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意見書その4 (環境影響評価準備書に対する意見)

1999.04.07
要望・声明

3) 環境影響評価準備書に対する意見

3)-1. 生物の多様性の確保及び自然環境の体系的保全に関する意見

1.海上の森の生物多様性の豊かさが、他の地域と比較して評価できていない   

海上の森の生態系の重要性は、希少種等の注目種(植物47種、動物40種)が非常に多く生育・生息することはもとより(住2/2-133.228、道2 /2-142.251、万495.589)、これらを含む生態系を支える極めて多くの野生生物種、植生及び環境タイプ等の多様性の高さにある。海上の森では、17の貧栄養湿地及びその周辺植物群落を含む、合計43もの植生タイプが存在し、植物1078種、動物2738種(住2/2-131.226、道2 /2-140.249、万493.587)という極めて多くの種が確認されている。

植物については、県全体のわずか0.1%の地域に、県内の在来植物種2200種(植物からのSOS-愛知県の絶滅危惧植物p6)のうち約50%が生育しており、おどろくべき生物多様性の高さを示している。これだけの狭い範囲に、これだけの生物種が集合している、あるいは重複して分布していることの重要性が評価されていない。とくに東海地方の固有種が、これだけ重複分布している場所はほかにはみあたらず、東海地方の他の湿地、あるいは他の固有種分布地などと比較して評価すべきである。これらの点については、地形・地史とも関連があるため、個々の種の評価だけではなく、総合的な生物相の評価が必要である。準備書は、そのような視点を全く欠いているため、再評価が必要である。

2.注目すべき植物種は、代償措置(移植)をとることが難しい種ばかりである

注目すべき植物種のうち、ミズニラ、クサナギオゴケ、ヒメカンアオイについては、「位置情報が不明のため予測しない」としているが、位置情報不明のまま影響を予測しないというのは、影響予測の放棄に等しい。このままでは完全な環境影響評価とは言えない(住2/2-131.179、道2/2-196、万493)。

また、新住宅市街地開発事業の環境影響評価では、環境庁のレッドリスト掲載種のイトトリゲモ、サガミトリゲモ、愛知県レッドリスト付記種のウスバシケシダについては「改変に伴う影響の回避が困難」であるため、「代償措置として移植を実施する」としている。しかしこれらの種は、池沼や湿気の多い谷に生育する種であり、コンスタントな水供給を必要とするなど、移植後の維持が難しい種である。代償措置をとるまえに、事業計画の変更により回避・低減をはかるべき種である。どうしても代償措置を選ぶのであれば、回避・低減をはかることができない合理的な理由を説明すべきである。またいつどこにどのように代償措置をとり、その成功失敗の確率はどの程度であるかを示すべきである(住2/2-133. 174)。

3.注目すべき植物種のうち、シデコブシの遺伝子多様度調査は予測評価のしかたが意図的である

注目すべき植物種のうち、シデコブシについては、遺伝子多様度の低下、遺伝的関係性単純化を予測評価しているが、遺伝子多様度調査の目的を曲解している。直接改変による遺伝子多様度の低下が0.12であるため、当該集団消失後も比較的高い多様度を維持するとしている。しかし、海上の森のシデコブシ群落自体が、愛知・岐阜・三重などの他の自生地に比べて遺伝子多様度が高いことが重要な意味をもっており、このような自生地は種内変異のストックという意味から高く評価すべきである。遺伝子多様度が高いから少しくらい低下しても問題ないという評価は明らかに間違っている(住2/2-140. 182、道2/2-203)。

遺伝的多様性の保全を酵素多型という中立遺伝子マーカーの「遺伝子多様度の維持」にすり替えているのは意図的なごまかしともいえる。遺伝子多様度は、データにもとづいて把握される多様性に関するいくつかのパラメータのうちのひとつにすぎず、ヘテロ接合度の期待値あるいは遺伝子間の頻度の均等性を表すものである。したがって、その値には頻度の低い遺伝子の喪失など、遺伝的な保全にとって重要な事象はほとんど反映されない。

遺伝的多様性の保全のためのもっとも優先させるべき保全上の目標は、「頻度の低い遺伝子を喪失させない」ということである。それは、単に現在その遺伝子をもっている個体を残すということにとどまらず、頻度の低い遺伝子が遺伝的浮動などによって集団から喪失しないような条件を確保すること(有効な個体数の確保など)が保全対策の内容とされるべきである。遺伝子の調査はグループごとに30個体ずつしか調査対象としていないため、頻度が1%をきるようなような低い遺伝子を把握することはできない。もし、遺伝的マーカーとして酵素多型を用いるのであれば、各グループ100個体は調査する必要がある。

また、調査した中立遺伝子の保全を自己目的化するのではなく、シデコブシの遺伝的変異全体を視野にいれた保全策を考えることが目的である。酵素多型のデータから有効な個体群サイズやメタ個体群構造を推定し、それにもとづいて、シデコブシのもつ遺伝的変異全体の保全がはかられるような方策を考えるべきである。

