森を訪ねる人と野生生物のための「緑の回廊(コリドー)」に
会報『自然保護』No.449(2000年9月号)より転載
『自然保護』442号でご紹介した、「緑の回廊(コリドー)計画」の第1次候補地が明らかになった。
コリドー計画とは、林野庁が全国の国有林ですすめることにした生物多様性保全策の1つで、今までに指定したいろいろな保護林(国有林の保護区)の間をつなぐ森林を新たな保全林とし、「保護林ネットワーク」をつくろうというもの。
この森によって野生生物の移動と遺伝子交流の機会を確保し、将来は環境教育のフィールドにもしていきたいという。国有林が飛び飛びにしかないところでは飛び飛びで指定し、間にある森林の所有者には指定する趣旨への協力の求めを森林管理局長から行うという。
この計画をうまく活用すれば、過去に分断したところ、分断されかかっているところを回復させることもできると思われる。このことは、特に西日本で急がれると思う。
具体的な位置や範囲の設定は、かつて森林生態系保護地域を設定した時と同様、各地の森林管理局(旧営林局)によって原案がつくられ、地域のNGOを含む委員会で討議して決めていく。関東森林管理局・東京分局では秩父・奥多摩の委員会が7月に第1回会議を開くなど、すでに作業は始まっている。
このような施策がすすむことは、林野庁が木材生産中心で赤字の山をつくった国有林経営から、環境保全へとさらに方向を変えた表れといえる。
今後、皆さんも地元の森林管理局に、自然の資料や希望を届けていただき、実効が上がるものができていくようぜひ注目していただきたい。(詳しくは林野庁のHPで)
(横山隆一・常務理事)