日本科学者会議による意見書(万博計画に対して)
(同会議の許可をいただき、全文を掲載します。)
1999年4月6日 2005年日本国際博覧会に係る 環境影響評価準備書への意見
財団法人 2005年日本国際博覧会協会 日本科学者会議愛知支部交通問題研究委員会 |
◆計画基準日で27万5千人もの入場者のための交通アクセス、駐車場、上下水道、廃棄物処理を準備することは、この海上地区では不可能である。このような国際博は、中止、縮小、分散を再検討すべきである。
◆貴重な動物、植物の宝庫であること、それら生態系への影響が回避できそうもないことが明らかになった海上地区での国際博は中止、縮小、分散を再検討すべきである。 ◆計画地のほとんどが保安林であり、その解除には厳しい制限がかけられている。そのため、国際博予定地に新住宅市街地を開発する名目を作り、その造成作業で保安林を解除して国際博の露払いとする計画である。必要性も採算性もない新住宅市街地開発は認めるべきではない。 ◆ 国際博のために、名古屋瀬戸道路があわてて計画前倒しとされたが、2020年になっても計画交通量が2万台~3万台/日しかないところに、有料道路を建設 しても、その採算の目途は全く無いことが、関係者の間では常識となっている。このような無駄な道路事業、それを交通アクセスの前提とする国際博は、中止、 縮小、分散を再検討すべきである。 ◆残土が、合計262万m3も発生する(国際博32万、名古屋瀬戸道路 70万新住事業160万)。会場地盤と道路面をあと1~2m高くして、開削トンネル延長3130mも短くすれば残土不要となるはずである。道路断面構造、 会場規模の縮小、分散を再検討すべきである。美浜町に続いて、幡豆町の土取りアセスがつぶれるから、意識的に残土を発生させ、国際空港の埋立てに使おうと 考えているのではと勘ぐりたくもなる。 ◆事業内容が煮詰まらないうちから、期日に間に合わせるための環境影響評価を始めたため、言葉上の保全対策しか示せない。具体的な事業内容を確定するために、複数の代替え案を含んだ環境影響評価を再度実施すべきである。 ◆現地調査が非常に不十分であることが判明したにもかかわらず、不備な調査結果をそのまま用いている。現地調査を継続実施し環境影響評価をやり直すべきである。 ◆予測条件がほとんど記載してなく、予測結果を信用せよとの傲慢な姿勢は環境影響評価とは縁のないものである。この環境影響評価は予測条件を明記してやり直すべきである。 ◆予測条件や結果に間違いがあるような環境影響評価は、事業者が責任を持って見直し、原因を明記して、環境影響評価を再度実施すべきである。 ◆ 計画交通量については、将来道路網への交通量配分を求めているので(名古屋瀬戸道路アセス資料p9)、この名古屋瀬戸道路、並行する若宮八草線、東海環状 自動車道、第3環状線、名古屋環状2号線など関連する道路の計画交通量を示し、大気質、騒音、振動等の予測をすべきである。 ◆ 会期中2500万人、計画基準日27万5千人の来場手段として、道路系が60%もあるが(p8)、このための駐車場は会場内にほとんど計画されていないた め、周辺に無秩序に建設されるだろうが、それでも不足するはずである。計画では45%の12万人は会場外駐車場利用である。このように無謀な海上地区での 国際博は中止、縮小、分散を再検討すべきである。 ◆会期中の来場手段として道路系が60%もあるが (p8)、大気、騒音など環境への影響は図り知れない。しかも慢性渋滞になることは確実であり、環境悪化に輪をかける。環境万博を唱えながら、このような 現状追認姿勢は許されない。来場は鉄道系に限るとか、数を限定した無公害バスにするなどの積極的な提案をすべきである。それが可能なように海上地区での国際博は中止、縮小、分散を再検討すべきである。 ◆土地利用計画・規制では「ほぼ全域が地域森林計画対象民 有林となっている。これら民有林の大部分は保安林に指定されている」(p48)とあるが、保安林の解除は国の権限であり、その解除にも厳しい制限がかけら れている。その解除条件、手続きなどを明記し、ことの重大性を認識すべきである。 ◆上水道については、普及率と会場周辺の周辺関連施設があるだけだが(p57)、瀬戸市としての給水施設能力と実績、水源の容量を明記し、対応可能かどう かを判断できるようにすべきである。人口12万7千人の瀬戸市に、計画基準日ではその2倍を越える27万5千人が来場し、16,650トンもの上水を使用 する(p941)ような、無理な計画は中止、縮小、分散を再検討すべきである。 ◆公共下水道の整備状況で、処理区域面積と処理人口があるだけだが(p57)、瀬戸市としての下水処理施設能力、処理施設位置を明記し、対応可能かどうか を判断できるようにすべきである。人口12万7千人の瀬戸市に、計画基準日ではその2倍を越える27万5千人が来場し、11,250トンもの下水を放流す る(p941)ような無理な計画は中止、縮小、分散を再検討すべきである。 ◆一般廃棄物処理施設では、ごみと し尿をどこで処理しているかを記載しているだけだが(p57)、瀬戸市としてのごみ焼却施設能力・実績、し尿処理施設能力・実績を明記し、対応可能かどう かを判断できるようにすべきである。人口12万7千人の瀬戸市に、計画基準日ではその2倍を越える27万5千人が来場するような無理な計画は中止、縮小、 分散を再検討すべきである。 ◆水質について、人の健康の保護に関する環境基準の項目(p65)に、今年2月22日に環境庁告示で追加されたホウ素、フッ素、硝酸性及び亜硝酸性窒素を追加すべきである。 ◆大気質の既存調査が8年度だけしかない(p71~)。新住宅アセス(p30~)、名古屋瀬戸道路アセス(p25~)では5~9年度分が記載してあるように、最新データを用いるとともに経年変化をみるべきである。 ◆ 騒音の現地調査で、名古屋瀬戸道路アセス(2/2、p26、地点番号10~14)で海上地区を中心として、夕方に70~80dBの異常に高い騒音(中央 値)が出現しており、調査そのものに疑問があるが、その調査結果はなぜ示さないのか。森林体感地区などの騒音がどう変化するかは重要なことであり、予測ま でしている。その地点の騒音の現地調査ぐらいは実施すべきである。 ◆水質、底質、地下水の既存調査が8年度だけしかない(p81~)。最新データを用いるとともに経年変化をみるべきである。 ◆意見書に対する見解で「湧水地点、湧水量、帯水層については、地下水の使用の観点から調査を行いました」とあるが(p117)、その具体的な結果はどこにも示されていない。 ◆ 知事意見に対する見解で「現地気象観測結果と周辺の大気汚染測定局データを比較し、当該地域を代表できると考えられる測定局のデータを用いました」とある が(p145)、瀬戸市大気汚染測定所の年間平均風速は1.1m/秒(p217)、上之山町の現地調査の年間平均風速は2.5m/秒(p218)と大きく 異なる。それにもかかわらず、予測の気象条件は何の説明もなく瀬戸市大気汚染測定所の測定値を用いている(p230)。どんな検討結果から当該地域を代表 できると考えたのか明記すべきである。 ◆知事意見に対する見解で「農薬等を使用する場合には、該当する要監視項目について現況を把握し、予測・評価いたします」とあるが(p146)、現況把握はどこにも示してないし(p366~)、予測・評価でも(p391)使用方法等の注意が書いてあるだけである。 ◆知事意見に対する見解で「現段階では植物の移植等の代償措置は想定しておりません」とあるが(p148)、新住宅市街地事業でほとんどの造成をさせてしまうので、そうした無理な対策を考えなくてもよいのだが、シデコブシ集中分布地1800m2 が会場内にあることについて「良好な状態で残されるよう、関係機関との連携・調整を図りつつ、必要に応じ適切な措置を講ずる」(p536)の具体的内容ぐらいは見解を示すべきである。 ◆環境影響評価の項目として(p151)、大気汚染の環境基準が定められており、車両から排出されることが明らかなベンゼンについては、せめて幡豆土取りアセスや空港対岸部アセスのように現況調査を行うべきである。 ◆ 環境影響評価の項目として(p151)、影響要因に係る行為そのものを行わないため「工事中の河川水の取水」は影響要因から除外したというが、除外すべき ではない。特に冬季の低水時に河川水を取水することは、水質の悪化、水生生物への悪影響、ひいては生態系の変化を引き起こす恐れがあるため、何時、どれだ けの河川水を、どこから取水するのか、その影響はどうかを検討すべきである。 ◆県の大気汚染測定局は、なぜ陶原町(N0x、C0)と瀬戸保健所(SO2 、SPM、風向風速)に別れているのか。(p221) ◆ 大気質の状況で(p221)、浮遊粒子状物質の瀬戸市測定分が出典と異なっている部分がある。瀬戸市大気汚染測定所の測定時間(8689が8695)、年 平均値(0.026が0.028)、水野支所の1時間値の最高値(3.719が0.217)。どちらが間違っているのか。 ◆ 大気質の状況で(p221)、浮遊粒子状物質の瀬戸市大気汚染測定所の日平均値の2%除外値は0.078となっており、出典の大気汚染調査報告36報でも 同じだが、その基になった「平成10年度版、瀬戸市の環境p14」では、0.073である。どちらが間違っているのか。 ◆ 大気質の現地調査が3地点で行われているが(p222)、今まで何もないところに名古屋瀬戸道路ができ、国際博や新住宅市街地ができ、大気質に大きな変化 を与えるのだから、そうした変化が予想される地点での現地調査は不可欠である。少なくとも海上地区で名古屋瀬戸道路の計画地、国際博の中心部、森林体感地 区で現地調査を追加すべきである。また、名古屋瀬戸道路アセス(p130)であきらかなように、この3地点以外にも2地点(塩草町?、上之山町?)で大気 質の現地調査を行っている。この資料くらいは追加できるはずである。 ◆大気質の現地調査には(p222)、局地的に大気汚染が激化するはずの瀬戸南インター、瀬戸第2トンネル、トンネルの切れ目でも、現地調査を追加すべきである。 ◆大気質の現地調査には(p222)、関連事業としての名古屋瀬戸道路と新住宅の予定区域を明記すべきである。 ◆大気質の現地調査結果は期間平均値までしか示していないが(p222)、騒音の1時間値(資料p9~18)のように生データを示すべきである。資料には1時間値の最大値しかなく(資料p3~4)、変動状況などが不明である。 ◆大気質の風向・風速(p230)を7年度に限定した理由を明記すべきである。少なくとも9年度まで毎年の資料が存在するはずである。7年度が平均的な気象条件というならその証明をするためにも5~10年の資料を示し、予測条件に用いるべきである。 ◆建設機械の種類別機関出力(p231)が、新住宅アセス(p139)と相違している。同じ出典なのにどちらが間違っているのか。コンクリートポンプ車が192と270ps。機関出力に燃料消費率をかけて燃料消費量を推定するため、汚染物質排出強度も違ってくる。 ◆建設機械の種類別機関出力等(p231)から求めた排出強度(資料p5)のうち発電発動機分が次のように間違っている。全体的見直しが必要である。 ◆建設機械の実働時間は1日6時間としてあるが(p233)、少なくとも「本事業による工事用車両」は7時~18時の計11時間稼働である(p230工事騒音予測条件)。どちらが間違っているのか。 ◆窒素酸化物から二酸化窒素への転換式について(p241)、その相関図を空港アセスや空港対岸部アセスなみに示すべきである。 ◆工事用車両による大気汚染を2か所でしか予測していないが(p253)、新住宅アセス(p143)のように、塩草町でも予測すべきである。 ◆ 工事車両による大気汚染予測条件で、車速を制限速度とし、若宮町は40km/時、上之山町は50km/時としているが、塩草町で夜間8時間を除く16時間 の平均が50.4km/時で40km/時だったのは1回もなかった。