集団の距離からのグループ化には、統計的な有意性の検定が必要である。それなしには、そのグループにもとづく科学的議論はできない。

遺伝子分析を行うのであれば、ヒメミミカキグサ、ヒメタイコウチ等、谷ごとの遺伝子交流が疑問視される種についても行うべきであろう。シデコブシの遺伝子分析結果は、谷ごとに遺伝的変異がみられ、どの群落を失っても遺伝的多様性の減少は免れ得ないこと、移植すれば遺伝的混乱を招き、代償措置として移植が不適当であることを示している。

4.植生(植物群落)の評価が、自然度の高い植生・希少な植物群落に偏っており、
海上の森の生態系の中心的役割を果たしているアベマキ・コナラ林、アカマツ林が意図的に低く評価されている   

海上の森の里やまを基本的に支えているのは、アベマキ・コナラ等の落葉広葉樹林である。しかし、植物群落の特性評価(住2/2-153、道2/2-168、万515)では、アベマキ・コナラ等の落葉広葉樹林は、低い評価(III-B)が与えられている。この特性評価では、人為撹乱に対する感受性、立地特殊性など、Bゾーンの貧栄養湿地の植生や希少な植生を高く評価することが意図されており、Aゾーンのアベマキ・コナラ等の落葉広葉樹林は意図的に低く評価されている。アベマキ・コナラ等の落葉広葉樹林は、たとえ二次林であっても、里地生態系の中心的な役割を果たしている点、鳥類の生息環境として重要な役割を果たしている点を評価すべきである(これがブナ林におけるアセスメントであれば、特殊な立地の湿性群落を高く評価し、生態系の中心を担うブナ林を低く評価することは誰も納得しないであろう)。

また、未熟土に発達する潜在自然植生としてモチツツジ-アカマツ群集をあげているが、これらの他に、土地的極相として持続するコナラ林等の植生も存在する可能性が高い。これら潜在自然植生や土地的極相と判定される植生に対し、自然度7と判定するのは不適当ではないか。少なくともモチツツジ-アカマツ群集の発達立地に対して、自然度を7と評価することは適切ではない(プレック研究所研究報告(No.1.p114)においても、植生自然度による評価は「自然性の偏重、自然環境保全上これだけでは不十分といった批判を招くことともなった」と書かれている)。 海上の森の植生(植物群落)の評価としては、Aゾーン、Bゾーン、Cゾーンと分けて評価すること自体がナンセンスであり、貧栄養湿地と落葉広葉樹林が隣接し、セット残されていることを評価すべきである。森林の種多様性の評価として、森林内の多様性(α多様性)のみでなく、空間的に広がる森林の配置によって維持される β多様性、貧栄養湿地と落葉広葉樹林が織りなす異なる立地の共存というγ多様性についても評価する必要がある。

植物群落の現存量に関しては、毎木調査を植生タイプ毎に実施して計測したものと思われる。しかしながら、表記はアカマツ林や広葉樹林として一括にまとめられており、生長の遅い植生タイプや比較的早期に生長して遷移する植生などの特性が不明確となっている(住2/2-160)。特に土岐砂礫層地域に発達する森林植生の中には非常に生長の遅いタイプのものが発達しており、花崗岩地帯のものと区分して解析することが必要である(住2/2-172)。

また、炭素固定量の推定に関しては、提示されている算出式では「年間の幹材生長量が」唯一の意味のある数字である。これを算出した根拠が示されていない。この件についても極生長が不良な林分とそうでない林分による影響が非常に大きいはずである(住2/2-161)。

メッシュ毎の植生現存量の算定については、算出式に誤りがある(住2/2-162)。

誤り:森林現存量(t/ha)=幹材積量(m3/ha/年)×生比重×幹重比×枝葉根重比

正 :森林現存量(t/ha)=幹材積量(m3/ha)×生比重×幹重比×枝葉根重比

次の式も同様である。

新住宅市街地開発事業の環境影響評価では、エゴノキ-ウワミズザクラ群落の消失率が70%を越えているが、この群落は後述のムササビや鳥類の餌資源等として重要な役割がある。この植物群落の消失は、単に植物の問題としてではなく、生態系への影響として評価し直すべきである(住2/2-185)。

5.注目すべき植物群落のうち、貧栄養湿地植生・サクラバハンノキ群落が、新住宅市街地開発事業、名古屋瀬戸道路の建設によって、間接的影響を受ける可能性が強いにもかかわらず、環境保全措置がとられていない

注目すべき植物群落のうち、貧栄養湿地植生については、「直接改変を受けなくとも、名古屋瀬戸道路などによる隣接地の改変に伴う涵養水の減少が予測され、立地の乾燥化等から湿地植生の遷移進行による湿地性植物の衰退といった間接的な影響の可能性がある」、サクラバハンノキ群落についても、「生育地上部の斜面を改変する箇所もあり、当該箇所に対する間接的な影響の可能性がある」と予測している。

