「海上の森の完全なる保全を」
WWFインターナショナル、バードライフ・インターナショナルがBIE(博覧会国際事務局)に懸念を表明
2005年に愛知県瀬戸市で開催が予定されている万博計画及び新住宅市街地開発事業に対しNACS-Jはこれまで、会場予定地の調査などを実施し、この計画が地域の自然に壊滅的な大打撃を与えることなどを指摘してきました。
1999年8月には、NACS-J、WWF-J、日本野鳥の会の3団体の代表が会場予定地の「海上の森(かいしょのもり)」を同時視察し、住宅計画の中止、国営公園にすることによる同地の保全を訴える要望書を提出しました。
またこの計画は、通産省や2005年日本国際博覧会協会が進める国内問題というだけでなく、BIE(博覧会国際事務局/パリ)が関わる国際的な事業であることから、NACS-Jら上記3団体は、この問題のここまでの経緯、問題等をまとめた背景資料をIUCN(国際自然保護連合/スイス)、WWFインターナショナル(スイス)、バードライフ・インターナショナル(イギリス)等に送付しました。これを受けてWWFインターナショナル、バードライフ・インターナショナルから、BIEに対し万博計画の自然破壊を懸念する文書が提出されました。
←WWFインターナショナル等の動きを、環境庁記者クラブで発表(99年10月29日)。
右から、NACS-J保護部長・吉田正人、
日本野鳥の会自然保護センター副所長・小林豊、
WWF-J自然保護室・草刈秀紀
一方10月25日には、万博協会のシニアアドバイザーである建築家の黒川紀章氏が、日本野鳥の会副会長の岩重寿喜男氏らの提唱する『海上の森に国営公園をつくる構想』を支持する旨の内容の試案を発表しました。(試案全文は、黒川氏のホームページに掲載されています)
大規模な住宅建設計画も併せ持つこの事業は、アセスメントの手続きや内容にも問題を含み、またオオタカの生息が確認されるなど、さまざまな議論を呼んでいます。今後は海外からもますます注目される可能性があります。NACS-Jは引き続き地域の自然環境の保全に努め、この問題の解決を目指していきます。