(資料p20)もっと現実的な予測条件とすべきである。 ◆ 工事車両の、窒素酸化物から二酸化窒素への転換式の標本数が15(p267)、つまり年間3データしかない。名古屋瀬戸道路アセス資料(p10)によれ ば、春日井中央公園局の年平均値から、瀬戸、小牧、豊山、春日井下津局の4局の年平均値を差し引いて1データ、岡崎市大平町と岡崎市大気測定所の年平均値 から、蒲郡~安城市~尾西市の14局の年平均値を差し引いて2データとしているようだが、こんな差し引きを自動車の影響とする方法は常識的におかしい。ど こが推奨している方法か。 ◆275ページは278ページと全く同じである。単なる誤植か、重要な部分が欠落しているのか。 ◆施設の稼働等の大気質予測の予測は、発生源として会場内交通とエネルギープラントを発生源としているが(p278)、計画基準日で27万5千人のために会場までの交通が完全にマヒし慢性渋滞となる名古屋瀬戸道路と若宮八草線を発生源として追加すべきである。 ◆ 施設の稼働等の大気質予測の予測で、発生源としての会場内交通のシャトルバスと団体バスが21~22時の1時間で2300台もあるが(p381)、これ は、2秒で1台以上となる。1台のバスの乗降だけでも相当の時間がかかるのだから、2秒で1台以上のバスを発着させるためにはどれだけ広いバス停がいるこ とか。このように非現実的な計画は縮小再検討すべきである。 ◆施設の稼働等の大気質予測の予測で、発生源としての会場内交通に限定しているが(p277)、不十分である。会場までの交通機関、特に自動車による大気汚染を考慮した総合的な検討をすべきである。 ◆NO2 の長期予測を環境基準の上限値の0.06ppmで評価しているが(工事機械p243、工事用車両p268、施設の稼働等p283)、これはNO2 環境基準の解釈を完全に間違えたものである。N02 環境基準は「0.04ppmから0.06ppmまでのゾーン内またはそれ以下であること」であり、この時の環境庁大気保全局長通達(昭和53年7月17 日)では、「0.04ppmから0.06ppmまでのゾーン内にある地域にあっては、原則として、このゾーン内において、都市化・工業化にあまり変化がみ られない場合は現状程度の水準を維持し、都市化・工業化が進む場合はこれを大きく上回ることとならないよう努めるものとする。……なお、1日平均値が 0.04ppm以下の地域にあっては、原則として0.04ppmを大きく上回らないよう防止に努めるよう配慮されたい。」とされ、約1年後の環境庁大気保 全局長通達(昭和54年8月7日)では、このゾーンによる地域区分を判定している。愛知県では、0.06ppmを超える地域は名古屋市、東海市、知多市等 だけであり、0.04ppmから0.06ppmまでのゾーン内は半田市、碧南市、刈谷市等だけである。つまり、この瀬戸市、豊田市は0.04ppm以下の 地域であり、原則として0.04ppmを大きく上回らないよう努める必要がある地域である。 ◆ 駐車場等の大気質への影響について「今後の検討…追跡調査…必要に応じて適切な措置」(p269)と抽象的な言葉で評価してあるが、計画基準日で27万5 千人のうち60%が道路系利用という現実的に不可能な計画を進めるなら、どれだけの駐車場が必要であり、会場内と周辺のどこで確保でき、大気質への影響が どれだけか、そのための対策はどうするかを明記すべきである。 ◆騒音の現地調査は12地点あるが(p303)、調査地点図に名古屋瀬戸道路を明示するとともに、道路騒音の影響が顕著になる名古屋瀬戸道路沿線での環境騒音を追加すべきである。現に名古屋瀬戸道路アセス(2/2、p28)では17地点で調査している。 ◆騒音の現地調査で、地点番号A-3,4,5の海上地区を中心として、夕方に70~80dBの騒音(中央値)が出現しているが(p307)、このような高い異常値がでた場合は、その原因を調査すべきである。測定者や測定器に問題はなかったのか。 ◆ 騒音の現地調査で、名古屋瀬戸道路アセスでは地点番号4の夕方に27dBの騒音(中央値)が出現しているが(2/2、p26)、このような低い異常値がで た場合は、その原因を調査すべきである。測定者や測定器の扱い、測定レンジの間違いは無かったのか。これも地点番号A-3,4,5と同じ海上地区である。 ◆ 建設機械の配置図は位置だけが示してあるが(p315)、そこにどんな機種が何台あるのか予測条件として示すべきである。騒音予測は新名古屋火力アセス以 来、幡豆土取りアセスなどでも、ちょくちょく間違いがあった。大きな騒音が予測された地点の予測条件を明記し、必要な対策が検討できるようにすべきであ る。 ◆建設機械の騒音パワーレベル(p316)を、新住宅アセス(p164)と比べると、出典が違うにし てもあまりにも低すぎる。ダンプトラック(113を106dB)、トラッククレーン(101を105dB)、ブレーカー(119を124dB)。予測条件 を再検討すべきである。 ◆建設機械の騒音パワーレベル(p316)を、新住宅アセス(p164)と比べると、出典が同じなのに値が異なる。ブルドーザー15トン(115を102dB)、バックホー0.6m3 (105を101dB)、バックホー0.2m3 (107を99dB)。しかもいずれも低めの値であるが、どちらが間違っているのか。 ◆工事車両による騒音予測条件で(p318)、回折効果による補正値の算出方法や塀の高さ、設置位置などの予測条件を明記すべきである。建設機械の予測と同様にゼロとしたのか。 ◆工事車両による騒音予測条件で(p318)、気象条件による補正値の算出方法と気象条件を明記すべきである。建設機械の予測と同様にゼロとしたのか。 ◆ 工事車両による騒音予測条件で(p321)、車速を制限速度とし、若宮町は40km/時、上之山町は50km/時としているが、資料(p20)では、塩草 町で夜間を除く16時間の平均が50.4km/時で、40km/時だったのは1回もなかった。