万博誘致の閣議了解において、Bゾーンの植物群落への影響をさけるために、Aゾーンに新住宅市街地開発事業・名古屋瀬戸道路・万博施設を集中した経緯があるにもかかわらず、Bゾーンの植物群落に間接的にせよ影響を与えることは閣議了解にも違反している。にもかかわらず、これに対する環境保全措置にまったくふれていないのは、どういうことか全く理解できない。間接的にせよ影響が予測されるのであれば、名古屋瀬戸道路の位置を変更するなどの回避・低減措置を検討すべきである(住2/2-165.196、道2/2-218)。

地下水位に関しては、「西側低地付近の地下水利用地域に対して、工事による影響はほとんどないものと予測される(住2/2-69、道2/2-78)」、「改変後の地形、工作物などの出現による地下水位への影響は回避されるものと判断した(万417)」としている。しかしながら、山砂利層の中には不透水層として機能する粘土成分を含む層が多数挟まれていることの記述があり、そのような場所において湧水と湿地の形成があることを指摘している。工事によって地下水位に影響がないとした根拠は、不透水層として機能し、地下水位を維持しているのは「花崗岩風化土壌のみ」であるとしていること、および地下水は「集水域内のみから供給される」の2点による。この時点で、地下水位に影響がないとした論点は自己矛盾に陥っている。

一方で植生に与える影響の項目において、屋戸川・寺山川水系においては東側の工事が湧水の減少を引き起こす可能性があることを明示している(住 2/2-191.道2/2-212)。また、生態系の特殊性の観点からシデコブシの生育環境に与える影響の項目においては、寺山川の流量が降水量に比べて多いことから、風化花崗岩側から礫層側に地下水流がある可能性があることを指摘している(住2/2-360.道2/2-393)。さらに、水質の測定結果もその推論を支持する結果となっている。従って、花崗岩地域における工事が、砂礫層地域の地下水位に影響がないとはいえないことになる。

また、深層地下水についてはわからないことが多いが、1998年夏のボーリングによる被圧地下水の噴出事件によって、地下深層では地下水は流域範囲をはるかに越えてつながっている可能性が高く、また花崗岩中の節理や断層破砕帯を通じて深層から浅層へと連続していることが示唆された。深層地下水はきわめてゆっくりと流動するため、深層地下水への影響が浅層に及ぶには、数年-10年を要するものと思われる。したがって、Bゾーンの貧栄養湿地植生への影響を予測評価するには、深層地下水についても調査の必要がある。

地下水に関しては、予測が非常に困難なものであることはすべての土木技術者が認めるところであるが、地下水位の項目の予測と、生物多様性の項目の評価は、明らかに矛盾しており、環境影響評価をやりなおすべきである。

6.注目すべき動物種のうち、ムササビについては、行動圏調査、餌資源調査をやりなおすべきである

新住宅市街地開発事業および名古屋瀬戸道路の環境影響評価では、ムササビの全行動圏の26%が影響を受けると予測されており、とくに名古屋瀬戸道路による移動経路の分断、自動車のライトによる忌避反応などを考えると、工事および存在・供用による影響は多大であるといわざるを得ない。

ムササビの行動圏が図示されているが、基本となる行動範囲を特定できたかどうかの資料がない。ムササビの行動圏は季節によって異なり、さらに拡大している可能性が高い。行動圏の大きさによって、評価は著しく異なるため、その資料に基づき、行動圏のどの範囲がとらえられているかを示してから、影響の再評価をすべきである。

環境保全措置として、樹林帯の連続、遮光板の設置、巣箱の設置があげられているが、このような措置も、植物群落の消失によって餌が減少すれば効果がなくなってしまう。ムササビの食性の調査については文献中心であり、当該地域における食痕調査が不十分である(ムササビは、本州から九州にかけて広く分布するので、地域によって食性が異なる)。植物群落の消失による影響を予測評価するためには、植生毎の利用率や餌資源の減少率の調査が必要である。

とくに、エゴノキ-ウワミズザクラ群落の消失率が70%を越えており、この群落の消失による、ムササビの餌資源の減少を評価し直すべきである(住2/2-232.272、道2/2-256.299)。

7.注目すべき動物種のうち、オオタカについては、行動圏調査を継続し、地域整備事業の影響を評価し直すべきである

新住宅市街地開発事業および名古屋瀬戸道路の環境影響評価では、事業範囲に隣接してA・Bの2つのオオタカの営巣木が確認されている。しかし行動圏分析は、地域整備事業内に限定されているため、オオタカの行動圏全体に占める、地域整備事業地の位置づけを評価することができない。A・B両方の行動圏全体をカバーする範囲を調査した上で、地域整備事業の影響を予測評価し直すべきである。また調査は、平成8年、平成10年の2カ年分しかなされておらず、しかも高利用域の分布には2つの繁殖年による違いが見られる(ハチクマについても同様)。この違いを評価するためには、少なくとも連続した3繁殖期の調査が必要である(あと2カ年の調査が必要である)(住2/2-236.275、道2/2-261.303)。

