全資料を入手、第1回データ分析作業を実施
水資源開発公団の、徳山ダム計画地内の猛禽類調査データの公開にむけて
NACS-Jでは9月25~27日、水資源開発公団が実施した徳山ダム建設予定地周辺の猛禽類調査資料一式を入手し、第1回分析作業を実施しました(当日の様子は、NHK岐阜で26日に報道されました)。
今回の取り組みは、公共事業の事業主体が本来の意味での第三者機関、それもNACS-Jのような自然保護NGOに対して全資料を提示し協力を求めるという、日本では前例のないことです。NACS-Jでは、自然保護上の問題がないように同公団と厳密な協定を事前に締結し、それに基づいて分析作業を開始しました。
出席者は公団側から環境室、現地事務所、調査を実際に行ったコンサルタント会社の5人、NACS-J側からはNACS-Jの検討会委員を委嘱した日本イヌワシ研究会事務局長・山崎亨氏、同・井上剛彦氏(お二人とも、同時にクマタカ生態研究グループの主宰者でもある)、NACS-J総務部長・横山隆一とこの事業の広報を担当する同編集広報部・森本言也、そして、検討作業のサポートスタッフとして、群馬県三国山系の猛禽類調査を行っている新治村の自然を守る会・松井睦子氏の5人となりました。
出席者は25日夜に滋賀県に集まり、資料の事前整理を実施。翌26日は朝7時に分析作業を開始しました。はじめに、全データがまとめられた膨大な資料の構造・内容について、公団側から説明を受けました。
調査はおよそ2年半かけて実施されたもので、そのデータをまとめた資料はA3サイズ2分冊で合わせて830ページを超えるものでした。その中には、現地で確認されたイヌワシやクマタカの繁殖期の行動や飛行ルートなどの表や図面が載っています。それらを徹底的に分析する作業は、朝7時から夜11時まで延々と行われました。
途中、調査方法やデータの処理方法、語句の定義などを公団に質問し、またNACS-J側だけでの意見交換と検討などを繰り返し、最終的には次の段階への進め方を打ち合わせ、この日の作業は終了しました。27日は、次回第2回の検討作業のために、データのまとめ方を変えて出力した何枚かの図面、調査体制の一覧表など、追加の情報の提示を公団に要請しました。
第2回検討会は、今回要請した追加情報が提示された段階で開催し、公開資料作成に関する重要なポイントを指摘します。この指摘を踏まえて後日この膨大な資料は、適切な方法で公開されます。その際、NACS-Jは、この全資料を分析した独自の評価を添付し、公団は独自の猛禽類保全策を公表する予定です。
NACS-Jでは、この取り組みから得られる分析結果や見解、このような作業のあり方などが徳山ダム建設計画地の大型猛禽類からみた自然保護につなげるとともに、他の地域での自然保護問題の解決のための前例になればと考え、力を注いでいます。