に世界からメッセージ

2001.12.16
要望・声明

 

IUCN(国際自然保護連合)よりのメッセージ

IUCNは、普天間基地建設に伴う飛行場の位置選定にさきだって、沖縄のジュゴン個体群への影響を分析するため自主的な環境影響評価をすべきであるという、世界自然保護会議の勧告2-72の支持を改めて表明する。

ジュゴンは、世界的に絶滅のおそれのある生物であり、IUCNのレッドリストにも掲載され、また米国の絶滅危惧種法の指定種となっている。ジュゴンの生息確認調査の結果、個体数は少ないが保全上重要な生息地が存在することが明らかとなった。もし現在の普天間基地の移転先として提案されている米国海兵隊の飛行場の位置が、この重要な生息地または隣接地を含むとすれば、IUCNは飛行場建設が周辺の環境を悪化させ、ジュゴンの地域個体群の生存を危うくするであろうと懸念している。したがってIUCNは日本政府に対して、候補地の環境影響評価を実施し、その情報にもとづいて普天間基地の移転先を決定するよう注意を喚起する。

勧告2-72は、2000年10月にヨルダンのアンマンで開催された第2回世界自然保護会議において採択された。勧告は以下の通りである。

 

1.  日本政府に対し、以下のとおり要請する。

)ジュゴン生息地やその周辺における軍事施設に関連する自主的な環境アセスメントを、可能な限り早く完遂すること

)ジュゴン個体群のさらなる減少を阻止し、その回復に役立つジュゴン保全対策を、可能な限り早急に実施すること

)山原(やんばる)の絶滅危惧種および沖縄のジュゴン個体群のための生物多様性保全計画を可能な限り早急に作成し、これらの種と生息地の詳細な調査を行うこと

)山原(やんばる)を世界自然遺産地域として推薦することを検討すること

 

2.  米国政府に、日本政府の要望があれば、自主的な環境アセスメントに協力することを要請する

 

3. 日米両国政府に対し、以下のとおり要請する

)自主的な環境アセスメントの結果に基づいて、ジュゴン個体群の存続を確実にするために適切な対策を講じること

)上記本文1(c)で言及した調査に基づき、軍事施設建設案および演習地域の環境への影響を評価し、ノグチゲラおよびヤンバルクイナの生存を確実にするために適切な対策を講じること

以上の目的を達成するためIUCNは、(日本政府が)独立した環境影響評価を行うにあたって、IUCNの長年にわたる経験と技術をよろこんで提供するつもりである。

A・M・カブラジ(IUCNアジア地域部長)

 


IUCN海牛類専門家グループのヘレンマーシュ教授からのメッセージ

ジュゴンの専門家として、またIUCNの海牛類専門家グループのメンバーとして、私は沖縄東海岸に計画されている飛行場の環境影響評価の過程に懸念を抱いています。私はこの地域を訪れ、この地域が日本で最も重要なジュゴンの生息地であることを知っています。

また第2回世界自然保護会議において、日本政府に対してジュゴンの保全計画の立案と、米国海兵隊普天間飛行場の移転にともなう環境影響評価の実施を求める勧告が採択されたと理解しています。

提案されているいくつかの候補地はジュゴンの主要な生息地であることから、私は候補地を決定する前に、広範な方法書に基づいた包括的な環境影響評価を実施することが極めて重要であると確信しています。

したがって私は、提案された飛行場計画が、絶滅に瀕したジュゴンの個体群と生息地に与える影響に関する自主的な環境影響評価を、日本政府が完遂させることを強く求めます。この環境影響評価は、検討中の8案すべてに対して行われるべきです。

ヘレン・マーシュ(ジェームスクック大学教授・IUCN海牛類専門家グループ)

 


米国の自然保護団体からのメッセージ

オーシャンコンサーバンシー(米国海洋保護協会)から、沖縄に残された最後のジュゴン個体群の保護に尽力されている日本の人々にご挨拶申し上げます。米国では、ジュゴンの仲間であるマナティーを保護するため、何十年もの間戦ってきました。ですからこの優しい動物を保護するよう、地方、州、連邦の政府を説得し、環境法を適用することがいかに困難であるかをよく理解しています。でも望みを失わないで下さい。私たちは、リーダーや、社会や、子どもたちに、人間にとっても生きた国宝ともいえるジュゴンやマナティーの保護について伝え続けるべきです。

オーシャンコンサーバンシーは、名護市長、沖縄県知事、沖縄担当大臣及び日本政府に、すべての環境影響評価が完了するまで、普天間基地の移転場所を決定することを控えるよう求めます。環境に与えるすべての影響が明らかになるまでは、日本政府は沖縄の人々と貴重な自然資源を守ることのできる、十分な情報にもとづいた決定をすることはできないはずです。また私たちは、日本政府に対して、世界自然保護会議で勧告された、効果的なジュゴンの保護策を策定し実行することを求めます。

オーシャンコンサーバンシーは、日本自然保護協会、日本環境法律家連盟の友人たちが、ジュゴン保護に成功を収めることを期待しています。がんばってください。

ジェーン・ダベンポート(オーシャンコンサーバンシー)

 


太平洋環境アドボカシーセンターを代表して、沖縄に最後に残されたジュゴンを守るために貢献している日本の人々にご挨拶申し上げます。

米国では、ジュゴンの仲間であるマナティーを保護するため、絶滅危惧種法および関連する環境法を使っています。私たちは、この優しい動物を保護するよう、地方、州、連邦の政府を説得し、環境法を適用することがいかに困難であるかをよく理解しています。しかし、このような困難にもかかわらず、私たちはこの地球上で貴重でかけがえのない資源を保護するため、環境法を適用するのに成功しています。

計画中の飛行場は、米国海兵隊が使用するものであることから、その建設と運用にあたっては、米国の絶滅危惧種法及び関連する環境法を適用し、ジュゴンをおびやかす結果にならないようにすべきであると感じています。私たちは、米軍に対して絶滅危惧種法とその関連法を適用するために必要なできる限りの努力をするとともに、日本政府に対して基地建設と運用からジュゴンを保護するために必要な助力をするつもりです。

私たちは、名護市長、沖縄県知事、沖縄担当大臣及び日本政府に、すべての環境影響評価が完了するまで、普天間基地の移転場所を決定することを控えるよう求めます。環境に与えるすべての影響が明らかになるまでは、日本政府は沖縄の人々と貴重な自然資源を守ることのできる、十分な情報にもとづいた決定をすることはできないはずです。また私たちは、日本政府に対して、世界自然保護会議で勧告された、効果的なジュゴンの保護策を策定し実行することを求めます。

太平洋環境アドボカシーセンターは、日本自然保護協会、日本環境法律家連盟による、ジュゴン保護のための努力を支持します。

アーロン・クートネー
(太平洋環境アドボカシーセンター・ルイス&クラークロースクール北西部校)

 


セーブマナティークラブは、普天間基地移転に対する懸念を表明します。

日本の防衛施設庁が今年行った調査によれば、ジュゴンは主に普天間基地の移設が予定されている沖縄の東海岸で発見されたと聞いています。

私たちは世界自然保護会議の勧告を支持し、日本政府に対して飛行場の位置を決定する前に環境影響評価を実施するよう求めます。この環境影響評価によって、残されたジュゴン個体群をさらに危機的な状況に追い込むことのないようにすべきです。

このコメントを日本の関係行政にお渡し下さるようお願いします。

ジュディー・バリー(セーブマナティークラブ専務理事)

 

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