8.注目すべき動物種のうち、カワセミについては、代償措置(カワセミ護岸等)ではなく、渓流・池沼への影響を回避・低減すべきである

新住宅市街地開発事業および名古屋瀬戸道路の環境影響評価では、「営巣可能域として抽出された53箇所の崖地のうち18箇所(34%)が直接改変を受ける」とされ、地域整備事業によるカワセミへの影響は甚大である。環境保全措置として「新たに創出される水際線に対しカワセミが巣を形成できるような構造(カワセミ護岸など)を導入する等の代償措置を講ずる」とされているが、自ら「不確実な要素も多い」と書いているとおり、代償措置によってカワセミが回復できるかどうかは危険な賭であると言わざるを得ない。後述のアオゲラ等繁殖鳥類、ゲンジボタル等でも同様であるが、渓流・池沼の生息地に与える影響は甚大であり、地域整備事業は、代償措置ではなく、渓流・池沼への影響を回避・低減する環境保全措置をとるべきである(住2/2-243.275、道2 /2-268.303)。

動物の生活は、短期間の餌不足によって、生存が不可能となる。地域整備事業で示されている影響評価は、明らかに動物の特性を見落としている。代償措置については、改変する前に代償措置を行い、それが現存の価値と同等である評価が下されて、初めて代償措置と認められることを明記すべきである。

9.注目すべき動物種のうち、アオゲラ等繁殖鳥類については、渓流沿いの森林の破壊による影響が明らかである。渓流への影響を回避・低減する環境保全措置をとるべきである

新住宅市街地開発事業および名古屋瀬戸道路の環境影響評価では、サンコウチョウ、サンショウクイ、ヤブサメ、オオルリなどの夏鳥の繁殖に与える影響が、直接改変による個体消失率が20-50%と高率である。これらの鳥類は、渓流沿いの森林(および渓流の昆虫)に依存しており、カワセミやゲンジボタル同様、地域整備事業が渓流に大きな影響を与えることと深い関係がある。環境保全措置として、「残置森林における適正な環境保全に配慮した管理計画や、改変区域における緑化計画の実行」等の保全措置を講ずるとしているが、渓流の生態系が破壊されれば、森林のみを回復しても、夏鳥の繁殖に影響が出ると思われる。夏鳥は全国的に減少傾向にあり、この生息環境を保全する事は、非常に重要である。地域整備事業では、渓流への影響を回避・低減する環境保全措置をとるべきである(住2/2-246.279、道2/2-271.307)。

10.注目すべき動物種のうち、ゲンジボタルについては、吉田川に与える影響が大きい。渓流への影響を回避・低減する措置をとるべきである。

新住宅市街地開発事業および名古屋瀬戸道路の環境影響評価では、「河川区間への直接改変を受けるのは、北海上川B区間、海上川A・B区間、吉田川C区間であり、当該河川区間におけるゲンジボタルに対する影響を回避することは困難」と予測している。とくに吉田川は「4河川中最も生息密度が高く、かつ川としては最も良好な状態にあると考えられる」と評価されており、地域整備事業によってこれを改変することは、犯罪的だと言わざるを得ない。これに対する環境保全措置は、「当該河川に対しては重点的な保全措置を講ずることにより、生息の維持・更新可能性をできる限り高めるよう努める」ときわめて抽象的であいまいな表現にとどまっている。くりかえすが、地域整備事業は、(代償措置ではなく)、渓流への影響を回避・低減する環境保全措置をとるべきである(住 2/2-255.283、道2/2-282.313)

11.吉田川沿いの植物群落および動物群集の重要性を再評価すべきである     

吉田川は、海上の森の南部の花崗岩地帯を東西に走り、比較的狭い谷幅で渓谷を形成している。この吉田川のすぐ北側をこの吉田川にそって断層が走り、その北側に砂礫層地帯が広がっている。この吉田川渓谷自体が、地形的にも景観的にも、まず、保全の対象として評価されなければならない。準備書には、この吉田川の渓谷を評価する視点が欠落している。この吉田川渓谷の評価については、入り組んだ浸食地形とその景観の他に、この吉田川渓谷を挟む地域の植生と動物の関係を把握する必要がある。

吉田川沿いには、カワセミ、アオゲラ、サンコウチョウ、ギフチョウ、ムササビ、ゲンジボタル等が生息あるいは繁殖していることが準備書で指摘されている。一つひとつの種ごとの評価だけでなく、これらの種のセットとしての評価がなされる必要がある。また、後に述べるように、これらの動物の生息生育環境としての植生・地形をふまえた総合的な評価がなされるべきである。