現地で測定し、もっと現実的な予測条件とすべきである。 ◆工事車両による騒音予測を等価騒音レベルで行っているが(p318)、こうした新しい手法を用いる場合は、現地調査での交通条件を予測式に代入し、その予測値と現況値とを比較することで再現性を確認すべきである。 ◆ 工事車両等による騒音予測条件の道路交通量で(p320)、7時台と17時台に小型車が1229台も想定されているが、これは通勤者用と思われる。もっと 通勤バスなどによる効率的な移動手段を検討すべきである。現に新住宅アセス(資料p9)では、予測時期こそ違うが小型車は最大時でもゼロである。 ◆ 工事中の騒音予測評価で、上之山町の沿道での環境基準を70dBとしているが(p322)、準備書の縦覧時点では、知事はまだ幹線道路に近接する空間の指 定をしていない。なぜ勝手に決めたのか。それとも県からそのように表現せよと指示があったのか。国会でも問題指摘されているように、中央環境審議会ではほ んの例外的に定めた幹線道路に近接する空間の70dBを、環境庁が勝手に市長村道にまで拡大するよう通知しているだけである。NO2 の環境基準の通知(瀬戸市は0.04ppmを大きく上回らないよう防止に努める)を忘れ、都合よく騒音の通知だけを守るという姿勢は許されない。 ◆発破に伴う騒音については、言葉だけの対策となっているが(p323)、名古屋瀬戸道路アセス(2/2、p33)、新住宅アセス(2/2、p32)で、いずれも予測結果(83dB、77dB)を示している。発破の場所、規模等の予測条件を示し予測をすべきである。 ◆発破に伴う騒音については、言葉だけの対策となっているが(p323)、そもそも新住宅市街地開発事業でほとんど造成してしまうのだから、この事業で発破までして造成する必要はない。 ◆供用時の騒音予測で(p325)、自動車及び人声のパワーレベルは示してあるが、その位置と量(何台、何人)を示すべきである。 ◆供用時の騒音予測で(p327)、ヘリコプターの離発着については「保全対策を徹底することにより騒音を抑制できる」とあるが、保全対策があればそれを具体的に示すべきである。また、飛行コース、飛行頻度等が鳥類に与える影響も含んで騒音予測すべきである。 ◆供用時の騒音予測で(p325)、自動車及び人声という、会場そのものに限って予測しているが不十分である。会場への交通機関による騒音予測を追加すべきである。 ◆建設作業振動の予測で、機械の配置図は位置だけが示してあるが(p341)、そこにどんな機種が何台あるのか予測条件として示すべきである。少なくとも主たる振動発生源のハンマー類については明記すべきである。 ◆建設作業振動の予測で、振動レベルだけを予測しているが(p341)、これは人間に対する感覚補正したものであり、構造物への物理的影響や動物に対する影響を検討するためには、振動の物理量としての振動加速度レベルを予測すべきである。 ◆ 工事車両による振動予測条件で(p343)、車速を制限速度とし、若宮町は40km/時、上之山町は50km/時としているが、資料(p20)では、塩草 町で夜間を除く16時間の平均が50.4km/時で、40km/時だったのは1回もなかった。現地で測定し、もっと現実的な予測条件とすべきである。 ◆ 発破作業に伴う低周波音予測で(p355)、「保全対策を徹底することにより会場候補地敷地境界において、建具のがたつき始める音圧レベル及び低周波音の 間隔いき値を下回るものと予測される」とあるが、発破の場所、規模等の予測条件を示し予測をすべきである。また、どのような保全対策をとるのか、あればそ れを具体的に示すべきである。 ◆既存資料による周辺河川の水質で、「人の健康の保護に関する項目について はすべて環境基準を達成していた」とあるが(p365)、この2地点も含め、鉛がちょくちょく検出されている。瀬戸市の環境(平成10年度版 p39~42)によると、月1回測定で12回のうち、山口川菱野橋で0.007mg/lを始め4回検出、瀬戸川公園橋で0.014mg/12回を始め4回 検出、水野川御用橋で0.008mg/1を始め3回検出されている。こうした特徴的なことを明記すべきである。 ◆現地調査による周辺河川の水質で、健康項目については平成10年7月1回だけであるが(p366)、健康項目の環境基準は年平均値で定められており、年1回だけの調査だは不十分である。 ◆ 現地調査による周辺河川の水質で、健康項目については平成10年の資料を示しただけだが、新住宅アセス(資料p52~54)によれば、平成7年7月、10 月、8年1月、4月、そして10年7月に調査している。この結果、赤津川で8年1月に0.005、海上川で7年10月に0.006、天神橋で7年10月に 0.006、8年1月に0.017検出されている。せめて、こうした事例を明記すべきである。 ◆河川流量・水温の現地調査が春夏秋冬と、年4期しか測定していないが(p378)、これだけ大規模な造成を行い、地形を改変し、河川流量にも大きな変化を与え、水生生物への影響も考えられるだから、もっと詳細な調査が必要である。 ◆工事中の水質について、有害物質を極力使用しない工法等の選択とあるが(p385)、有害物質を使用する工法とは何か、極力使用しない工法とは何か。 ◆会期中に樹木等への農薬の散布を想定しているが(p391)、もともと、農薬とは縁のなかったこの海上地区に農薬のような異質の物質が流出することは望ましくない。環境万博の名に恥じないよう、無農薬で計画すべきである。 ◆上水供給が水道事業者(瀬戸市)から供給とあるが(p392)、毎日16650トンもの上水供給能力は瀬戸市にないはずである。瀬戸市の現在の上水供給実績、供給能力、水源の容量を明記したうえで、この海上地区での計画規模を大胆に縮小すべきである。 ◆ 地下水の現地調査が4月から12月で評価したため、最低水位が12月という場合が多いが(p403)、問題か多くなる地点9~13がこの期間しか測定して いないからだと思われる。せめて年間を通した資料で評価すべきである。それでなければ地点1~8は1年以上調査しているから(p401)、その資料から、 最低水位の月を示すべきである。 ◆地下水の水質が現地調査しかないが(p405)、既存資料調査を追加す べきである。特に、県の地下水調査で定期モニタリング調査で、瀬戸市でも南山口町にもう1井戸、大阪町で1井戸で総水銀が環境基準を超過している(県環境 白書:平成10年度版、p146)ことを明記し、現地調査でも水銀に注目した調査をすべきである。 ◆地下水の涵養地域が井戸水を生活に使用している地域に限定しているため、工事による影響はほとんどないと推測しているが(p415)、注目すべき植物として遺伝子の調査までしているシデコブシのための地下水涵養地域を定め、そこへの影響を検討すべきである。 ◆河川流量の変化で、洪水時の安全性だけを評価しているが(p422)、冬季などで流量が減少したり、水が枯れてしまった時の、水生動物への影響も検討すべきである。 ◆地形改変前後の河川流量の変化で、新住事業の海上川で改変後が6.478m3 となっているが(p423)、新住宅アセス(p73)では5.466m3 となっている。どちらが間違っているのか。 ◆ 国際博の露払いの新住宅市街地開発事業で、海上川、北海上川、吉田川が全面的に改変される。「海上川は…現河川敷が南側に新たに付け替えられることとな り、約1kmに及ぶ人工河川区間が出現することになる」(p436)、このようなことまでして、海上地区で国際博をするべきではない。国際博の海上地区で の計画は大幅に縮小、分散すべきである。 ◆国際博の露払いの新住宅市街地開発事業で直接改変等に伴う河川形態類型の変化で、G.有機物堆積湿地タイプの直接改変域が196mとなっているが、新住宅アセス(2/2、p85)では200mとなっている。これを引用しただけなのに、どちらが間違っているのか。 ◆ 森林体感地区における影響は、「今後の検討に当たっては、当該河川・池沼を極力改変しないよう施設の位置・施工方法を工夫するとともに、必要に応じて適切 な措置を講ずる」とあるが(p473)、このように具体的な計画がないまま環境影響評価を行い、意見を求められても何もいえない。この環境影響評価はやり 直すべきである。 ◆土壌汚染の現地調査として6地点あるが(p460)、名古屋瀬戸道路のトンネル工事にともなう排出土砂についても、土壌分析をすべきである。この地区の河川や地下水の調査結果から、有害物質の鉛や水銀がちょくちょく検出されており、十分な配慮が必要である。 ◆ 土壌の含有量試験で全体として鉛、水銀が多く含まれている(p462)。土壌環境基準で何も検出されないからといっても(p461)、その検査はpHが 5.8~6.3の弱酸性、4~6時間の振とうで作成した検液を分析するだけだから、pH4近い酸性雨に1年以上も接触していれば、鉛、水銀が溶出してくる 危険性は多い。そうした点を考慮した検討が必要である。 ◆貯水機能として表層土壌の貯水量を予測しているが(p479)、その予測式のうち、A層の厚さ、A層の粗孔隙量だけは示してあるが(p476)、A層の最小容気量、B層の厚さ、B層の粗孔隙量、B層の最小容気量も示すべきである。 ◆国際博の露払いの新住宅市街地開発事業で直接改変により、環境保全上で生産機能の高い土壌が17%も消失(p483)する。このような計画は、この海上地区での縮小、分散を再検討すべきである。 ◆直接改変により、消失予定の生産機能の高い土壌は54haもあるが、これだけの表土を「機能評価が高い区域から優先的に表土を保全し、造成緑地部に活用して行く等」(p483)が可能なのか。どれぐらい、どこへ活用できるのか示すべきである。 ◆ 光害の内容として、周辺住民への直接影響、農業への影響、夜空の明るさへの影響が上げられているが(p491)、ゲンジボタルへの影響のところで、夜間照 度まで調べ「新月に近い時期…4河川とも0~01 lxと低い値であった」(p709)と記載しているように、動物の忌避行動も、光害の内容として追加す べきである。 ◆高等植物確認種集計表で(p493)、単子葉植物の平成10年調査が98属、205種となっているが、新住宅アセス(p131)では、99属、206種となっている。当然合計も違っているが、どちらが間違っているのか。 ◆注目すべき植物種の現地目視観察が平成10年の3月から11月までの9回では不十分である(名古屋瀬戸道路アセスp262)。注目すべき植物種が漏れていることが専門家の指摘で判明し、あわてて追加しているような既存調査を信頼して、その「補完・確認」では意味がない。 ◆植生の現存量調査、年間炭素固定量(p523)は、いつ、誰が、行ったのか明記すべきである。 ◆林種別現存量の計算表で(p522)、幹材積の調査方法、調査結果、幹材積の算定根拠を示すべきである。注の「愛知県資料・図上計測値を基にした」では全く判断できない。 ◆林種別年炭素固定量計算表で(p523)、幹成長量の調査方法、調査結果、幹成長量の算定根拠を示すべきである。注の「愛知県資料・図上計測値を基にした」では全く判断できない。 ◆ 貧栄養湿地植生の生育特性で「現在湧水のみられるような場所は、そのほとんどが谷の規模が小さく、シデコブシ群落のみの生育に留まっており、貧栄養湿地植 生が成立している場所も周辺からシデコブシに覆われて衰退しつつある場所が多い」とあるが(p532)、住民意見への見解として「湧水地点、湧水量、帯水 層については、地下水の使用の観点から調査を行いました」とあるから(p117)、湧水についての具体的な調査結果を明記すべきである。 ◆注目すべき植物種で、直接改変を受ける面積(p537)が,名古屋瀬戸道路アセス(2/2、p194)より少ないエリアがある。