「回答書はこちらの質問には全く答えていない。」
平成13年6月28日
(財)日本自然保護協会
(財)山梨県環境整備事業団
山梨県北巨摩郡明野村廃棄物処分場予定地の オオタカに関する公開質問について
日頃から、貴協会の自然保護に関する各般の取り組みに対しまして、敬意を表する次第であります。 さて、山梨県環境整備事業団は、公共が関与する最終処分場の設置・運営を行うため、県、市町村、産業界の共同出資により平成6年11月に設立されたものであります。 オオタカに関しましては、明野村の処分場整備を進める中で、昨年7月21日に処分場予定地の隣接地に営巣が確認され、以来、県内の鳥類専門家の指導・助言をいただく中で、諸調査を実施してきたところであります。 調査の内容等につきまして、平成13年6月25日付けで貴職より御質問をいただきましたので、以下のとおりお答えを致します。 今後とも、県民の生活環境の保全や健全な産業の発展を図る上で、必要不可欠な公益性の高い施設である廃棄物処分場と、オオタカ保護との両立を図っていくための努力を行って参りますので、ご理解をお願い致します。 1. オオタカの調査期間について 平成12年7月21日に明野村廃棄物最終処分場予定地の周辺でオオタカの生息が確認されたことから、山梨県猛禽類研究会や山梨県野鳥の会甲府支部の会員である猛禽類に詳しい専門家の意見を聞きながら、8月28日から非繁殖期の行動圏調査に着手し、13年1月からは繁殖期の行動圏調査にも取り組んでいるところであり、現在も、猛禽類の専門家の意見を聞きながら調査を進めている段階であります。 2. オオタカの生息地保全について 上記1のとおりでありますが、これまでの調査結果の解析・評価及び今後の調査内容について、専門家の意見を伺い検討して参りたいと考えております。 3. オオタカに関する情報提供と説明責任について オオタカの保護を進めていく上では、営巣地などの情報管理をしっかりしていくことが求められております。オオタカに関する専門家会議の内容については、その都度、専門家による記者会見を行うなど、マスコミ等を通じて、できる限りの情報提供に努めてきておりますので、ご理解をいただきたいと考えています。なお、調査期間等についての判断については、上記1の状況であることから、ご理解をお願いします。
NACS-Jのコメント
2001年7月2日 資料提供およびコメント
本日(7月2日)、山梨県環境整備事業団理事長、山梨県知事天野建氏より、6月28日付、「山梨県北巨摩郡明野村廃棄物最終処分場予定地のオオタカに関する公開質問について」の回答が郵便で届きました。 1. オオタカの調査期間について この回答書は、オオタカの調査に関するこれまでの経緯を説明しただけであり、「これまでの1年間の調査で充分なデータが得られたと判断する理由はどこにあるのか。誰がそのような判断を下したのか?」「環境省の猛禽類保護の進め方に示されている最低限の調査期間をさらに短縮して、来年の営巣期はモニタリング段階に移行してかまわないと考える理由は何か。誰がそのような判断を下したのか?」というこちらの質問には全く答えていない。 回答には「専門家の意見を聞きながら」という文言が何度も出てくるが、環境省のガイドラインに示された最低限の調査期間をさらに短縮してかまわないという重要な判断を専門家が自ら提案するとは思えない。現段階は調査をすすめて専門家の意見を聞いているという段階だが、今後、調査期間の短縮の提案が行われるとすれば、その責任はあくまでも事業者である山梨県環境整備事業団理事長、また県内の希少生物の保全に責任を有する山梨県知事にあると考えざるを得ない。この件については、環境省の見解も照会した上で、ガイドラインがないがしろにされることのないように、意見を言って行きたい。 2. オオタカの生息地保全について この項目については、6月25日に公開質問状を提出した際にも、森林環境部環境整備課長から、「面的な対応」という言葉は使っていない。そのような方策をとるかどうかも、専門家の意見を聞いた上で検討するので、現段階では未定という回答をきいている。オオタカの生息地の保全と同時に、繁殖可能な個体の保護も同時に重要であることを強調したい。 3. オオタカに関する情報提供と説明責任について この項目については、マスコミ等を通じた一般的な情報提供のみを回答している。こちらの質問の意図は、明野の自然を観る会等の地元自然保護団体は、先週のハチクマの営巣を含め、現地の状況を刻々と把握しており、このような団体と情報交換することは意味があるという趣旨で質問したものである。今後、地元自然保護団体とも相談の上、オオタカ保護のための情報交換の機会を具体的に提案し求めて行きたい。 |