【特集】地球へつなぐ大実験「コリドー」(その7)まとめにかえて
会報『自然保護』No.453(2001年1/2月号)より転載
最近、都市計画でも「コリドー」が言われ始めたらしい。都市空間に連続した緑を生み出すのはいいことに違いない。
でも待てよ。言葉本来の意味を換骨奪胎したり矮小化していきがちな日本で、新しい言葉が移入されたときは警戒しなくては、と思う。世界の「コリドー」概念が、生物コリドーから生態コリドーへとダイナミックに変化しているという報告があった。
そのような動きには常に、問題解決のために概念を創り続けるという姿勢がある。が、目的は少しもゆるがないし、より目的にかなうように更新していく。
日本には日本の実状に合ったコリドーがあっていいだろう。しかし、生態系を守り育てるという目的が抜け落ちたものは、「コリドー」とは認められないだろう。
ただ緑を連続させるのがコリドーでないことは、各レポートから見えてきた。それに「実」を入れていくのは、むしろこれからの課題だ。新しい自然保護の領域に入ったのだといえる。
(保屋野初子)
特集『地球へつなぐ大実験「コリドー」』
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