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「鳥獣保護法」改正案、内容に大きな問題

1999.02.26
解説

『週刊金曜日』編集部の許可を得て転載しています
数字の表示、書式は改変してあります
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日本自然保護協会は、「鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律(以下鳥獣保護法)」改正案 を入手した。この改正案は、今国会で参議院から先に審議されることになっているが、その内容には大きな問題点が含まれている。

 

改正される主なポイントは以下の通り。著しく増加または減少した動物を、都道府県知事が特定鳥獣として指定し、特定鳥獣保護管理計画を作って「保護管理」することができる、環境庁が狩猟鳥獣の保護繁殖のため狩猟期間や区域・猟法について制限・禁止したものを、この計画達成上必要と判断すれば、都道府県知事が独自に「緩和」することができる。

 

本改正の目的は農林業被害問題の解決と野生動物保護を両立することにあったはずである。それには個体数管理だけでなく積極的な被害防除・生息地管理を講じなければ達成し得ない。ところが改正案によると、特定鳥獣の保護管理として盛り込まれているのは、捕獲規制の緩和によって個体数調整をすることばかりである。このままでは農林業被害問題の解決と称して、捕獲規制の緩和や野生動物の駆除が進められる恐れが非常に高い。

 

この改正に加えて、地方分権推進計画に従い、都道府県における鳥獣捕獲許可が機関委任事務から自治事務となり、また条例によって都道府県の捕獲許可等が市町村に委譲されることとなる。地方自治体に特定鳥獣の保護管理を任せるならば、自治体が責任を持って計画的に保護管理を進められるよう、予算や調査・実行体制などの基盤の整備こそが必要であるのに、全く改正案に盛り込まれていない。それどころか狩猟者減少防止と称して、一般の銃の免許を持っている人に空気銃の免許も与えるといった安易な規制緩和を打ち出しており、全くナンセンスとしか言いようがない。

 

野生動物保護のために本来大幅に改正されるべきと言われ続けてきた鳥獣保護法が、今回の改正でさらに野生動物保護の理想から遠のいてしまう。

 

(日本自然保護協会保護研究部・田村尚久)

 

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