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川辺川ダム事業における、建設省の 「クマタカの生息環境とその保全の考え方」に関するコメント

2000.06.21
要望・声明

横山隆一(日本自然保護協会)

本日公表された、川辺川ダム計画における表記資料は、私たち市民団体の調査結果を建設省の現地事務所に提供し、その要旨を公表した昨年12月以来、交換を約束しながらも果たされてこなかった資料と思われる。

資料そのものを取り寄せ、本地域のクマタカ調査グループと共に、検討されたという内容を細かく分析したい。

公表資料の記述の概要を聞いた限りでは、次の点に疑問を感じる。

1) 確認されたのは「7番い(ペア)」とされているようであるが、今年の春の番い行動の確認が明確になされず、「推定」して番いと判定されたものが4ヶ所も含まれているという。通常、繁殖ペアであるか否か、その総数把握は年毎の確実な観察記録に基づいて年毎に行うものである。現在の実際の繁殖ペアが本当に7ペアなのかどうかは、吟味が必要と考えられる。特に頭地方面に2番いが生息しているとされているが、この地域は既に人間のさまざまな土地利用が進んでいる地域のため、現在も繁殖地として成立しているとするかのような説明には、おおきな疑問を感じる。

2) 藤田谷ペアは、確実に繁殖活動が成功しているペアとして私たちが注目しているペアであるが、この生息環境について「原石山の縮小等で問題なし」とする根拠が希薄であると考えられる。クマタカの使用するどのような生息環境がどのように保全できるために安全…というような説明がなければ、現実の保全効果について何も担保されていないのと同様といえる。

3) 最大の疑問は、「繁殖テリトリー」と開発の関係、影響に言及していないといわれる点である。これに言及せずに、悪影響のある無しを判定・記述しているとのことであるが、本当にそうであれば、クマタカという希少種保護の検討としては全く十分ではないといえる。

以上

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