例えばシデコブシの集中分布地の117,078m2 は134,078m2 ではないのか。ウンヌケの96,856m2 は109,368m2 ではないのか。ヒメコヌカグサの22,274m2 は109,368m2 ではないのか。サクラバハンノキの72,628m2 は87,628m2 ではないのか。サギソウ・シラタマホシクサの20,230m2 は20,346m2 ではないのか。 ◆注目すべき植物種で、直接改変を受ける種と株数について明記すべきである。名古屋瀬戸道路アセス(2/2、p193)では、直接改変を受ける種は49種中 23種、株数あるいは生息箇所の半分以上が消失するのは6種ある(2/2、p193)。注目すべき植物種をこれほど消失させる計画は縮小、分散を含めて再 検討すべきである。 ◆注目すべき植物種の16地区のうち2地区で消失面積率が5割以上となり、かつ2種の植物種については調査地域内で唯一の生息地が消失することが予測されている(p557)。この海上地区でのこのような計画は大幅に縮小、分散を再検討すべきである。 ◆ 愛知県内で唯一の生息地のスミレサイシンについては、高架下になるため「代償措置として移植を実施する」(名古屋瀬戸道路アセス2/2、p193)とある が、移植先の状態、その後の管理方法などが示されないまま安易に移植できると思うのは間違いである。この海上地区でのこのような計画は大幅に縮小、分散を 再検討すべきである。 ◆植生からみた特徴的なエリア5地区のうち、「4地区に影響が及び、量的な減少とともに質的な変化をもたらす可能性が予測された」(名古屋瀬戸道路アセス2/2、p215)。この海上地区でのこのような計画は大幅に縮小、分散を再検討すべきである。 ◆注目すべき植物群落で、直接改変により、サクラバハンノキ群落、モンゴリナラ群落で消失する部分がある。生息環境変化により、貧栄養湿地植生も涵養水の減 少が予測され、衰退といった間接的な影響の可能性がある(名古屋瀬戸道路アセス2/2、p218)。この海上地区でのこのような計画は大幅に縮小、分散を 再検討すべきである。 ◆動物相(ファウナリスト)の魚類が2目4科16種となっているが(p587)、名古屋瀬戸道路アセス(2/2、249)では3目5科16種となっている。どうせ同じ調査結果を用いているのだが、16種の動物を目科に分類すると事業によって異なることがあるのか。 ◆注目すべき動物種の詳細調査が1年間(p589)だけでは不十分である。 ◆ 注目すべき動物種リストなどのもとになった調査(p589)は、杜撰さを自然保護団体から指摘されたものである。夏鳥のサンコウチョウ、コマドリが冬場に 見つかったとする報告の問題を指摘され、集計ミスで逃れ、2回目のデータ公開でも3月にいるはずのないサンコウチョウ、センダイムシクイが記述されてい た。このような素人的な調査結果で、こんな大規模開発行為を認めるわけにはいかない。 ◆メダカが環境庁により、絶滅危惧種に指定されたので、注目すべき動物種リスト(p589)に追加して、必要な調査を実施すべきである。 ◆ゲンジボタルの全調査日の合計個体数から、推定総数を導いたと思われるが(p621)、その根拠、算出方法を明記すべきである。 ◆ゲンジボタルについて、全調査日の合計個体数が最も多い吉田川D地区の推定総数と推定生息密度を算定すべきである(p621)。 ◆ 道路によるムササビの行動圏の分断に対し、「行動圏が道路により分断される場所においてもできるだけ既存の樹林を残したり」とあるが(名古屋瀬戸道路アセ ス2/2、p298)、新住宅アセス(2/2、p272)では「道路両端に高木の樹林帯を設ける」ことと非現実的ながら積極的な設置計画がある。どちらが 間違っているのか。 ◆工事による忌避反応によって移動するムササビの緊急避難先として巣箱の用意をした り、人工林の中に移動個体の受入れ環境として巣箱を設置することは事業者の勝手だが、そのことで「実行可能な範囲内での低減と代償を図った」(p633) という結論を導くことは許されない。実効ある具体的な対策がほとんどないような海上地区での計画は、中止、縮小、分散するよう再検討すべきである。 ◆国レッドリストにあるオオタカの営巣期高利用域22メッシュ中5メッシュ、ハチクマでは16メッシュ中6メッシュが直接改変域となる(p635)。実効ある具体的な対策がほとんどないような海上地区での計画は、中止、縮小・分散するよう再検討すべきである。 ◆カワセミの営巣可能域53か所中18か所が直接改変を受け、水辺環境そのものの変化、水位上昇、河川改修等による崖地や巣穴の水没、消滅といった状況が予 測される(p638)。どんなに代償措置をとったとしても、現在の自然環境は戻らない。実効ある具体的な対策がほとんどないような海上地区での計画は、中 止、縮小、分散するよう再検討すべきである。 ◆アオゲラ等繁殖鳥類については、繁殖可能性4以上の24か 所中7か所が消失するため、「繁殖場所として利用されている空間に対する影響は比較的大きいものと予測された」(p640)。実効ある具体的な対策がほと んどないような海上地区での計画は、中止、縮小、分散するよう再検討すべきである。 ◆ゲンジボタルの生息 が確認された4河川の全てが何らかの改変を受け、影響を回避することは困難と予測された(p644)。特に生息密度が最も高い吉田川のC区間は「現況の河 川の機能を代替するための代償措置を講ずる」必要まである。このような海上地区での計画は、中止、縮小・分散するよう再検討すべきである。 ◆ギフチョウの食草のスズカカンアオイが株数で21.1%消失する(p647、20647株中、4351株)。このような海上地区での計画は、中止、縮小、分散するよう再検討すべきである。 ◆ 森林体感地区における影響(ムササビp633、オオタカ等p635、カワセミp638、アオゲラp641、ハッチョウトンボp641、ゲンジボタル p645)は、いずれも森林体感地区での計画が具体的でないため、「今後の検討に当たっては、当該エリアを極力改変しないよう、施設の位置・施工方法等を 工夫するとともに、必要に応じて適切な措置を講ずる」と抽象的な同じ文章が並べてあるだけである。国際博にそもそもこのような森林体感地区は必要なのか。 もし必要だとしても、映像資料、インターネット等を駆使して、青少年公園など他の場所で紹介し、かつ、体感できるすることを検討すべきである。 ◆ 生態系の調査が1年間(名古屋瀬戸道路アセス1/2 p278、279)だけでは不十分である。動物、植物ともに天候や人為的要件で、毎年その状況は変化 している。例えば、「平成10年は当該地域でのギフチョウの発生が極めて少なく、生息確認情報は成虫、幼虫、卵のいずれにおいても大変少なかったことか ら、生息確認地の消失率による予測は不確実性が高い。したがって、食草であるスズカカンアオイの直接改変による消失率を算定し」(新住宅アセス2/2、 p286)とまで表現している。それを、ある1年間だけで把握したと称するのは許されない。継続した再調査が必要である。 ◆ラインセンサス結果から、オオタカの餌生物としての中型鳥類の各環境類型別現存量を算定したとあるが(p669)、算定方法を明記すべきである。 ◆オオタカの育雛期の調査対象地域全体の中型鳥類の現存量は約170g/haと算定しているが(p669)、それを確認するために、環境類型毎の季節別現存量を図中に数値で明記すべきである。 ◆オオタカの育雛期の環境類型別の陸生昆虫類の現存量を算定したとあるが(p670)、算定方法を明記すべきである。 ◆同じ広葉樹林なのに、中型鳥類では271.7ha(p669)、陸生昆虫類では209.4ha(p672)と差がある理由を説明すべきである。 ◆植物(種子及び果実)現存量120kg/ha(p673)の算定方法を示すべきである。本文の算定手法だけでは、この値は算定できない。 ◆植物(種子及び果実)生産量算定のための調査結果(p773)が、全くでたらめである。種子トラップ法の小計(推定種子生産量kg/ha)の欄で、コナラ群落アカマツ下位群落だけが数値があり、残りの6群落全てが0.000となっている。 ◆ 植物(種子及び果実)生産量算定のための調査結果(p773)で、コナラ群落アカマツ下位群落の0.085kg/haも調査した方形区面積が記載されてい ないため逆算すると53.606g÷85g/ha=0.63haと膨大な調査区となるが、こんなに大規模に調査したのか。ちなみに枝打ち法では、この群落 の方形区面積は100m2 である。 ◆主要餌生物群の量的関係で(p675)、中型鳥類の現存量 (170g/ha)が、その餌とする陸生昆虫類の現存量(210g/ha)と同じオーダーでは、中型鳥類の餌の陸生昆虫類が1年もたたずに絶えてしまう。 このような科学的に非常識な結果を吟味もせずに記載する環境影響評価は全く信用できない。再調査が必要である。 ◆ フクロウの育雛期の環境類型別の小型哺乳類の現存量を算定したとあるが(p680)、算定方法を示すべきである。特に、資料(p775,776)にある調 査結果に再捕獲が記載されていないが、算定方法のOi(環境類型iに対応する調査区域内再捕獲個体数)はどうしたのか。また、環境類型も示してないが、ど のようにまとめたのか。 ◆フクロウの育雛期の環境類型別の土壌動物の現存量を算定したとあるが(p680)、算定方法を明記すべきである。 ◆フクロウの育雛期の環境類型別の土壌動物の現存量を算定したもとになるmi(環境類型iに対応する調査区域内採集土壌動物重量)が資料にさえないので明記すべきである。 ◆フクロウの餌のネズミ類の餌となるコナラ等の堅果の種子量現存量を算定したとあるが(p682)、算定方法を明記すべきである。 ◆淡水魚類の現存量推定で(p689)「各個体の体長より体重を算出した」とあるが、読み取れるのは採集個体数だけである。各個体の体長を示すとともに、体長から体重への算出方法を明記すべきである。 ◆淡水魚類の現存量推定で(p690)、海上砂防池のブラックバス43000gから逆算すると、投げ網5回で35.325m2 に2匹だから、池面積8947m2 には506匹となり、85g/匹となる。ところが、広久手堰堤のフナは14.13m2 に2匹だから、池面積325m2 には46匹となり、87g/匹となってしまうがこれで本当に正しいのか。 ◆カイツブリに関連した主要餌生物群の階層別現存量の図に、カイツブリも淡水魚類も現存量の値が記載されていない(p691)。カイツブリは本文に各番の現 存量は1200gとあるので推定できるが、淡水魚類については算定方法があるだけで、現存量そのものは求めていない。このような不十分な階層別現存量で生 態系の環境影響評価を終了させることは許されない。 ◆フクロウを頂点とする食物連鎖で、「西ユニットで は…生息条件が不適となる可能性…、東ユニットは…元々不安定…その傾向が助長される可能性も示唆された」「フクロウを頂点とする食物連鎖系の1/3で上 位種の欠落が生じることとなり…階層構造に変化が生じる可能性がある」(p757)とまで予測していながら、ちょっとした環境保全措置でごまかす姿勢は許 されない。このような海上地区での計画は、中止、縮小、分散するよう再検討すべきである。 ◆オオタカを頂点とする食物連鎖の関係性で、主要餌生物群の階層別現存量の変化予測がしてあるが(p758)、それぞれの消失量の算定方法、条件を明記すべきである。 ◆フクロウを頂点とする食物連鎖の関係性で、主要餌生物群の階層別現存量の変化予測がしてあるが(p758)、それぞれの消失量の算定方法、条件を明記すべきである。 ◆ キツネ、テンについて「直接改変による行動圏域の減少に対する影響も大きく、事業実施後のキツネ、テンの生息維持は困難となる可能性もあると予測され た。」(p763)とまで予測していながら、ちょっとした代償措置でごまかす姿勢は許されない。