「調査結果の如何にかかわらず工事を進めるなら、調査自体の意味がない」
水資源開発公団の工事続行表明を厳しく批判
12月10日、日本最大のダム、岐阜県の徳山ダム計画において、事業主体の水資源開発公団から、ダム建設予定地周辺の猛禽類の生息状況調査結果が公開された。
NACS-Jは公団からの依頼により、協定を交わした上で情報公開に必要な加工作業を実施し、同時にこの調査資料を検証し、NACS-J独自の見解をまとめた添付文書を付加した。添付文書の中では、調査体制、データの解析方法等の問題点を多数指摘し、この調査では十分なデータが得られていないことから、工事を一時中断し調査と解析をやり直すべきと主張した。
←揖斐川上流から見たダムサイト(99年12月11日)。
すでに本流は左手奥のようにせき止められ、左端の取水口から左側斜面の向こう側へと転流されている。
←すでに廃村となっている旧徳山村
資料は7日に記者発表され中部圏の新聞等では多数報道されたが、公団は10日、「それでも工事を進める」と発表、これに対しNACS-Jは、「調査結果がどうであれ事業を続けるのであれば、調査を行うことそのものの意味がない」とのコメントを発表した。
本体工事は年度内着工の予定とされている。NACS-Jは、このような調査に対する公団の姿勢に対し、是正を求める対応を予定している。
翌11日には岐阜県大垣市で、「徳山ダム建設中止を求める会」主催による市民集会が開催された。多数の報道関係者や市民が参加、徳山ダム建設事業における利水、治水上の問題点、周辺の自然環境への影響等のテーマごとに解説があった。利水に関しては、下流住民から「徳山ダム建設後の高価な水は不要」との発言があった。また「NACS-Jからのこれだけ厳しい指摘があったにも関わらず工事を実施するのはまったくおかしい」という怒りの発言が多数聞かれた。
←意見が飛び交った市民集会
←視察の報告をする「公共事業をチェックする議員の会」メンバー
当日は超党派の国会議員による「公共事業チェックを実現する議員の会」の徳山ダム工事現場視察も実施され、視察を終えた議員も会場に駆けつけた。建設現場を視察した4人の議員からは、「(ダムサイトの)高さ、大きさ、周辺の自然の美しさに言葉が出なくなった」という感想があがった。民主党の佐藤謙一郎議員からは、「(問題解決のためには)いろんな価値観のネットワークで活動していくことが必要」という発言もあった。