熊本県・川辺川ダム予定地におけるクマタカの生息と川辺川ダム審議会での検討のあり方についてのコメント
1996年8月20日
財団法人 日本自然保護協会
保護部長 横山 隆一
- 川辺川ダム計画の問題の中でも、地域の自然がどう変化していくのかは私たちにとって重要な論点である。8月12-13日に行ったNACS-Jと地域のNGOグループの合同現地視察の際にも、クマタカという絶滅が危惧される大型猛禽顆が、ダムサイト建設用の原石山周辺でよく見られるとのことから、この生息状況、生息条件と事業の関係は、明確にされるべきテーマとして出されていた。今後、自主的にNGO側も現状把握の観察を組み立てることになると思われる。
- 資料を見ても、ダムの見直し審議会では、この問題が論議された形跡はない。法的にも義務づけられた生物種の保護と事業がどのような関係にあるかについては、本来ならば詳細な生息実態調査の結果に基づいて、専門家も含めて論議されるべき課題である。
- クマタカは、種として注目しなければならないと共に、自然の特徴や生物多様性の高さを計る生物指標(ものさし)として、注目すべき対象である。ダム事業全体が、この地域の自然環鏡全体にどう影響を与えるものなのか、クマタカだけでない”生態系へのインパクト”をつかんだ上で事業との関係を検討しなければ、検討したとはいえないといえる。
以上