植物群落特性評価図(万518)を見ると、この吉田川沿いの植物群落はおもに落葉広葉樹林で、植物群落特性評価が総合ランクでIII-Bに位置づけられている。この評価方法では、落葉広葉樹林そのものの評価が不十分である(III-1-4参照)。また植生図(万518)では、吉田川沿いはすべて落葉広葉樹林として色分けされているが、実際には、アラカシやツブラジイがわずかに点在し、ヒノキの人工林もところどころまとまりをもって存在する。したがって、実際の森林の実態はかなり混交し、多様性を高めている。

サンコウチョウほか多くの鳥類の繁殖場所として、この吉田川渓谷は、地形的にも、植生から見ても重要な位置を占めている。

さらに重要な点は、吉田川渓谷を挟む植生が、貧栄養湿地が存在する砂礫層地帯の植生と隣接していることである(万518)。生態系というものは、それぞれのサブシステムが共存して全体としてのまとまりを保っているが、この吉田川渓谷とその植生を、全体的な配置からきちんと評価し直さなくてはならない。

12.注目すべき動物種のうち、ギフチョウについては、発生数の低下の原因を明らかにした上で、回避・低減措置をとるべきである

新住宅市街地開発事業および名古屋瀬戸道路の環境影響評価では、ギフチョウの食草である「スズカカンアオイの消失率は、分布箇所数では約18%、株数では約21%」とかなり高率である。これに対して、「残置森林内の谷部において、ギフチョウが産卵場所として好む林床の明るい落葉広葉樹林を形成したり、谷から尾根に続く開けた空間を確保すること等の管理を行うことにより、新たにギフチョウの生息に適した環境を創出できる可能性もある」ときわめて楽観的な予測がなされている。「調査を実施したH10年は当該地域でのギフチョウの発生がきわめて少なく」という認識があるのであれば、このような楽観的な予測はできないはずである。1999年も継続した調査を行い、ギフチョウ発生の低下の原因を明らかにした上で、代償措置ではなく、回避・低減措置をとるべきである(住2/2-261.286、道2/2-288.316)

ギフチョウについては、ギフチョウそのものの動態をふまえなければ、その動態の予測は不可能だが、1998年はギフチョウの発生が少なかったために、スズカカンアオイの分布によって、ギフチョウに及ぼす影響を予測評価していることは問題である。1998年になぜギフチョウの発生が少なかったか、その原因を明らかにし、新住宅市街地開発事業や名古屋瀬戸道路の建設による直接的な改変ばかりでなく、森の上空を名古屋瀬戸道路が横断し、宅地や公園ができることによる、ギフチョウへの影響を予測評価すべきである。

13.光害による動物への影響が評価できていない   

光害の影響に関する項目では、住民への直接影響、農業への影響、夜間の明るさへの影響(天体観測等の妨げ)のみが評価されており、動物(光におびきよせられる昆虫、夜行性の鳥類、夜行性のほ乳類)への影響が無視されている。

昆虫の灯火への誘引は、昆虫食の動物(ヨタカ・コウモリ等)に大きな影響を与える。また、夜間の光は、ムササビ、テン、イタチ等の行動にも影響する。さらに、夜間も行動する鳥類(カッコウ、ツツドリ、ヨタカ、フクロウ等)にとっては、特に影響が大きい。

開催時間午前9時から午後10時までとするが、閉鎖時間帯を設けず24時間連続して開催する期間を設けることを検討するとされているが、これによる影響が評価されていない。

14.生態系の上位性の観点のうち、オオタカ・フクロウ・カワセミを頂点とする食物連鎖に関する調査は、食物連鎖、階層構造の理解が低く、調査方法や評価方法に誤りが多い

新住宅市街地開発事業および名古屋瀬戸道路の環境影響評価では、フクロウを頂点とする食物連鎖で、1/3の上位種の欠落が予測されている。これは3つがいが確認されているフクロウが1つがいに減るという単純なものではなく、上位種を全く欠いた生態系になる可能性を示すものである。これに対して、「残置森林における適正な環境保全に配慮した森林整備計画や、改変区域における緑化計画」などの環境保全措置を講ずるとしているが、自ら「不確実な要素が多い」と書いているとおり、上位種を残した生態系に保つことはきわめて困難といわざるを得ない(住2/2-312.394、道2/2-330)。カワセミを頂点とする食物連鎖では、改変区域の池の淡水魚類の増大にはかなりの時間を要すると予測している。仮にしばらくして池の淡水魚類の増大したとしても、8で述べたように繁殖可能性のある崖の34%が直接改変されるため、上位種を残した生態系に保つことは困難である(住2/2-320.395、道2/2-352)。

上位性という観点から生態系を把握するため、食物連鎖を量的に把握しようとする方向性は正しいが、数的表現をするには余りに資料不足であり、生態系への理解が低く、調査方法・評価方法に以下のように誤りが多い。

