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「イヌワシやクマタカの暮らす谷を訪ねる」

1996.12.01
活動報告

自然保護問題の現場を訪ねてみよう 群馬県新治村ムタゴ沢

『自然保護』No.412(1996年12月号)より転載


■冬から春のフィールド情報
上越国境から南西に延びる法師尾根、その西がムタゴ沢で、幅1km、奥行き2.5kmほどのゆるやかな谷です。入り口付近はスギ・カラマツの植林地や皆伐跡地ですが、奥にすすむにつれてブナなどの自然林に変わります。

12月中旬~3月上旬は雪が非常の多く、生き物を観察できるコンデイションではありません。3月中旬~4月の残雪期(積雪1.5~2mほど)には、林営赤沢スキー場の駐車場や、谷の途中にある橋のあたりまで車と徒歩で入れるようになります。このころにはマンサクが咲き始めます。カモシカやニホンザルの群、上空を飛翔するイヌワシやクマタカに出会うかも。また、赤沢スキー場のリフトを上ればムタゴ沢を一望できます。ただし、下りは徒歩です。

5月の連休が明けると、いよいよ春の訪れです。気候は良好で観光客も減り、出かけるには最適です。

木々の若葉が一斉に萌えはじめ、ウワミヅザクラやヤシオツツジが咲き出します。カモシカ・サル・テン、運がよければツキノワグマの姿も見られるかも。1日空を見上げていれば、イヌワシ・クマタカ・ノスリ・オオタカなどが観察できます。法師沢の自然遊歩道や赤沢林道を散歩するのもいいでしょう。

■何が問題になっているのか?
ムタゴ沢の中心部から奥にかけての国有林に、(株)国土によるスキー場が計画されています。93年冬に開業予定でしたが、現在も計画段階のまま。それはこの谷が日本海側・太平洋側の両方の特徴を持つ独特の植物相をもち、そこはクマタカやイヌワシにとって重要な地域であることが、町民の自主調査によって明らかになったからです。

またこの地域の森は、新潟・群馬・長野各県に広がる自然林をつなぐ野生動物の重要なコリドー(移動路)となってます。このような地域がスキー場の建設地にふさわしいのか、行政の適切な判断が望まれています。

■出かける際に気をつけたいこと
天候が変わりやすく雪が多い地域なので、くれぐれも無理をしないように。またここに限ったことではありませんが、フィールドマナーに気をつけてください。

双眼鏡(あればフィールドスコープ)・防寒具・雨具・長靴・飲食物は必携。

■現地で案内してもらうには
まず、「新治村の自然を守る会」事務局長が経営するネイチャー・イン「湯宿温泉・金田屋旅館」を訪ね、現地のようすをうかがうことをおすすめします。守る会では、年に何回か観察会を行っています。冬季はなく次回は3月中旬の日曜日の予定。
なお当日は守る会会長が経営する「法師温泉・長寿舘」の入浴サービスもあります。

■おみやげ  
湯宿温泉・金田屋旅館特製の「しいたけまんじゅう」は絶品です。

(情報提供:新治村の自然を守る会)

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