このような海上地区での計画は、中止、縮小、分散するよう 再検討すべきである。 ◆2号トンネルの掘削による赤津川流域のシデコブシ生育地域の地下水変化について「地下水流動の変化を予測(浸透流解析)したところ、トンネル掘削時の一時的な地下水位低下は1m前後に収まるものと予測された」(p764)の具体的内容を明記すべきである。 ◆2 号トンネルの掘削による赤津川流域のシデコブシ生育地域の地下水低下が1m前後もあって、「シデコブシ…生育立地を支える地下水文環境が変化し、それらの 生育に影響を与える可能性もある」(p764)ような海上地区での計画は、中止、縮小、分散するよう再検討すべきである。 ◆直接改変に含まれる歴史的・文化的遺産について、「窯跡」のうち11世紀のものが2基(40%)、13世紀のものが6基(17.6%)直接改変される (p849)。それらについて「文化財保護法の規定に基づき適切に対処する」というのは、全くの気休めであり、適当に写真を撮り、部分的に必要そうな物を 保管するだけでとなる。せめて、国際博の会場内にそのまま保存して展示の一部とするなど、現況保存を検討すべきである。 ◆注目すべき視点からの眺めとして5地点選んであるが(p850)、「会場となる「ものみ山」「ものみ台」を除いた5視点」に限定したというが、県民が親しんでいるこうした場所からの眺めを追加すべきである。 ◆保全重要性が高い利用ルートに対して、付替え道路、付替え河川、遮蔽植栽などが掲げられているが(p914)、それぞれについて、具体的な工法等を明記すべきである。 ◆伐採木、計5370トン(国際博約270トン(p938)、新住宅アセス4100トン(2/2、p587)、名古屋瀬戸道路アセス1000トン(2/2、p620))の算定根拠を明記すべきである。 ◆ 伐採木、計5370トン(国際博約270トン(p938)、新住宅アセス4100トン(2/2、p587)、名古屋瀬戸道路アセス1000トン(2/2、 p620))を可能な限りリサイクルを図るという内容を具体的に示すべきである。どれだけ、どこに、どう活用するのか、活用できるのか明記すべきである。 ◆伐採木の有効活用策(p938)として、発酵させ、肥料としての活用を図るため、会期中に使用する予定(p18)のコンポスト設備、メタン発酵処理プラント、西地区のリサイクルセンターを、工事前に事前に設置し活用すべきである。 ◆32万m3 の残土(p939)の搬出のための交通量は、大気、騒音、振動の予測にどう組み込んであるのか。 ◆工事に伴う廃棄物のうち、産業廃棄物の木・紙くずその他は,次のように予測結果が2310トンとなり、2400トンと異なる(p938)。 ◆工事に伴う一般廃棄物について、工事作業員が延べ112万人しか示されていないが(p938)、可燃物、不燃物、資源ごみ等の種類別に発生量ぐらいは予測すべきである。 ◆工事に伴う廃棄物の予測・評価では(p938~)、会期終了後の解体工事を追加すべきである。 ◆供用に伴う一般廃棄物は、日量約100トンと記載しているが(p940)、その算定根拠を明記すべきである。 ◆供用に伴う一般廃棄物、日量約100トンを約30%に抑制するというが(p940)、その具体的方法としてメタン発酵施設または小型生ごみ処理機による汚泥も含んだコンポスト化が記載してあるが、それぞれの処理能力、減容量などを示し、その実現可能性を示すべきである。 ◆排水処理として,11250トン/日を瀬戸市の公共下水道へ放流するとあるが(p941)、瀬戸市の公共下水道の処理能力は7年度末現在19400トン/日しかない。これを倍増させるような処理を負担させることはできるのか。 ◆排水処理として,11250トン/日を瀬戸市の公共下水道へ放流するとあるが(p941)、この地区はまだ下水道区域の決定さえしていない。本当に実施するつもりなのか。 ◆国際博が終了後は、この跡地で6000人の新住宅市街地整備4800トン/日を瀬戸市の公共下水道へ放流することになる。下水道管渠等の過剰投資を避ける意味からも国際博の規模は、この新住宅市街地整備4800トン/日程度におさまるようにすべきである。 ◆目的別水使用量(p942)は、単純計算すると16650トン/日÷275000人=0.06トン/日/人と少なすぎるようだが、その算定根拠を明記すべきである。 ◆温室効果ガスの二酸化炭素の排出量予測条件のうち、建設機械について(p943)、最も基本的な、年間延べ稼働台数Kn、1日当たりの稼働時間数Khを示すべきである。大気質の予測で年間稼働台数だけは判明するが(p232)、燃料種別までは分からない。 ◆二酸化炭素の排出量予測条件のうち、工事用車両について(p944)、各ルートの距離Lを明記すべきである。 ◆温室効果ガスの予測で、コンクリート打設量323000m3 の算定根拠を明記すべきである。 ◆温室効果ガスの予測で、コンクリート工事における型枠使用量(p945)の算定根拠を明記すべきである。 ◆供用時の二酸化炭素排出量のうち会場内交通からの分は、会場内走行距離がないため、確認もできない。予測条件は明記すべきである。 ◆供用時の二酸化炭素排出量は(p949)、植栽についてだけではなく、道路交通による二酸化炭素排出量を加えるべきである。現にもっと交通量の少ない新住宅アセス(p277)でさえ予測している。 ◆供用時について、樹木中の炭素現存量の減少440トン、二酸化炭素年間吸収量の減少量4トン(p949)があるが、その算定根拠を明記すべきである。 ◆追跡調査計画(p955)は、項目別に調査方法等、備考、しかないが、名古屋瀬戸道路アセス(2/2、p635~)や新住宅アセス(2/2、p604~)のように、せめて公表の方法を明記すべきである。 ◆追跡調査計画(p955)について、地下水の調査結果は、個人所有井戸の被害状況は当然、井戸所有者ごとに通知すべきである。名古屋環状2号線北東部では、すでにそうした実績がある。 |