「新住計画、道路計画は中止に決定」
海上の森の博覧会事業及び地域整備の基本的方向について
(2000年4月4日愛知県知事発表)
(2000年4月4日愛知県知事発表)
(1) 会場計画について
- 海上の森については、南地区の中に、自然環境の保全に最大限の配慮を払いながら、「自然の叡智」というテーマを具現化するシンボルゾーンとしての会場を整備することを目指す。
- 当該会場には、テーマ館や政府シンボル館、自治体館などの展示施設を配置することなどが考えられる。会場の整備に当たっては、水系や地形への配慮を行う等環境負荷を最小化するとともに、海上の森との調和に最大限配慮する。なお、その整備に当たり、保安林区域については、解除申請は行わない。また、これらの施設の建設、運営について、「自然の叡智」というテーマにふさわしい博覧会の実現ということを念頭に、地元関係者、自然保護団体や有識者等の意見を幅広く聞きながら検討を進める。
- 上記博覧会会場とは別に、会場周辺でボランティアによる園路や散策路の整備、案内ツアーの開催なども考えられる。
- 会場計画の具体的内容については、今後早急に博覧会協会を中心に関係者で詰める。なお、海上の森での会場の縮小に伴い、想定入場者数は減少するが、インターネット等の情報技術を活用し、世界中の人々が実際に会場を訪れなくとも自然との触れあいを実感できるようにするなどの工夫を行う。
(2) 地域整備について
- 新住宅市街地整備事業は行わない。また、名古屋瀬戸道路及び若宮八草線については、現在申請中の都市計画の認可申請を取り下げる。
- 海上の森の博覧会会場地を中心とした地区の将来の地域整備としては、博覧会施設の活用も含め、自然環境や生物多様性などに係る研究や教育を行う施設、自然と共生するライフスタイルを体験できる施設や陶芸を楽しむ施設などを設置したり、あるいは公園として整備することなど様々なことが考えられる。これらも念頭に、今後海上の森を保全、活用するためにはどうしたらいいか、また、そのための仕組みはどのようなものにしたら適当であるかなどについて、地元関係者、自然保護団体や有識者等の意見を幅広く聞きながら今後検討を進める。
(3) 会場間の道路等について
海上の森南地区と愛知青少年公園の両会場を結ぶための道路については、既存の道路の拡幅及び一部道路を新設することにより両会場の連絡を図ることとし、早急に関係者で具体的作業を進める。また、愛知環状鉄道についても、観客輸送を円滑に行う観点から、早急に関係者で具体的作業を進める。
(4) 今後の進め方
- 以上の基本的方向に沿って、「自然の叡智」というテーマにふさわしい博覧会を、内外の広い理解と賛同を得ながら、また、後世からも高く評価されるものとして開催できるよう準備に万全を期す。
- このため、本年11月乃至12月のBIE総会での登録承認を目指し、今夏を目途にBIEに申請すべく、会場の具体的な施設配置、想定入場者数、資金計画などについて、博覧会協会を中心として関係者一丸となって詰めの作業を早急に進める。
上記の発表に対する自然保護3団体
(NACS-J、日本野鳥の会、WWF-J)のコメント
(NACS-J、日本野鳥の会、WWF-J)のコメント
- 環境団体の主張を受け入れ、今までの方針を転換して新住・道路を中止し、跡地を公園などにするという英断は評価したい。
- 南地区にある吉田川流域は、サンコウチョウなどの野鳥やゲンジボタルなどの昆虫の生息地として非常に重要な地域であり、これを守ってゆかなければならないという認識は変わらない。
- 南地区の会場計画については、中味が不明であり、一方的に結論を押しつけるやり方は承服できない。環境万博を行うならば市民や環境団体と対等な立場で話し合う協議の場を設けて会場計画を検討すべきである。