●食物連鎖図には多くの誤りがある(住1/2-69、道1/2-64)。陸域における主要生物の捕食・被食関係模式図(住2/2-301)はこれ自体も誤りが多いが、前出の図とは不整合がある。

●オオタカ・フクロウ・カワセミへの予測評価(住2/2-393-396)において、エネルギーの転送効率が全く考慮されていない。現存量からだけでなく、生産量からも評価する必要がある。実際に動物が利用できるのは、純生産量の一部だけである。

●オオタカ・フクロウに関しては、万博開催時の人の入り込みによる餌となる鳥の減少が全く予測評価されていない。

●中型の鳥の体重については、榎本の野鳥便覧から引用し、オオタカ・フクロウの体重は清棲から引用しているが、その数値をいいかげんに扱い、1000g、800gなどとしている。

●中型の鳥の生体量がでたらめである。野生動物の生体量を測定することは、生態学の最重要課題の一つである。しかし、準備書にはルートセンサスの結果が示されているのみであり、算出の経過が示されていない。ルートセンサスの生のデータをそのまま生息数としたということだが、半径50mの観察数をそのまま用いており、極めて過小評価されていると考えられる。

●中型の鳥以外でも、生体量ピラミッドに記されている数字はいずれもあてにならない。木の実については出典を示さず「既存の知見を加えて」という記述があるのみである。魚にいたっては、「投網の広がる面積 ×打った回数/池の面積」という大胆な手法を使っている。この手法は、1回投網を打つごとにその下の魚はすべて捕獲できる、魚は池全体に均等に分布しているということを前提としており、底が平らで全面積がほぼ均質な環境でなければ使えない。

●ほかにも、3.2×106とすべきところを、360,000と記すなど、量的表現にまるで素人のような誤りがある。このような誤った数値、図表が一人歩きを始めるおそれについてもっと慎重になるべきである。

15.生態系の典型性の観点のうち、タヌキについては、環境改変の影響を比較的受けにくい動物であり、典型性の指標種の選定自体に問題がある

タヌキの行動圏が把握できているのは1頭にすぎず、最も影響を受けるAゾーンの個体については、推定の域を出ない(住2/2-330.397、道2 /2-363)。ゲンジボタルについては、10で述べたように改変に伴う影響の回避は困難と予測された(住2/2-336.402、道2/2-369)。これらを総合すれば、地域整備事業による里地生態系への影響は甚大であると予測される。

16.生態系の特殊性の観点のうち、シデコブシに関しては、名古屋瀬戸道路のトンネル工事による地下水位変化の影響を受けるおそれが強い。影響回避のため、道路のルートを変更すべきである

新住宅市街地開発事業および名古屋瀬戸道路の環境影響評価では、シデコブシに関しては、名古屋瀬戸道路のトンネル工事、寺山川流域源頭部の一部改変により、「一時的な地下水低下により、シデコブシや貧栄養湿地の植物の生育立地を支える地下水文環境が変化し、それらの生育に影響を与える可能性もある」と予測されている。それにもかかわらず、環境保全措置として、「改変面積を極力小さくする」とされているだけで、直接改変域を寺山川・屋戸川流域から回避しようという努力は全くされていない(住2/2-347.404、道2/2-380)。これは5で述べたように、Bゾーンへの影響を回避するとした閣議了解に明らかに違反している。

植物関係の調査は詳細、かつ専門的にも高いレベルに達している部分があるが、アセスメントにおいてもっとも必要とされる全体的・包括的な調査に関しては不足しており、到達レベルが低い。現況に関する調査に関しては詳細な調査が行われている部分もあるが、湿地やシデコブシなどの生育条件の時系列に沿った解析がなされていない。シデコブシに代表される湿地生態系の保全には、時系列に沿った解析をすべきである。

3)-2.人と自然との豊かな触れ合いの項目に関する意見

1.景観資源に与える影響に関して、歴史的・文化的資源、利用者・地域住民に好まれる資源に対する影響が大きいにもかかわらず、環境保全措置がとられていない

2005年日本国際博覧会の環境影響評価では、景観資源に与える影響は、主要施設地区による「歴史的・文化的資源(遺跡)」、森林体感地区による「利用者・地域住民に好まれる資源」などへの影響が大きい(万847)。しかしこれに対する環境保全措置は、「今後も計画熟度に応じて適切な措置を講ずる」というもので、「適切な保全措置」とはどのようなものであるかが、具体的でない。

また新住宅市街地開発事業および名古屋瀬戸道路の環境影響評価では、利用者・地域住民に好まれる資源のうち、吉田川の河川景観の75%、海上集落の北側の55%、海上砂防池左岸一帯の75%が改変され、「景観資源性に大きな変化が生じる」と予測している。また、歴史的・文化的資源のうち、年代の古い11世紀の窯跡の2/5が消失すると予測されている。これに対する環境保全措置は、「造成地縁辺を中心とした緑地の整備により、造成面と残存樹林との連続性・融和性の確保を図る。名古屋瀬戸道路の高架・橋梁については、圧迫感や威圧感の軽減に配慮したデザインを採用する」というものであり、まったく問題解決になっていない(住2/2-487、道2/2-480)。

