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東京湾「三番瀬」の埋立計画見直しに1歩前進

1991.12.01
活動報告

「計画はひとまず先送りに」

=月刊『自然保護』No.355(1991年12月号)より転載=

 


 

先月号(1991年11月号)の本誌において、NACS-Jが、東京湾に残る「三番瀬(さんばんぜ)」と呼ばれる干潟・浅瀬の保全を求める意見書を、国、千葉県などの関係機関に提出したことをお伝えしました。また、その直後に自民党の環境部会も現地を視察し、計画の再考を示唆する発言も出されています。これらの動きを受け、埋め立て計画をそのまま承認する予定だった千葉県港湾審議会の開催は延期され、計画はひとまず先送りされることになりました。千葉県の船橋、市川市沖に広がる約1200haの干潟・浅瀬である「三番瀬」は、自然の姿を失いつつある東京湾にあって今なおノリの養殖や潮干狩り、江戸前漁業などさまざまな利用も含めて保たれている野生生物の豊富な環境です。

千葉県の計画では、この三番瀬を埋め立てて作った土地の、東側は港に、西側には下水処理施設や住宅などを造るというものです。県は、まず港の建設を先行させ、10月下旬に開催される千葉県の港湾審議会において計画承認を受け、12月に開かれる予定の国の港湾審議会で正式に了承、実行に移す計画でした。

しかし、この地域の調査研究や観察会活動を長年にわたって続けてこられた方々などから、この計画の見直しを求める声が出されていました。そこでNACS-Jでは、研究者の方々を中心とした三番瀬問題作業部会を設け、東京湾における三番瀬の位置づけや、埋め立て計画が実行された場合考えられる問題点をまとめる作業を行ってきました。意見書は、NACS-Jがその結果をまとめ、10月4日に関係機関に提出したものです。

先日、三番瀬問題作業部会による資料集も完成し、再度関係機関に保全の必要性に関する情報提供がなされています。会員の方々にも頒布しておりますので、東京湾・干潟の保全に特に関心のある方々に、ぜひご活用いただきたいと思います。こうした科学的な知見に基づく提言が、計画の強行をおしとどめる重要な働きかけになっています。NACS-Jでは、埋め立て計画の先送りにとどまらず、干潟・浅瀬の今日的な評価をふまえて、積極的な保護へと方向が転換されるよう取り組みます。

(NACS-J保護部)

●『東京湾・三番瀬埋め立て問題に関する資料集」(NACS-J資料集No.29)

*この資料集はすでに在庫切れです。NACS-Jの事務所では閲覧が可能です。

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