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鳥獣保護法の改正および野生生物保護法の制定を求める請願

2001.09.27
要望・声明
衆議院議長 殿

参議院議長 殿

野生生物は、私たちもその一部である地球環境を守るために欠くことのできない貴重な存在です。いま、その生息地は日々失われ、分断され、多くの生物種が絶滅しつつありますが、日本では未だ野生生物を効果的に保護するための法律が存在しません。野生生物とその生息地の保護は重大な社会的・政治的課題の一つであり、対策が急がれます。

2002年には、「鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律」(鳥獣保護法)の見直しの年であり、また「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」(種の保存法)も制定10周年を迎えます。この機会に、これらの法律を抜本的に改正して、「野生生物保護法」の実をともなうものとするべく、以下の請願を致します。

 

鳥獣保護法の改正を求めます

近年、自然に親しむ野外活動が広がっていますが、各地で狩猟・人身事故が絶えず、たいへん危険です。私たちは、現行の「原則どこでも狩猟できる」から、「管理猟区でのみ狩猟を許可する」制度に改めることを求めます。

また、農林水産業に被害を出す野生鳥獣の駆除には、事前調査や実施後の評価等のチェックの仕組みがなく、駆除の効果も不明なまま無秩序に行われています。私たちは、有害駆除のチェック、駆除個体の取り引き禁止、被害防止対策の優先、人材の育成、国民の意見反映が保障されるなどができる制度に改正するよう求めます。

 

種の保存法の改正を求めます

絶滅の恐れのある種のリストは増える一方ですが、種の保存法で保護される種はその中のごくわずかにすぎません(例えば哺乳類ではわずか2種のみ)。早急に、効果的な対策をとれる制度作りが必要です。

種の保存法の中に、種がそれぞれの地域の群れとして保護されること、絶滅のおそれのあるすべての種の生息地の保全と回復をすすめる計画、生息地の破壊を防ぐ仕組み、市民の意見を施策に反映できる制度などを導入し、実効力のある「野生生物保護法」に抜本改正するよう求めます。

 

■署名送付先:野生生物保護法制定をめざす全国ネットワーク

 


■ 私たちがめざす野生生物保護法 ■

野生生物ネット「2002年に向けた共通の目標」(要旨)

 

<狩猟法>から<野生生物保護法>へ狩猟及び鳥獣保護に関する法制度を、野生生物保護法の趣旨にそうものに改正する

●関係する法の目的に、生物多様性の保全あるいは自然環境の保全を掲げる。
●法制度に、市民による監視とその意見反映をはかるための手続をもうける。
●野生鳥獣による農林水産被害に対する実効的な補償制度を整備する。
●全国を原則禁猟とし、狩猟は管理猟区で行う。
●「有害鳥獣の駆除」から「農林水産業に対する被害の防止」への転換を。
●野生鳥獣等の輸入規制を強化する。
●有害鳥獣駆除による捕獲個体の利用を禁止する。
●野生動物に苦痛を与え、あるいは無差別殺傷するわなを禁止する。
●野生鳥獣保護の業務を行う専門家を育成し地方自治体に配置する。

 

<種の保存法>から<野生生物保護法>へ

種の絶滅を防止するのがせいいっぱいの「種の保存法」を、特別の保護措置を必要としない状態にまで種を回復させる「野生生物保護法」へ改正する

●種のレベルだけでなく、地域個体群を保護対象とする。
●海洋哺乳類も保護の対象に。
●保護対象を回復させるための効果的な計画制度をもうける。
●生息地を破壊する行為に対する一定の規制を設ける。
●ワシントン条約違反を取り締まるために、譲渡規制のあり方を見直す。
● 法律の効果的実施のため、市民による監視とその意見反映をはかる。
●本法の施行のための特別な財源措置を定める。

野生生物保護法制定をめざす全国ネットワーク
私たちは、2002年の国会で審議される鳥獣保護法の抜本的な見直しをふくむ野生生物保護のための法律の制定をめざし、全国の団体、研究者、議員、個人によって結成されました。(略称:野生法ネット)

[代表世話人]本谷勲(東京農工大学名誉教授)

[世話人]川道美枝子(京都哺乳類研究会)、草刈秀紀(世界自然保護基金日本委員会)、古南幸弘(日本野鳥の会)、倉澤七生(オイコス事務所)、坂元雅行(野生生物保全論研究会)、鈴木敦子(ウルフ・パルス・ジャパン)、鈴木雅子(北限のジュゴンを見守る会)、竹下信雄(鉛弾規制同盟)、田村尚久(日本自然保護協会)、タシナ・ワンブリ(生命の輪)、野上ふさ子(地球生物会議)、三瓶芳樹(ツキノワの会)、森山まり子(日本熊森協会)、吉田正人(日本自然保護協会)、渡辺隆介(ツキノワの会)

 

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