2.自然とのふれあいの場に与える影響に関しては、利用ルートの分断に関する影響評価が中心であり、海上の森が持つ自然との豊かなふれあいの場としての価値の評価ができていない  

自然とのふれあいの場に与える影響に関して、2005年日本国際博覧会および新住宅市街地開発事業および名古屋瀬戸道路の環境影響評価は、「会場候補地は、名古屋近郊に残された数少ない身近な自然との触れ合い活動の場として位置づけられる(万898、住2/2-532、道2/2-570)」という認識を示しながらも、触れ合い活動の場の保全については、利用者数の多いルートとその沿線の環境を保全対象として挙げているだけである。しかも、生じる影響に
対する保全措置は、ルートの分断を代替歩道や付替え道路で代償するとしているものがほとんどで、ルート沿線の環境保全措置についてさえ、具体的な保全策の記載がなく、その効果が十分な確実性を有している点の解説もなく検証されていない。

「人と自然の豊かな触れ合い」は、自然への影響が少なく、多様な生き物との出会いが多く、地域の自然理解につながる自然観察等の環境教育的活動が重視されなければならない。海上の森において日常的に行われている活動は、土地との結びつきが深く、他に代替できない自然との触れ合い活動であり、このような人と自然の共生・地域の歴史と文化を伝える里やまは、最優先で保全が図られなければならない。触れ合い活動の場に与える影響の予測評価において、自然観察会活動や海上の森の里やまでの日常的な自然との触れ合い活動に対する影響とその保全措置について一切記載されていないのは致命的な欠陥である。しかも、それら多様な触れ合い活動をひとくくりにして、ルートの利用者数で触れ合い活動の場を評価しようとしているのは、「人と自然との豊かな触れ合い」に対する認識が根本的に誤っているといわざるを得ない。触れ合い活動の場についての適切な再調査が必要である。

2005年日本国際博覧会の準備書では、直接改変域が示されているのはルート4のみであり、会期中はその他のルートも利用できなくなるにもかかわらず、他のルートが利用できなくなることは地域整備事業の責任にされている(万873.910)。

会場候補地の利用実態調査において、利用者属性、利用の内容・形態についてアンケート調査を実施しているが、アンケートの具体的な設問を明記する必要がある。特に、(カ)興味対象(万890)については、選択肢の内容、複数回答を求めているかどうか等質問の仕方によって結果が変わってくるからである。

新住宅市街地開発事業および名古屋瀬戸道路の準備書では、触れ合い活動の場の変化に対して、「ルートの分断や明らかな利用環境の変化が生じるものと予測される」としながら、影響の回避について全く検討されていない。事業計画の変更や代替地の検討データ等、回避策の検討過程を明記すべきである。また、保全措置については、植栽で雰囲気を変える、ルートの分断を代替歩道や付替え道路で代償するとしているものがほとんどで、ルート沿線の環境保全措置についてさえ、具体的な保全策の記載がなく、その効果が十分な確実性を有している点の解説もなく検証されていない(道580、住547)。

また、触れ合い活動の場へのアクセシビリティの変化について、「路線の供用により(中略)自動車交通の高速性・定時性の確保などが期待でき、(中略)所要時間の短縮など、アクセシイリティが向上する(道580)」と予測している。しかし、これは車による移動の時間だけを取り上げたもので、徒歩やサイクリングも含め多様なアクセス方法への影響が予測できていない。徒歩やサイクリングで地域に触れ合いながらアクセスしようとするものにとって、車道を経由してのアクセスは、危険度が増し、安全性確保のため精神的に多大な負担を課し、地域との触れ合いを阻害することになる。このことを明記し、「触れ合い活動の場のアクセシビリティ変化はないものと考えられる」という誤った予測を削除すべきである。

3)-3. 環境への負荷に関する項目に関する意見

1.2005年日本国際博覧会事業の残土32万m3、新住宅市街地開発事業の残土160万m3、名古屋瀬戸道路の残土70万m3の処理が明確にされていない

2005年日本国際博覧会事業では、約32万m3の建設残土が発生する(万939)。また新住宅市街地開発事業では約160万m3、名古屋瀬戸道路では約 70万m3、合計262万m3の建設残土となる。しかし、その処理については、「できる限り公共事業で利用する計画である」とかかれているのみで、具体的な処理方法が明確になっていない。

愛知県知事の意見書でも「発生する残土については、残土量を推定し、処理・処分の方法を明らかにすることにより予測を行うことになっているが、事業において処分地を計画する場合には、必要に応じて植物、動物、生態系等の影響が及ぶおそれのある環境要素について調査、予測及び評価を行うこと」という注文がついている。

