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まとめにかえて~再び”自然保護”とは~(やさしくわかる自然保護19)

2000.03.27
解説

月刊『自然保護』No.443(2000年1/2月号)に掲載された、村杉事務局長による自然保護に関する基礎知識の解説を転載しました。
自然保護に関する考え方や概念それに用語など、基礎的なデータベースとしてご活用ください。各情報は発表当時のままのため、人名の肩書き等が現在とは異なる場合があります。
やさしくわかる自然保護 もくじ


まとめにかえて ~再び”自然保護”とは~

今までプロテクションに始まり、レストレーションまで、「自然保護」の4つのタイプを、おおよその歴史的な流れに沿って説明してきた。今回はそれらの要点を表にして整理してみた。

今日では、4つを包含する概念である「自然保護」にも、「コンサベーション」が当てられている※1。行政の文書などではしばしば「自然保護」でなく「環境保全」という言葉が登場するが、「自然保護」と「環境保全」はどう違うのだろうか。これについて沼田  眞会長は「自然保護」というのは、あくまで地上の人間以外の生物を対象としたものであるのに対し、「環境保全」は人間を中心にした考え方、と述べている※2

日本自然保護協会が誕生してそろそろ半世紀、協会では常に「環境保全」より「自然保護」の立場で保護活動をすすめてきた。これからもそうありたいと願っている。

連載中、主として片仮名で記してきた四種の用語を日本語では何というのか、というご質問が数件あったので、表の[ ]に日本語を入れてお答えとしたい。以前にも記したが、そもそもこれらの概念は外国産であるため、日本語での用語はいまだに完全には定着していない※3

特にプロテクション(保護・防御・防護など)とプリザベーション(保存・放置・現状凍結など)については、日本自然保護協会の自然観察指導員講習会のなかでも、( )内に記したように、講師によっても当てはめる日本語がまちまちなのが現状、そんなわけで、表の日本語もあくまで、4つの用語の違いを明確にするために適切と思われるものを著者の好みで採用したに過ぎない。これに対して、後半の2つは表の[ ]内の用語が定着しつつあると見てよいだろう。

西暦2000年を迎え、いよいよ21世紀へのカウントダウンが開始された。20世紀が自然破壊の時代なら、21世紀は、ぜひとも今残されている豊かな自然を守り育て、壊された自然を修復する時代としなければならない。

問題も山積しているが、会員の皆さまのご支援とご協力を得ながら、新たな時代の自然保護に取り組んでいきたい。

 

“自然保護”の4つのタイプ

名称 目的 手法 対象 対象の例
1.プロテクション*
[防御的自然保護]
本来の自然の価値を維持する 開発・土砂崩壊・踏圧・病虫害などの、自然に対する外圧を排除する。 外圧によって状態の悪化や破壊が予想される自然(個体・地域個体群、生態系) 天然記念物や自然公園内の高山植生 など
2.プリザベーション
[保存的自然保護]
法整備などによって、自然の本質的価値に人為が加わらないようにする。 原生的自然 原生自然環境保全地域、森林生態系保護地域の保存地区(コアエリア)など
3.コンサベーション**
[保全的自然保護]
自然の価値を損ねない利用をする。ある状態を保つために人為を加え続けることもある。 二次的自然
人工的自然
里山、半自然草原、植林地 など
4.レストレーション
[復元的自然保護]
消失または荒廃した自然を、健全な状態に戻す 生態系の形態と機能の回復を目ざして、積極的に人為を加える。  開発などで消失したり、大幅に悪化し、自力回復が不可能になった場所 踏みつけを受けた湿原、コンクリート三面張りの河川、埋め立て地、工場跡地 など

*一般的には、ダム建設・林道開発・埋め立てなどによる「破壊」から自然を守ることをプロテクションという場合が多い。
**広義のコンサベーションには1~4のすべてが含まれる。

(村杉幸子・NACS-J事務局長)

 

<参考文献>
※1 村杉幸子「やさしくわかる自然保護」第21回:『自然保護』436号、日本自然保護協会、1999年
※2 沼田 眞「日本はこれからが正念場」:『環境学がわかる』、朝日新聞社、1994年
※3 村杉幸子「やさしくわかる自然保護」第4回:『自然保護』428号、日本自然保護協会、1999年

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