一時的であっても、残土置き場を設けるならば、その地域の環境影響評価を実施すべきである。もし、残土置き場を必要とせず、すぐに公共事業に用いるのであれば、その具体的な計画を記すべきである。

多摩ニュータウン等の新住宅市街地開発事業では、建設残土については域内処理が原則とされたが、なぜ瀬戸市南東部地区新住宅市街地開発事業では域内処理ができないのかの説明も明確ではない。

2.温室効果ガスの新たな発生は、日本政府の地球温暖化防止対策に反している   

温室効果ガスに関する項目では、いくつか想定した工事法の間の比較で低減がはかられたとされている(万946)。しかし、工事中だけで66900トンもの CO2が排出されることになり(万948)、従来型の大量生産・大量消費社会のままである。これが2005年日本国際博覧会のテーマである「新しい地球の創造:自然の叡知」の思想に合致するのかどうか、再評価を行う必要がある。環境庁・通産省において、地球温暖化防止対策が検討される中で、CO2排出量を 1990年レベルまで削減するという目標を達成するために、万博で新たに増加する6.7万トンのCO2排出量を、誰が責任を持って、どこで調整しようとするのか、明確にすべきである。

3)-4. 環境保全措置・追跡調査に関する意見

1.「実行可能な範囲で」回避低減という表現を、安易に使うべきではない

環境影響の予測評価にあたっては、「実行可能な範囲で回避低減が行われているか」が基準とされており、この表現はとくに新住宅市街地開発事業および名古屋瀬戸道路の準備書で多用されている。しかし、この基準は同時に、事業者にとって実行可能でなければ、回避低減をせずに実行可能であることを意味しており、これでは環境アセスメントを行う意味がない。回避低減が実行可能でない場合は、現在の技術では実行が不可能なのか、経済的理由で実行不可能なのか、はたまた周辺との関係で実行する必要がないと判断したのかを明らかにすべきである。

2.最低20年程度の追跡調査を行う計画をたてるべきである

環境保全措置および追跡調査のページが著しく少なく(7ページ)、かつ具体性がない。環境影響評価法の目玉の一つが、環境保全目標クリアー型から環境保全努力型への転換であることを考えれば、このページ配分は著しくバランスを欠いている。追跡調査は、最大でも工事中、供用中、終了後の3回となっているが、生物種・生態系に与える影響は、長時間をかけて発生する可能性があることから、終了後も毎年5年間にわたり、その後は隔年~5年おきなど頻度を低め、最低 20年程度の追跡調査を行うべきである。2005年日本国際博覧会協会が解散してしまうというのであれば、関連した地域整備事業を実施する愛知県に、その後の追跡調査を求めるべきである。

3)-5.総合評価に関する意見

1.総合評価では、三事業の複合的影響を評価すべきである     

新住宅市街地開発事業および名古屋瀬戸道路の総合評価では、数多くの問題点が明らかになっているにもかかわらず、「適切な環境保全措置を実施することを前提として、実行可能な範囲で、回避・低減が図られているものと判断した」と評価されている。せっかく個々の項目において、まがりなりにも定量的に影響評価を行ったにも係わらず、総合評価においてこのような紋切り型の評価が行われるのであれば、「影響は軽微である」「環境目標は達成できる」という言葉を繰り返してきた従来のアセスメントとなんら変わりがない。このような総合評価は、環境影響評価法に基づく環境アセスメントの信頼を著しく損ねるものであり、とうてい承服することはできない(住2/2-609、道2/2-638)。

地域整備事業のアセスがわずか1ページに紋切り型の言葉を書いているのに比べると、2005年日本国際博覧会のアセスは10ページにわたって、環境要素・影響要因別に、評価と環境保全措置を記述しておりわかりやすい。しかし、2005年日本国際博覧会は地域整備事業によって整備された地盤を先行利用して行われるため、平成13年以前の地域整備事業の工事にも責任があるにもかかわらず、それらの工事による影響を記述していない。

工事工程に関する説明をみると、平成14年からが2005年日本国際博覧会の工事であるかのように書かれているが、2005年日本国際博覧会は地域整備事業によって整備された地盤を先行利用して行われるので、2005年日本国際博覧会協会は、平成13年以前の工事にも責任がある。環境への影響が相対的に大きい地域整備事業の工程を、2005年日本国際博覧会とは無関係であるかのような工程表を載せるのは、2005年日本国際博覧会が自然破壊の責任のがれをしているといわれてもしかたがない(万20)。

2005年日本国際博覧会のアセスは21世紀のアセスを標榜して開始されたのであるから、東京都が2001年に実施を予定している複合事業による計画アセスを先取りしたものでなくてはならない。万博アセスの総合評価では、少なくとも平成13年以前の地域整備事業と平成14年からの万博事業の複合的影響が、予測評価され、わかりやすく示されていなければならない(万959)。

 

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